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第一章 舞い降りた天使
涼二と夏希(夏希)
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そして更に赤ちゃんのご機嫌がピークに達したのか、流石にこれはどうにかしてあげた方がいいと思い勇気を振り絞って赤ちゃんに手を伸ばしたその時…
扉が開いて眠たそうに目を擦りながら空が部屋に入ってきた。
「あれ?夏くん?帰ったんじゃなかったの?」
「あぁ空…ごめん起こしちゃったよね…」
「やっちゃんは?」
「ちょっと野暮用で…代わりに呼ばれたんだけど、俺何も出来なくて…」
すると空は、何も言わずにすっと赤ちゃんを抱き抱えてあやし始めた。
まだ中学生にも関わらずその慣れた手つきに、俺は感動さえ覚えた。
「あ…ありがとう。何かごめんね?俺なんも出来なくて…」
「ううん。俺、明日休みだし手伝うよ」
「心強いよ!」
空が抱っこして暫くすると少し落ち着いてきたのか、さっき程のボリュームは抑えられふにゃふにゃと泣く赤ちゃん…
そう言えば涼二…遅いなぁ。
「ミルクまだだよね?多分お腹空いてるんだと思う」
「あ、うん。今、涼二が下に…」
「え?涼さんもいるの?」
「うん、一応…」
そして二人で下に降りて行くと、ちょうどミルクを片手にキッチンを出る涼二と遭遇した。
「涼二、大丈夫だった?」
「あぁ、こんな感じでいいんだろ?おっ、空…起こしちゃったか?」
「うん、平気!涼さんミルク作ったの?分量平気だった?」
「あぁ、よくわかんなかったから多めに作ったけど…」
「なみなみだね」
「多すぎた?」
「この子まだ小さいから、1回の分はこの半分位で平気だよ」
「へぇ…空、凄いや…」
「へへーんっ!てか下寒いっ…上に戻ろっ」
そしてミルクを持って上に上がると、空に抱かれた赤ちゃんはミルクを抱えながら美味しそうに飲み干しご機嫌になった。
「ふぅ…これで一安心…」
「子育てって大変だな」
「だから…いらなくなっちゃうのかな…」
空の一言に胸が締め付けられた。
空がどんな事情でここに預けられたのか詳しいことは俺には分からないけど、ここでそういう子を何人か見てきた。
確かにこれが毎日毎日だったらしんどいよなとは思うけど、やっぱり可愛いって思える瞬間だってあるはずだよ。
ほら、笑ってる…可愛いじゃんっ…
少なくとも空の存在は俺らにとって大切だし、いらないなんて思わない。
まだどっかに深い傷が残ってるなら俺が癒してあげたい。
空は独りじゃないんだよって…
俺は赤ちゃんごと空を抱きしめた。
「うわっ、夏くん!?」
「俺は空の事大好きっ。この子にどんな事情があったのかはわからないけど、いらない子なんていないって思いたい」
「うん、そうだよな。俺もそう思うよ」
「涼さんっ…二人とも…って、俺もう中学生だぞっ!」
「いいじゃんっ、そんなの。ねぇ?涼二」
「うん。空はずっと可愛いよ♡」
「もぉ…っ////けど嬉しいっ…」
そしてお腹いっぱいで満足したのか赤ちゃんがスヤスヤと寝息を立て始めると、俺の携帯に冬弥から春人が見つかって仲直りしたと連絡が入った。
「春人見つかったって。仲直りもしたみたいだし良かった!」
「ってことはまだ帰ってこないかな…」
「えっ!…そう、かなっ…///」
涼二の言うまだ帰ってこないの意味を深く追求するのは何だか恥ずかしくてスルーしちゃったけど、でも今度こそちゃんとお互いの気持ちが通じあえればいいな…なんて俺は密かに願っていた。
「俺らも帰ってくるまで休もう。空もありがとな」
「うん、僕も寝るね!おやすみ~」
そして空が部屋に戻り、俺らは二人どうやって寝ようか考える。
流石にシングルのベットに大の大人の男2人はしんどい…
そして俺は何となく空が話していたあの事を思い出し、ポロッと口に出してしまったのだ。
「冬弥が春人をここで…」
「え?冬弥が春人を何?」
「あっ、いや、何でもないっ…」
「何だよ…教えろって」
「空が見たって。二人でくっついて寝てた所…」
「…じゃあ、俺らもくっついて寝る?」
「はぁっ!?何言ってんのっ!?」
「夏希はすぐそうやって本気にする」
「だって涼二の冗談て冗談に聞こえないんだもんっ」
「じゃあ本気だったらどうすんの?」
「えっ…」
涼二の真剣な眼差しに一瞬ドキッとさせられたが、直ぐに子供のようなイタズラな笑顔になっていつもの涼二に戻った。
「ふふっ…俺、下のソファーで寝るから夏希ここで寝な?」
「えっ、あっ、でも…」
