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第一章 舞い降りた天使
複雑な気持ち
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俺は冬弥の何?
そう言われても明確な答えなんて出なくて、どう答えるのが正解だったのか…なんて頭を悩ませる。
それになんで急に千秋が出てくる?
忘れるって何の話しだ?
一体何が原因でこうなった?
帰ってきてからずっとギャン泣きの赤ちゃんをあやしながら、冷静に、一つずつ原因を紐解いていく。
まず、昨日からろくに寝てないはずの春人一人に赤ちゃんを押し付けたのは俺が悪い…
これは絶対俺のせい。
けど今日はいつもより全然早く切り上げて帰ってきたし、まさかあんなに怒ってるなんて思いもしなかったから…
それで後は、千秋が良いならって言うのは、俺が千秋の事が好きとかって事なのか?
そうだとしたらそれは完全に勘違いだ、これは訂正しなきゃいけない。
んで最後、何であんな事したかって、そんなの好きだからに決まってんじゃん。
もしかして俺の気持ちって、春人に全然伝わってないのかな?
それに嫌だったなら断ればいいのに…
あ…?そういや春人、断らないよな…
俺のお願い…
でも、じゃあ断らない理由はなんなんだ?
もしかして、全部嫌だったけど我慢してたって事か?
俺に気があるんじゃないか?なんて俺の勘違いって事…!?
あぁ、そっか…だから好きって言ったのに、それだけは受け入れてくれなかったんだな…
俺、自惚れてたのかも。
断らないのをいい事に、春人に頼りすぎてたのかもしれない。
ぼぉっと突っ立ったまま赤ちゃんをあやし、俺は春人に嫌われたんだと一人ショックを受けていた。
ひとしきり泣いた赤ちゃんは、泣き疲れたのかいつの間にか寝ていてそっとベットに戻すと、俺は自分のベットに倒れ込んだ。
するとシーンと静まりかえる部屋に、急に鳴り響くバイブ音に驚き携帯を拾い上げると、ディスプレイには夏希の文字…
「もしもし…」
(あっ、冬弥?)
「うん…どした?」
(今どこ?)
「家だけど…」
(あぁ、もう家なら良かった…春人、大丈夫?)
「え?大丈夫…って?」
(帰り際にさ?なんか思い詰めてたからさっきまた連絡したんだけど、返事なくて心配してたの。けど冬弥と一緒ならって…)
「あ、えっと…春人は帰った…」
俺の返事に夏希は鼓膜が破れるんじゃないかってくらい、大きな声で慌てふためいて怒り始めた。
(えっ!?なんでよっ!?こんな時間に!?様子おかしかったでしょ!?)
「…うん、多分俺のせい…めっちゃ怒ってた…」
(じゃあなんで帰らせたのぉっ!バカ冬弥ぁ!涼二!?春人居ないって!帰っちゃったってぇ!)
あぁ…涼さんの差し金か。
あの人は本当に春人の事何でも分かるんだな…
俺、なんもわかんねぇよ…
はぁ…っとため息をつくと夏希が怒りながら更に大声で話すから、携帯を耳から離して仕方なく要件を聞く。
(冬弥?すぐ春人ん家行って!)
「何でだよ、俺が行ったってまた怒らせるだけだろ?それに赤ちゃん置いてけねぇし…」
(あっ!…そっか、そうだよね…涼二?冬弥、赤ちゃんいるから置いてけないよ…)
何やら向こうで話してるみたいだけど、俺の中では何も解決してないし、春人に対してどう接すればいいのか分からないまま会いになんて行っても火に油を注ぐだけだと思うから行きたくはない。
そもそもあいつらは何だって俺にお節介を焼くんだ?
あ、違うか。
俺じゃない…
春人の心配してるだけだ。
(冬弥?今から俺たちが冬弥んちで赤ちゃんの面倒見るから!冬弥は春人ん家に行ってちゃんと話ししてきて?)
「…俺じゃなくて涼さんのがいいんじゃね?」
(冬弥…?)
「俺より春人の事よく知ってんじゃん。俺、春人の事よくわかんねぇもん。何であんなに怒ってんのかも全然わかんねぇし…」
少し間が空いて聞こえたのは、涼さんの声だった。
(もしもし?冬弥? )
「あっ、はい…」
(ちゃんと話ししてきてよ…話せばわかる事もあるよ?)
(そうだよっ…今頃、春人泣いてるよ?)
二人にそこまで言われてしまったら行くしかないだろう。
でも今更何を話せばいい?
