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第一章 舞い降りた天使
海璃と楓(冬弥)
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まさか春人、がそんな事まで考えてたとはねぇ…
だけど俺はそんな遠い未来の心配より、今のゆきに対する春人の溺愛っぷりの方がいささか心配だ。
いつかゆきがこの家から出ていく日が来たとしたらその時、春人は大丈夫だろうか…
俺はそんな状況を何度か経験してきてるけど、春人には結構しんどいかもしれないよな。
そんな俺の心配を他所に、春人はゆきにデレデレだ。
そして海璃から連絡があった数分後、家のチャイムが鳴り海璃が一人でやってきた。
「おっす、お邪魔しまぁす」
「あれ?楓は?」
「あぁ、ちょっと遅れるって。うぅ、寒みっ…赤ちゃんは?」
「上、春人がみてる」
「春人くんが?平気なの?」
海璃がそう思うのも無理ないよな…
ハッキリ言って春人に子供好きの印象は全くない。
2階に上がるとデレデレと顔を蕩けさせゆきをあやしてる春人に、海璃は呆気に取られぽかんと口を開けたまま入口で硬直してる。
「春人?海璃来た」
「…っ、お、おう…」
「へぇ…そんなんなんだ…」
「なっ、何がだよ…っ」
「春人くんもそんな顔すんだなぁって」
「もうね、デレデレなのよ…」
「冬弥っ////」
「これじゃ冬弥くん、赤ちゃんに春人くん取られちゃうね」
「そぉなのよぉ~、やっと俺のものになったのに♡」
「えっ?…はぁ!?////」
春人が信じられないとでも言いたげに俺を睨みつけてくるから、何がいけないの?とばかりに俺は言葉を返す。
「何だよ…違うの?」
「いや、だって…そのっ…///」
「いいんじゃない?俺は二人が仲良くしてくれてたら嬉しいよ!おめでとう♡」
海璃はきっと涼さんから大体の事は聞いて知っているんだろう。
それに俺らが付き合ってるなんて言っても、海璃はおそらく動じる事はないと思う。
「ふふっ…だってよ?」
「…っ、そ…そぉかよぉ…///」
「よしっ!じゃあゆきちゃ~ん♡お着替えしまちゅよ~」
「俺、冬弥のその赤ちゃん言葉嫌い…」
じとっとした目で春人に睨まれ、嫌いなんて言われて少しだけ胸が痛い。
「ゆきちゃんって言うの?」
「そう、さっき春人がつけたのよ」
「え?さっき?」
「名前がないと何かと不便だし?」
興味津々の海璃に何でゆきなの?と執拗いくらいに問い詰められ、渋々説明を始める春人の顔は真っ赤で、でもどっか嬉しそう。
俺は手早く服をぬがせ、オムツに手をかける。
「あ、海璃オムツ!そこにあるの取って?」
「ん?あ、これ?」
「そそ」
「冬弥くん、慣れてるんだね」
「まぁね。海璃もやってみる?春人はもう完璧だぞ?」
「え?マジ?じゃあやる!」
そして海璃にやり方を教え始めると家のチャイムが鳴り、手が空いてる春人が下に降りていくと、甲高くて賑やかな声が響き渡った。
「冬弥、久しぶりっ」
「おう、楓久しぶり!」
「うわぁ…この子かぁ!めちゃめちゃ可愛いじゃん♡」
珍しい物でも見るように、ゆきのほっぺやら手をニギニギする楓。
楓は涼さんの弟で、海璃の恋人。
今は地元を出て働いてるから俺らも会うのは久しぶり。
俺は何となく鼻歌を歌いながら、新しい洋服を適当に袋の中から取り出し振り返ると、急に楓の手が止まる。
「ん?…このオムツ誰替えた?」
「え?俺だけど?」
「あちゃぁ…さすがだね、海璃…」
どんなもんかと覗いてみるとテープはゆるゆるで、ゆきが足を動かす度にオムツがズリズリと下がってくる。
そういえば海璃って超絶不器用だった気がする…
「ちゃんとやったつもりだったのに…」