「おやすみ、なんかあったら呼べよ?」
俺の頭をぽんぽんと撫でて、俺に何も言わせず毛布一枚だけ持って涼二は下へと降りていった。
涼二って、やっぱかっこいいよな…
扉が開いて眠たそうに目を擦りながら空が部屋に入ってきた。
「あれ?夏くん?帰ったんじゃなかったの?」
「あぁ空…ごめん起こしちゃったよね…」
「やっちゃんは?」
「ちょっと野暮用で…代わりに呼ばれたんだけど、俺何も出来なくて…」
すると空は、何も言わずにすっと赤ちゃんを抱き抱えてあやし始めた。
まだ中学生にも関わらずその慣れた手つきに、俺は感動さえ覚えた。
「あ…ありがとう。何かごめんね?俺なんも出来なくて…」
「ううん。俺、明日休みだし手伝うよ」
「心強いよ!」
空が抱っこして暫くすると少し落ち着いてきたのか、さっき程のボリュームは抑えられふにゃふにゃと泣く赤ちゃん…
そう言えば涼二…遅いなぁ。
「ミルクまだだよね?多分お腹空いてるんだと思う」
「あ、うん。今、涼二が下に…」
「え?涼さんもいるの?」
「うん、一応…」
そして二人で下に降りて行くと、ちょうどミルクを片手にキッチンを出る涼二と遭遇した。
「涼二、大丈夫だった?」
「あぁ、こんな感じでいいんだろ?おっ、空…起こしちゃったか?」
「うん、平気!涼さんミルク作ったの?分量平気だった?」
「あぁ、よくわかんなかったから多めに作ったけど…」
「なみなみだね」
「多すぎた?」
「この子まだ小さいから、1回の分はこの半分位で平気だよ」
「へぇ…空、凄いや…」
「へへーんっ!てか下寒いっ…上に戻ろっ」
そしてミルクを持って上に上がると、空に抱かれた赤ちゃんはミルクを抱えながら美味しそうに飲み干しご機嫌になった。
「ふぅ…これで一安心…」
「子育てって大変だな」
「だから…いらなくなっちゃうのかな…」
空の一言に胸が締め付けられた。
空がどんな事情でここに預けられたのか詳しいことは俺には分からないけど、ここでそういう子を何人か見てきた。
確かにこれが毎日毎日だったらしんどいよなとは思うけど、やっぱり可愛いって思える瞬間だってあるはずだよ。
ほら、笑ってる…可愛いじゃんっ…
少なくとも空の存在は俺らにとって大切だし、いらないなんて思わない。
まだどっかに深い傷が残ってるなら俺が癒してあげたい。
空は独りじゃないんだよって…
俺は赤ちゃんごと空を抱きしめた。
「うわっ、夏くん!?」
「俺は空の事大好きっ。この子にどんな事情があったのかはわからないけど、いらない子なんていないって思いたい」
「うん、そうだよな。俺もそう思うよ」
「涼さんっ…二人とも…って、俺もう中学生だぞっ!」
「いいじゃんっ、そんなの。ねぇ?涼二」
「うん。空はずっと可愛いよ♡」
「もぉ…っ////けど嬉しいっ…」
そしてお腹いっぱいで満足したのか赤ちゃんがスヤスヤと寝息を立て始めると、俺の携帯に冬弥から春人が見つかって仲直りしたと連絡が入った。
「春人見つかったって。仲直りもしたみたいだし良かった!」
「ってことはまだ帰ってこないかな…」
「えっ!…そう、かなっ…///」
涼二の言うまだ帰ってこないの意味を深く追求するのは何だか恥ずかしくてスルーしちゃったけど、でも今度こそちゃんとお互いの気持ちが通じあえればいいな…なんて俺は密かに願っていた。
「俺らも帰ってくるまで休もう。空もありがとな」
「うん、僕も寝るね!おやすみ~」
そして空が部屋に戻り、俺らは二人どうやって寝ようか考える。
流石にシングルのベットに大の大人の男2人はしんどい…
そして俺は何となく空が話していたあの事を思い出し、ポロッと口に出してしまったのだ。
「冬弥が春人をここで…」
「え?冬弥が春人を何?」
「あっ、いや、何でもないっ…」
「何だよ…教えろって」
「空が見たって。二人でくっついて寝てた所…」
「…じゃあ、俺らもくっついて寝る?」
「はぁっ!?何言ってんのっ!?」
「夏希はすぐそうやって本気にする」
「だって涼二の冗談て冗談に聞こえないんだもんっ」
「じゃあ本気だったらどうすんの?」
「えっ…」
涼二の真剣な眼差しに一瞬ドキッとさせられたが、直ぐに子供のようなイタズラな笑顔になっていつもの涼二に戻った。
「ふふっ…俺、下のソファーで寝るから夏希ここで寝な?」
「えっ、あっ、でも…」
「おやすみ、なんかあったら呼べよ?」
俺の頭をぽんぽんと撫でて、俺に何も言わせず毛布一枚だけ持って涼二は下へと降りていった。
涼二って、やっぱかっこいいよな…
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