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第一章 舞い降りた天使
病院(夏希)
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春人が取り乱すのも無理はない…
俺だってあの時は自分を保つのに精一杯だったんだから、春人には相当辛い日々だったはず。
診察が終わって点滴を受ける冬弥の元に駆け寄ると、真っ先に冬弥の手を握る春人…
診断結果は疲労だろうとの事だったけど、そんなに大変だったなら言ってくれればよかったのにとちょっと落ち込んだ。
そして未だ少し不安定な春人に寄り添って背中を撫でてやれば、少しずつ落ち着気を取り戻していく…
「春人…冬弥は大丈夫だから…」
「死んだりしないよね?」
「疲れてるだけだから…寝たら治るよ」
「疲れてたんなら何ですぐ俺に相談しねぇんだよっ…」
「春人に大変な思いさせたくなかったんじゃない?冬弥なりの優しさだと思うよ?」
「そんな優しさいらない…っ」
「春人も冬弥も優しいから。二人ともすぐ一人で抱え込んじゃうんだもん。俺にだって頼ってくれてよかったのにな…」
「…夏希?」
思ってもみなかった…みたいな春人の表情に、俺も頼りないのかなぁと、少しだけため息をつく。
他人の事ばっかり考える優し過ぎる二人だからこそ、すれ違いがちなんだろうな…
春人の涙も落ち着いたのか、俺の腕の中からするりと抜けて冬弥の寝顔を眺める。
「春人ご飯まだ?」
「あ、うん。そう言えば…」
「売店で何か買って来ようか?」
「あぁ、でも空たちのご飯とか…どうしよ…」
そんな事を話していると、モゾモゾと動きだし冬弥があろう事かいびきをかき始めた。
「っ…、こいつ…」
「ふふっ、少しは安心した?」
「もう一生起きてこなくていいっ!」
そんな強がりを言いながらも、内心はほっとしたんだろう。
目に溜まった涙を拭って鼻をすする春人が可愛くて仕方ない。
冬弥が春人の事が好きなのも、涼二が心配して甘やかしてしまうのも何かわかる気がする。
「冬弥が起きたら送ってくから」
「うん、ありがとう」
そして暫くして冬弥は無事目を覚ましたが、ダルさがまだ抜けないのか結構辛そうで、俺と春人と二人で抱えて車に乗せて冬弥の家に戻った。
「大丈夫?」
「んぅ…まだちょっと…」
「病院で一晩面倒見てもらったら良かったのに…」
「いや、それは大丈夫…」
俺としては、もうちょっと元気になるまで病院にいて欲しかったんだけど…
「そうだよ、これ以上夏希に迷惑かけられない!大人しく家で寝てろ!」
冬弥が目を覚ましてからというもの、春人は喜びもせずずっと何だか不貞腐れている…
「え、何か春人怒ってる?」
「あぁ…そんな事ないよ、ね?心配で仕方なかったんだもんね?」
「心配なんかしてねぇしっ」
「ごめんな…春人」
「もういいから…寝てろ…っ」
あんなに取り乱してたのに、照れ隠しなのか素直じゃない春人。
まぁいつもの事っちゃいつもの事だから大丈夫だろうけど、体調の悪い冬弥にとってはちょっと辛いかも?
冬弥をベットに寝かせ春人と下に降りていくと、ちょうど空が学校から帰ってきたので事情を説明して、ついでだからと宿題を見てたらいつの間にか春人もソファーで眠ってしまっていた。
そして空の宿題も終わり春人も目を覚ました頃、部屋にこもってた桜も呼んでみんなでご飯を食べていると、2階からのそっと冬弥が降りてきた。
「春人ぉ?おーい、はる…あ、いたいたぁ…♡」
俺らなんて全く目に入ってないのか…
いや、恐らく春人の事しか見えてないんだと思うけど、冬弥は春人に向かってフラフラと駆け寄って行き子供たちもいる前で思いっきり抱きついた。
「あっ///ちょっ、お前っ!」
「あ…うまそ…俺のはぁ?」
「お前のなんかねぇわっ!ずっと寝てやがれ!」
「やっちゃん…俺らもいるんだけど…」
「ん?おぅ、おかえり空くん!」
この間も言ったのに…冬弥は、思春期の空の事なんてまるで考えて無いようだ…
「それより具合どう?」
「んぅ…何かまだ怠いし頭ぼぉっとするし体、重い…」
「だったら寝てろよっ…」
「春人、まだ怒ってんのぉ…?」
相変わらず軽い冬弥に素直じゃない春人…
この二人、このままで大丈夫なんだろうか…?