「本当に海璃は不器用なんだから…」
「ちょっともっかいやらして!」
やってもやっても上手くいかない海璃に、違う違うと小言を言いながらそれでも丁寧に教える春人の姿を少し離れたところから見てると、楓が寄ってきてそっと耳打ちしてきた。
「ちょっとさぁ…春人、何か可愛いくなった?」
「だろぉ?可愛いのよぉ♡」
「冬弥、デレデレじゃん。うち、春人に乗り換えて良い?」
「は?海璃に殺されんぞ?」
「ふふっ、そんなの冗談にきまってるじゃん」
そんな話しているとはつゆ知らず、甲斐甲斐しく世話を焼く春人と一生懸命な海璃の姿に、俺らはひたすら癒されていた。
「あぁ可愛い…」
「うん…可愛すぎ…」
「春人♡」「海璃♡」
思わず2人で顔を見合わせると春人のが可愛い!海璃のが可愛い!の言い合いになって、気が付くとオムツの任務が完了した2人がじとっとした目でこちらを眺めていた。
「おい、冬弥。早く服」
「あいよ」
やっとの事で服を着せて春人がゆきを抱き上げると、ゆきは海璃の方を見て手を伸ばし興味津々のご様子。
「抱っこしてみたい…」
「えっ…大丈夫かよ…」
春人が恐る恐るゆきを海璃に手渡すと、ご満悦なゆきちゃん。
イケメン好きなのか?こりゃ飛んだ面食いだな。
「軽っ!!」
「あ、ちょっ!あんま揺らしたら…っ」
「なぁ、うちも抱っこさせてぇ?」
海璃から楓に移動した後もゆきはご機嫌♡
そんなゆきとは反対に心配で手を出したくて仕方ないのか、楓の周りをうろちょろする春人が可愛くて可愛くて仕方ない。
「あはっ、メッチャ笑ってるぅ!天使だね♡」
「ちょっ、楓っ!顔近けぇよっ!」
「別に良いじゃん?ねぇ、ゆきちゃん♡」
そしてみんなで協力しながらゆきの世話をしつつ、ゲームしたり写真撮ったりと今日も忙しく一日が過ぎて行った。
そして遊びに行ってた空も帰ってきたところで、春人も明日はまた朝から仕事だし、今日は泊まらずにみんなと一緒に帰っていった。
しかし来週も朝から仕事の春人に夜来てもらうのも悪いし、両親が帰ってくるまでどうするか考えないとだなぁ…
だけど俺はそんな遠い未来の心配より、今のゆきに対する春人の溺愛っぷりの方がいささか心配だ。
いつかゆきがこの家から出ていく日が来たとしたらその時、春人は大丈夫だろうか…
俺はそんな状況を何度か経験してきてるけど、春人には結構しんどいかもしれないよな。
そんな俺の心配を他所に、春人はゆきにデレデレだ。
そして海璃から連絡があった数分後、家のチャイムが鳴り海璃が一人でやってきた。
「おっす、お邪魔しまぁす」
「あれ?楓は?」
「あぁ、ちょっと遅れるって。うぅ、寒みっ…赤ちゃんは?」
「上、春人がみてる」
「春人くんが?平気なの?」
海璃がそう思うのも無理ないよな…
ハッキリ言って春人に子供好きの印象は全くない。
2階に上がるとデレデレと顔を蕩けさせゆきをあやしてる春人に、海璃は呆気に取られぽかんと口を開けたまま入口で硬直してる。
「春人?海璃来た」
「…っ、お、おう…」
「へぇ…そんなんなんだ…」
「なっ、何がだよ…っ」
「春人くんもそんな顔すんだなぁって」
「もうね、デレデレなのよ…」
「冬弥っ////」
「これじゃ冬弥くん、赤ちゃんに春人くん取られちゃうね」
「そぉなのよぉ~、やっと俺のものになったのに♡」
「えっ?…はぁ!?////」
春人が信じられないとでも言いたげに俺を睨みつけてくるから、何がいけないの?とばかりに俺は言葉を返す。
「何だよ…違うの?」
「いや、だって…そのっ…///」
「いいんじゃない?俺は二人が仲良くしてくれてたら嬉しいよ!おめでとう♡」
海璃はきっと涼さんから大体の事は聞いて知っているんだろう。
それに俺らが付き合ってるなんて言っても、海璃はおそらく動じる事はないと思う。
