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第二章 真実とは…
信じたいけど(春人)
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すると、さっきまでずっと黙って聞いてた夏希が話始めた。
「冬弥はさ、本当に覚えがないんだよね?」
「…うん、たぶん…」
「多分ってのは?その…」
「もちろん、付き合ってる時はそれなりに?そういう事はあったけどちゃんと付けてたし…俺の記憶では…」
「そこはハッキリと言えないの」
「えっ、うん…。最後にした時の記憶が曖昧で…その…俺めっちゃ酔ってて…でも絶対ゴム付けたと思うっ!だって俺、望まない妊娠とか…無理だから…」
それはここにいる誰もが知ってること。
俺だって最初に突きつけられた現実に、まずその疑問が頭に浮かんだくらいだ。
冬弥はこんな見た目でチャラチャラホストなんかやってても、自分の生い立ちからそこだけはしっかり守ってきたんだ。
「俺ね?冬弥の事信じるならこれには何か、裏があるんじゃないかと思うの」
「裏?」
「うん…よく見て?この日付け、今より3ヶ月くらい前なの」
「えっ?3ヶ月も前に妊娠してたってこと?」
「うん、だとしたらなんで今頃?ってなるでしょ?」
「そうだよなぁ…」
「まぁただ、彼女が今まで言えなくて別れを切り出されたからこのタイミングになったってことも考えられるけど…」
みんなが暫く考え込んでいると、今まで黙って話を聞いていた涼二が口を開いた。
「でもこんな大事な事なら、別れ話の場で言うべきだよな?」
「そうなんだよね…」
俺には裏だとか元カノの事情だとかよくわかんないけど、とにかく冬弥と別れるなんて事はしたくなくて、早く違うって事を証明して欲しかった。
「夏希が言ってる事が本当なら、俺確実に白だと思う」
「あとは何の目的で彼女がこんなことをしたのかだよね。会うのは今週末だよね?」
「うん」
「ちょっと気になることがあるから…調べとく。早めに分かればいいんだけど…」
「わかった。頼むわ…」
「じゃあそろそろ帰るけど、冬弥は?」
「あぁ、俺も仕事だからもう行くわ。春人…ごめんな、不安にさせて…」
「信じていいんだよな?」
「おぅ…また連絡するから…」
「うん…」
俺は冬弥を信じることしか出来ない…
もし万が一なんて事があっても、別れたくなんかないよ。
冬弥たちが帰った後、お客さんもそう居なかったので涼二が落ち込んでる俺に寄り添ってくれた。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃねぇよ…」
「冬弥に限ってそんなヘマしないって」
「分かってるよ…っ、分かってるけど…っ」
そんなの俺が一番知ってる…
だけど誰にだって間違いはあるし、ハッキリ違うって言えない冬弥に不安ばかりが募る。
「なぁ春人、話し合いの日…休むか?」
「いや…いいよ。仕事は仕事だし…」
「けど、見たくないもん見るかもしんないぞ?」
「…っ、うん」
「無理しなくていいからな?」
「うん…ありがとう」
涼二の気遣いが嬉しかった。
だけどその間家で一人、事が終わるのをじっと待ってる方が俺にはしんどくて…
俺に無いものを持ってて、俺に出来ない事も出来る彼女に俺は勝てるんだろうか。
あんなにゆきを可愛がってる冬弥に子供を見捨てることなんて出来るわけが無い…
冬弥は優しいから、彼女の事だって傷付けたくないって思うに決まってる。
俺がいない間に二人がまた…
そんかことがあったらそれこそ後悔しそうな気がして、あの場に居合わせることを決めたんだ。
俺は冬弥を信じたい―――
「冬弥はさ、本当に覚えがないんだよね?」
「…うん、たぶん…」
「多分ってのは?その…」
「もちろん、付き合ってる時はそれなりに?そういう事はあったけどちゃんと付けてたし…俺の記憶では…」
「そこはハッキリと言えないの」
「えっ、うん…。最後にした時の記憶が曖昧で…その…俺めっちゃ酔ってて…でも絶対ゴム付けたと思うっ!だって俺、望まない妊娠とか…無理だから…」
それはここにいる誰もが知ってること。
俺だって最初に突きつけられた現実に、まずその疑問が頭に浮かんだくらいだ。
冬弥はこんな見た目でチャラチャラホストなんかやってても、自分の生い立ちからそこだけはしっかり守ってきたんだ。
「俺ね?冬弥の事信じるならこれには何か、裏があるんじゃないかと思うの」
「裏?」
「うん…よく見て?この日付け、今より3ヶ月くらい前なの」
「えっ?3ヶ月も前に妊娠してたってこと?」
「うん、だとしたらなんで今頃?ってなるでしょ?」
「そうだよなぁ…」
「まぁただ、彼女が今まで言えなくて別れを切り出されたからこのタイミングになったってことも考えられるけど…」
みんなが暫く考え込んでいると、今まで黙って話を聞いていた涼二が口を開いた。
「でもこんな大事な事なら、別れ話の場で言うべきだよな?」
「そうなんだよね…」
俺には裏だとか元カノの事情だとかよくわかんないけど、とにかく冬弥と別れるなんて事はしたくなくて、早く違うって事を証明して欲しかった。
「夏希が言ってる事が本当なら、俺確実に白だと思う」
「あとは何の目的で彼女がこんなことをしたのかだよね。会うのは今週末だよね?」
「うん」
「ちょっと気になることがあるから…調べとく。早めに分かればいいんだけど…」
「わかった。頼むわ…」
「じゃあそろそろ帰るけど、冬弥は?」
「あぁ、俺も仕事だからもう行くわ。春人…ごめんな、不安にさせて…」
「信じていいんだよな?」
「おぅ…また連絡するから…」
「うん…」
俺は冬弥を信じることしか出来ない…
もし万が一なんて事があっても、別れたくなんかないよ。
冬弥たちが帰った後、お客さんもそう居なかったので涼二が落ち込んでる俺に寄り添ってくれた。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃねぇよ…」
「冬弥に限ってそんなヘマしないって」
「分かってるよ…っ、分かってるけど…っ」
そんなの俺が一番知ってる…
だけど誰にだって間違いはあるし、ハッキリ違うって言えない冬弥に不安ばかりが募る。
「なぁ春人、話し合いの日…休むか?」
「いや…いいよ。仕事は仕事だし…」
「けど、見たくないもん見るかもしんないぞ?」
「…っ、うん」
「無理しなくていいからな?」
「うん…ありがとう」
涼二の気遣いが嬉しかった。
だけどその間家で一人、事が終わるのをじっと待ってる方が俺にはしんどくて…
俺に無いものを持ってて、俺に出来ない事も出来る彼女に俺は勝てるんだろうか。
あんなにゆきを可愛がってる冬弥に子供を見捨てることなんて出来るわけが無い…
冬弥は優しいから、彼女の事だって傷付けたくないって思うに決まってる。
俺がいない間に二人がまた…
そんかことがあったらそれこそ後悔しそうな気がして、あの場に居合わせることを決めたんだ。
俺は冬弥を信じたい―――
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