嫌われるのを覚悟でちゃんと気持ちを伝えたらいいのか、それとも当たり障りのないところで謝り倒しておけばいいのか…
頭の整理がつかないまま、とにかく俺は二人の到着を待った。
そう言われても明確な答えなんて出なくて、どう答えるのが正解だったのか…なんて頭を悩ませる。
それになんで急に千秋が出てくる?
忘れるって何の話しだ?
一体何が原因でこうなった?
帰ってきてからずっとギャン泣きの赤ちゃんをあやしながら、冷静に、一つずつ原因を紐解いていく。
まず、昨日からろくに寝てないはずの春人一人に赤ちゃんを押し付けたのは俺が悪い…
これは絶対俺のせい。
けど今日はいつもより全然早く切り上げて帰ってきたし、まさかあんなに怒ってるなんて思いもしなかったから…
それで後は、千秋が良いならって言うのは、俺が千秋の事が好きとかって事なのか?
そうだとしたらそれは完全に勘違いだ、これは訂正しなきゃいけない。
んで最後、何であんな事したかって、そんなの好きだからに決まってんじゃん。
もしかして俺の気持ちって、春人に全然伝わってないのかな?
それに嫌だったなら断ればいいのに…
あ…?そういや春人、断らないよな…
俺のお願い…
でも、じゃあ断らない理由はなんなんだ?
もしかして、全部嫌だったけど我慢してたって事か?
俺に気があるんじゃないか?なんて俺の勘違いって事…!?
あぁ、そっか…だから好きって言ったのに、それだけは受け入れてくれなかったんだな…
俺、自惚れてたのかも。
断らないのをいい事に、春人に頼りすぎてたのかもしれない。
ぼぉっと突っ立ったまま赤ちゃんをあやし、俺は春人に嫌われたんだと一人ショックを受けていた。
ひとしきり泣いた赤ちゃんは、泣き疲れたのかいつの間にか寝ていてそっとベットに戻すと、俺は自分のベットに倒れ込んだ。
するとシーンと静まりかえる部屋に、急に鳴り響くバイブ音に驚き携帯を拾い上げると、ディスプレイには夏希の文字…
「もしもし…」
(あっ、冬弥?)
「うん…どした?」
(今どこ?)
「家だけど…」
(あぁ、もう家なら良かった…春人、大丈夫?)
「え?大丈夫…って?」
(帰り際にさ?なんか思い詰めてたからさっきまた連絡したんだけど、返事なくて心配してたの。けど冬弥と一緒ならって…)
「あ、えっと…春人は帰った…」
俺の返事に夏希は鼓膜が破れるんじゃないかってくらい、大きな声で慌てふためいて怒り始めた。
(えっ!?なんでよっ!?こんな時間に!?様子おかしかったでしょ!?)
「…うん、多分俺のせい…めっちゃ怒ってた…」
(じゃあなんで帰らせたのぉっ!バカ冬弥ぁ!涼二!?春人居ないって!帰っちゃったってぇ!)
あぁ…涼さんの差し金か。
あの人は本当に春人の事何でも分かるんだな…
俺、なんもわかんねぇよ…
はぁ…っとため息をつくと夏希が怒りながら更に大声で話すから、携帯を耳から離して仕方なく要件を聞く。
(冬弥?すぐ春人ん家行って!)
「何でだよ、俺が行ったってまた怒らせるだけだろ?それに赤ちゃん置いてけねぇし…」
(あっ!…そっか、そうだよね…涼二?冬弥、赤ちゃんいるから置いてけないよ…)
何やら向こうで話してるみたいだけど、俺の中では何も解決してないし、春人に対してどう接すればいいのか分からないまま会いになんて行っても火に油を注ぐだけだと思うから行きたくはない。
そもそもあいつらは何だって俺にお節介を焼くんだ?
あ、違うか。
俺じゃない…
春人の心配してるだけだ。
(冬弥?今から俺たちが冬弥んちで赤ちゃんの面倒見るから!冬弥は春人ん家に行ってちゃんと話ししてきて?)
「…俺じゃなくて涼さんのがいいんじゃね?」
(冬弥…?)
「俺より春人の事よく知ってんじゃん。俺、春人の事よくわかんねぇもん。何であんなに怒ってんのかも全然わかんねぇし…」
少し間が空いて聞こえたのは、涼さんの声だった。
(もしもし?冬弥? )
「あっ、はい…」
(ちゃんと話ししてきてよ…話せばわかる事もあるよ?)
(そうだよっ…今頃、春人泣いてるよ?)
二人にそこまで言われてしまったら行くしかないだろう。
でも今更何を話せばいい?
嫌われるのを覚悟でちゃんと気持ちを伝えたらいいのか、それとも当たり障りのないところで謝り倒しておけばいいのか…
頭の整理がつかないまま、とにかく俺は二人の到着を待った。
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