実らない恋だと思ってたのに!?〜小さな天使は僕らの恋のキューピットだった♡〜

むらさきおいも

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第一章 舞い降りた天使

後輩、千秋の存在

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家に帰ってもほとんど寝る時間もなく、急いで支度をして 俺は仕事先のカフェに向かった。

午前中は涼二が来るまで何とかこなせたものの、午後お昼休憩の後は全くもって使い物にならなかった俺。

気がついたらカウンターでうたた寝をしていた俺は、遠くから赤ちゃんの泣き声が聞こえた気がして慌てて飛び起きた。


「はっ!ミルクっ…」

「え?ミルク?」


声がする方に目線をやれば何言ってんの?みたいな顔して涼しげに洗い終わったコーヒーカップを拭いている涼二がいた。

あ、俺仕事中じゃん…
ここが涼二んとこの店じゃなければ間違いなくクビだ。


「ごめん、寝ちゃってた」

「寝不足?珍しいじゃん。昨日なんかあった?」

「あぁ、ちょっとな…」

「あんま無理すんなよ?そろそろ海璃来るし、早めに帰って休めば?」

「いや、大丈夫。手伝うよ」


涼二の実家は俺の実家の隣にあって、俺にとって涼二は幼なじみのお兄ちゃん的存在。
一人っ子だった俺は、小さい頃から涼二が大好きだったからよくくっついて回って、本当の涼二の弟の楓とよく喧嘩もした。

だけど涼二も俺の事を本当の弟のように可愛がってくれて、それは今も同じで感謝してる。

そして昼間のカフェを閉店すると、今度は夜の仕込みを始める手伝いをしていると、いつもより早く海璃が出勤してきた。


「おつかれぇ~」

「あれ?今日早くね?」

「うん、予約入ってて…ね?」

「そうそう、珍しくね」

「ふぅん」

「そういやさっき空くんと千秋くんに会ってさ、今から2人で家行くって。珍しくない?」


え、なんで千秋が?

完全に目が覚めた俺は、何だかソワソワして作業の手を早めた。

俺だけじゃ頼りなかったから千秋も呼んだのか…?
やっぱり冬弥は俺より千秋の方が…

急にテンポを上げ出す俺に、涼二が不思議そうな顔で見てくるけど、そんな涼二を見て見ぬふりをしてある程度の作業を終わらせると俺は急いで店を出た。


「なぁ、海璃。春人、冬弥と何かあったかな?」

「え?何で?」

「うーん、何となく?」

「…前から思ってたんだけどさ、涼二さんて春人くんの変化にすぐ気が付くよね?」

「そぉ?まぁ…ずっと一緒にいるからな」

「いいなぁ…そういうの…」

「ん?海璃も楓と何かあった?」

「えっ!?涼二さんて俺の事もわかんの?」

「ん?てかお前らがわかりやすいだけじゃない?」

「そっちかぁ…」


二人がそんな会話をしてるなんてつゆ知らず…
俺は急いで冬弥ん家に向かい、いつもの猫を通り過ぎ玄関の前に着くと息を整えて扉を開けた。

そこには見慣れないスニーカーと見慣れた冬弥の仕事用の革靴が置いてあって、中からは楽しそうな声が聞こえてくる。

置いてけぼりをくらったような感覚にちょっとイラッとして勝手にリビングに乗り込んで行くと、千秋が大事そうに赤ちゃんを抱っこしてて、その横で冬弥が変な顔しながらあやしている状況に、何だか見てはいけないものを見てしまったような気分に陥り更に気持ちがモヤモヤして、来なければよかったかも…と初っ端から後悔した。
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