まぁけど結局のところ、二人ともデレデレしてるから大丈夫なんだろうけど…笑
「別に怒ってない…はい、お前の分…」
「おっ!ありがとう♡腹減った!」
「お腹空いてるならもう大丈夫じゃない?でもあんまり無理しちゃダメだよ?今日はゆっくり休んで、明日もね?」
「夏希サンキュ~♡」
「腹立つ…」
聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームでボソッっと呟いた春人…
ツンデレのツンも程々に…
「まぁまぁ…二人ともあんま抱え込まないで、もっと俺の事も頼ってよね?」
「頼ってるよ…いつも助けて貰ってる。ありがとう夏希♡」
「俺も…夏希が居なかったらなんも出来なかった…ありがとう」
改めてお礼なんか言われると、何か照れちゃう///
でも少しでも二人の力になれたらいいなぁって、俺もみんなのために役に立てたらいいなぁっていつも思ってる。
だって俺、みんなが大好きなんだ♡
俺だってあの時は自分を保つのに精一杯だったんだから、春人には相当辛い日々だったはず。
診察が終わって点滴を受ける冬弥の元に駆け寄ると、真っ先に冬弥の手を握る春人…
診断結果は疲労だろうとの事だったけど、そんなに大変だったなら言ってくれればよかったのにとちょっと落ち込んだ。
そして未だ少し不安定な春人に寄り添って背中を撫でてやれば、少しずつ落ち着気を取り戻していく…
「春人…冬弥は大丈夫だから…」
「死んだりしないよね?」
「疲れてるだけだから…寝たら治るよ」
「疲れてたんなら何ですぐ俺に相談しねぇんだよっ…」
「春人に大変な思いさせたくなかったんじゃない?冬弥なりの優しさだと思うよ?」
「そんな優しさいらない…っ」
「春人も冬弥も優しいから。二人ともすぐ一人で抱え込んじゃうんだもん。俺にだって頼ってくれてよかったのにな…」
「…夏希?」
思ってもみなかった…みたいな春人の表情に、俺も頼りないのかなぁと、少しだけため息をつく。
他人の事ばっかり考える優し過ぎる二人だからこそ、すれ違いがちなんだろうな…
春人の涙も落ち着いたのか、俺の腕の中からするりと抜けて冬弥の寝顔を眺める。
「春人ご飯まだ?」
「あ、うん。そう言えば…」
「売店で何か買って来ようか?」
「あぁ、でも空たちのご飯とか…どうしよ…」
そんな事を話していると、モゾモゾと動きだし冬弥があろう事かいびきをかき始めた。
「っ…、こいつ…」
「ふふっ、少しは安心した?」
「もう一生起きてこなくていいっ!」
そんな強がりを言いながらも、内心はほっとしたんだろう。
目に溜まった涙を拭って鼻をすする春人が可愛くて仕方ない。
冬弥が春人の事が好きなのも、涼二が心配して甘やかしてしまうのも何かわかる気がする。
「冬弥が起きたら送ってくから」
「うん、ありがとう」
そして暫くして冬弥は無事目を覚ましたが、ダルさがまだ抜けないのか結構辛そうで、俺と春人と二人で抱えて車に乗せて冬弥の家に戻った。
「大丈夫?」
「んぅ…まだちょっと…」
「病院で一晩面倒見てもらったら良かったのに…」
「いや、それは大丈夫…」
俺としては、もうちょっと元気になるまで病院にいて欲しかったんだけど…
「そうだよ、これ以上夏希に迷惑かけられない!大人しく家で寝てろ!」
冬弥が目を覚ましてからというもの、春人は喜びもせずずっと何だか不貞腐れている…
「え、何か春人怒ってる?」
「あぁ…そんな事ないよ、ね?心配で仕方なかったんだもんね?」
「心配なんかしてねぇしっ」
「ごめんな…春人」
「もういいから…寝てろ…っ」
あんなに取り乱してたのに、照れ隠しなのか素直じゃない春人。
まぁいつもの事っちゃいつもの事だから大丈夫だろうけど、体調の悪い冬弥にとってはちょっと辛いかも?
冬弥をベットに寝かせ春人と下に降りていくと、ちょうど空が学校から帰ってきたので事情を説明して、ついでだからと宿題を見てたらいつの間にか春人もソファーで眠ってしまっていた。
そして空の宿題も終わり春人も目を覚ました頃、部屋にこもってた桜も呼んでみんなでご飯を食べていると、2階からのそっと冬弥が降りてきた。
「春人ぉ?おーい、はる…あ、いたいたぁ…♡」
俺らなんて全く目に入ってないのか…
いや、恐らく春人の事しか見えてないんだと思うけど、冬弥は春人に向かってフラフラと駆け寄って行き子供たちもいる前で思いっきり抱きついた。
「あっ///ちょっ、お前っ!」
「あ…うまそ…俺のはぁ?」
「お前のなんかねぇわっ!ずっと寝てやがれ!」
「やっちゃん…俺らもいるんだけど…」
「ん?おぅ、おかえり空くん!」
この間も言ったのに…冬弥は、思春期の空の事なんてまるで考えて無いようだ…
「それより具合どう?」
「んぅ…何かまだ怠いし頭ぼぉっとするし体、重い…」
「だったら寝てろよっ…」
「春人、まだ怒ってんのぉ…?」
相変わらず軽い冬弥に素直じゃない春人…
この二人、このままで大丈夫なんだろうか…?
まぁけど結局のところ、二人ともデレデレしてるから大丈夫なんだろうけど…笑
「別に怒ってない…はい、お前の分…」
「おっ!ありがとう♡腹減った!」
「お腹空いてるならもう大丈夫じゃない?でもあんまり無理しちゃダメだよ?今日はゆっくり休んで、明日もね?」
「夏希サンキュ~♡」
「腹立つ…」
聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームでボソッっと呟いた春人…
ツンデレのツンも程々に…
「まぁまぁ…二人ともあんま抱え込まないで、もっと俺の事も頼ってよね?」
「頼ってるよ…いつも助けて貰ってる。ありがとう夏希♡」
「俺も…夏希が居なかったらなんも出来なかった…ありがとう」
改めてお礼なんか言われると、何か照れちゃう///
でも少しでも二人の力になれたらいいなぁって、俺もみんなのために役に立てたらいいなぁっていつも思ってる。
だって俺、みんなが大好きなんだ♡
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