実らない恋だと思ってたのに!?〜小さな天使は僕らの恋のキューピットだった♡〜

むらさきおいも

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第一章 舞い降りた天使

二人の時間

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冬弥の家に着くと、空たちとバトンタッチで今度は俺らが赤ちゃんの面倒を見る。

もう何も言われずとも、赤ちゃんを抱っこしてお世話する俺…
自分でも不思議なくらい慣れてきている。

夢中でお世話しながら妙に視線を感じるなと思い振り返ると、冬弥がめっちゃニヤニヤしながら俺を眺めていた。


「何ニヤニヤしてんだよ…」

「ママみたいだなぁって…俺パパ?ふふっ…」

「なっ!?…もぉっ////」

「赤ちゃんも嬉しいってよ。超ご機嫌でちゅね~!」


赤ちゃんもご機嫌で良かったけど、せっかく二人きりなのに結局お世話に追われて二人の時間なんてない事に気付かされた。

何だかんだと慌ただしくて腹が減ったなぁと思えばもう夕方で、冬弥がご飯を適当にチンしてテーブルに並べてくれて、空たちにご飯を食べさせる。

俺達も交代で夕飯を済ませると、休む間もなく今度はお風呂…
一日ってこんなに短かったっけ?ってくらい一息つく暇もない。


「そろそろ風呂入るかぁ…」

「うん、なんか疲れたぁ…」

「春人?赤ちゃんお風呂入れてみる?」

「え!?無理無理無理っ!」

「じゃあ一緒に入る?」

「なっ、それも無理っ////」

「ほんっと照れ屋だな。じゃあ先俺入るから、呼んだら赤ちゃん連れてきて?」

「うん、わかった」


そして冬弥がお風呂に入ってから数分後…


「春人ぉ~!」

「おぅ、連れてきた」


赤ちゃんを預けると、冬弥は慣れた手つきで赤ちゃんをお風呂に浮かべる。

抱っこされながらぷかぷかと気持ちよさそうにお湯に浸かる赤ちゃんの姿が何とも癒される…

そしてきゃっきゃと手足をバタバタさせて嬉しそうな赤ちゃんと、水しぶきを浴びながらもデレデレな冬弥が何だか本当にパパみたいでちょっと見蕩れてしまっていた。


「春人も一緒に入る?」

「…はっ!?だから入んないってっ!」

「春人…何か顔、蕩けてるけど自覚ある?」

「えっ…////」


何それ、めっっっちゃ恥ずかしい/////
勢いよくお風呂の扉を閉めて一旦呼吸整えぱっと顔を上げると、目の前の鏡の中の自分の真っ赤な顔に更に恥ずかしさが増して、思わず両手で顔を覆った。


「春人ぉ?」

「なっ、なぁに?」

「呼んだら赤ちゃん受け取ってー」

「あ、うん。わかったー」


俺は何を想像してるんだ…
俺がママで冬弥がパパ?アホか…!?

けど将来的に子供とか考えた時に俺らにその未来はない訳で、想いは通じあったとは言え、こんな関係いつまで続けられるのか…なんて不安も正直ある。

冬弥は子供好きだからパパになりたいだろうしな…

そんな事を考えながら、扉の前に座りぼやっと天井を眺めながら呼ばれるのを待った。


「春人ぉ~」

「はぁい」


適当に返事をしながら扉を開けると、湯気でほやほやの赤ちゃんを受け取りタオルで包む。

リビングに連れていき丁寧に体を拭いてやると、冬弥が何やら
手に持ってきた。


「はい、ベビーオイル!冬は乾燥するから」

「お前なんでも知ってんだな… 」

「うん、まぁねぇ」


クルクルと保湿してオムツしてミルクを飲ませれば、赤ちゃんは気持ちよさそうに眠り始めたので2階の冬弥の部屋に連れて行き、ベビーベットに寝かせた。

俺はやっとの事風呂に入ると、湯船に浸かり今日の疲れを癒した。


「…と、…春人っ!」

「…っ!?あ、やば…寝てた…」


名前を呼ばれてハッと気がついたら、湯船の縁に寄りかかり完全に寝ちゃっていた。


「風呂場で寝るなよ…溺れて死ぬぞ?」

「あ…うん」

「アイス買っといたから出たら食べようぜ!」

「おぅ、ありがとう」


タオルで頭を拭きながらリビングに行くと、冬弥はドライヤー片手にテレビを見ながらソファーに座っていた。

俺に気がつくなり手招きをすると、ここに座れと床をポンポン
叩くから、言われるがまま冬弥の足の間に挟まり床に座った。

暖かい風に吹かれながら、冬弥の手が俺の髪に触れる度にくすぐったくて恥ずかしくて少し俯く…

すると前髪が乾かないと文句を言われ、やりにくいからと冬弥の方に向き直し、足の間からひょっこり顔を出せば今度はバッチリ目が合った。

逸らしたいけど前髪…と思って我慢すれば、運良くドライヤーの風が当たり目を瞑らざるを得なくなって作業が終わるまで目を閉じた。

そしてドライヤーの音が止み、終わったのかな?と思いながらそっと目を開けようとすると、それより先に柔らかい物が唇に触れた…

驚いて目を開けるが、もう既に冬弥の手は俺の髪をなぞり引き寄せられてその唇から離れられない。

冬弥の舌が俺の舌を巻き込みクチュクチュと音を立てながら口内を動き回り、指先で耳たぶに触れられれば抵抗する力なんかもうなくて、また目を閉じてそのまま身を委ねた。
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