「ふふっ…だってよ?」
「…っ、そ…そぉかよぉ…///」
「よしっ!じゃあゆきちゃ~ん♡お着替えしまちゅよ~」
「俺、冬弥のその赤ちゃん言葉嫌い…」
じとっとした目で春人に睨まれ、嫌いなんて言われて少しだけ胸が痛い。
「ゆきちゃんって言うの?」
「そう、さっき春人がつけたのよ」
「え?さっき?」
「名前がないと何かと不便だし?」
興味津々の海璃に何でゆきなの?と執拗いくらいに問い詰められ、渋々説明を始める春人の顔は真っ赤で、でもどっか嬉しそう。
俺は手早く服をぬがせ、オムツに手をかける。
「あ、海璃オムツ!そこにあるの取って?」
「ん?あ、これ?」
「そそ」
「冬弥くん、慣れてるんだね」
「まぁね。海璃もやってみる?春人はもう完璧だぞ?」
「え?マジ?じゃあやる!」
そして海璃にやり方を教え始めると家のチャイムが鳴り、手が空いてる春人が下に降りていくと、甲高くて賑やかな声が響き渡った。
「冬弥、久しぶりっ」
「おう、楓久しぶり!」
「うわぁ…この子かぁ!めちゃめちゃ可愛いじゃん♡」
珍しい物でも見るように、ゆきのほっぺやら手をニギニギする楓。
楓は涼さんの弟で、海璃の恋人。
今は地元を出て働いてるから俺らも会うのは久しぶり。
俺は何となく鼻歌を歌いながら、新しい洋服を適当に袋の中から取り出し振り返ると、急に楓の手が止まる。
「ん?…このオムツ誰替えた?」
「え?俺だけど?」
「あちゃぁ…さすがだね、海璃…」
どんなもんかと覗いてみるとテープはゆるゆるで、ゆきが足を動かす度にオムツがズリズリと下がってくる。
そういえば海璃って超絶不器用だった気がする…
「ちゃんとやったつもりだったのに…」
「本当に海璃は不器用なんだから…」
「ちょっともっかいやらして!」
やってもやっても上手くいかない海璃に、違う違うと小言を言いながらそれでも丁寧に教える春人の姿を少し離れたところから見てると、楓が寄ってきてそっと耳打ちしてきた。
「ちょっとさぁ…春人、何か可愛いくなった?」
「だろぉ?可愛いのよぉ♡」
「冬弥、デレデレじゃん。うち、春人に乗り換えて良い?」
「は?海璃に殺されんぞ?」
「ふふっ、そんなの冗談にきまってるじゃん」
そんな話しているとはつゆ知らず、甲斐甲斐しく世話を焼く春人と一生懸命な海璃の姿に、俺らはひたすら癒されていた。
「あぁ可愛い…」
「うん…可愛すぎ…」
「春人♡」「海璃♡」
思わず2人で顔を見合わせると春人のが可愛い!海璃のが可愛い!の言い合いになって、気が付くとオムツの任務が完了した2人がじとっとした目でこちらを眺めていた。
「おい、冬弥。早く服」
「あいよ」
やっとの事で服を着せて春人がゆきを抱き上げると、ゆきは海璃の方を見て手を伸ばし興味津々のご様子。
「抱っこしてみたい…」
「えっ…大丈夫かよ…」
春人が恐る恐るゆきを海璃に手渡すと、ご満悦なゆきちゃん。
イケメン好きなのか?こりゃ飛んだ面食いだな。
「軽っ!!」
「あ、ちょっ!あんま揺らしたら…っ」
「なぁ、うちも抱っこさせてぇ?」
海璃から楓に移動した後もゆきはご機嫌♡
そんなゆきとは反対に心配で手を出したくて仕方ないのか、楓の周りをうろちょろする春人が可愛くて可愛くて仕方ない。
「あはっ、メッチャ笑ってるぅ!天使だね♡」
「ちょっ、楓っ!顔近けぇよっ!」
「別に良いじゃん?ねぇ、ゆきちゃん♡」
そしてみんなで協力しながらゆきの世話をしつつ、ゲームしたり写真撮ったりと今日も忙しく一日が過ぎて行った。
そして遊びに行ってた空も帰ってきたところで、春人も明日はまた朝から仕事だし、今日は泊まらずにみんなと一緒に帰っていった。
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