50 / 53
第三章
永遠の誓い
しおりを挟む
咲也が運転する車は、どんどん山を登って行く。
何となく後部座席を見てみたけど、俺が期待している物はなさそう。
まぁ、こんな山道走ったら形を保っていられないだろうし、今年はそういうのはないのかなぁと、少し残念に思いながらも窓の景色を眺めていた。
運転中にタバコを吸い始めた咲也の香りが鼻先をくすぐり、窓の外を眺めるのをやめて咲也に視線を移すと、咲也が俺の方にタバコを向けてきた。
「ちょっと吸う?」
「ううん、匂いだけでいい…」
こんなに甘い匂いがするのに、吸うと結構ガツンとくるんだもん。
俺にはちょっと無理…
そう思って咲也の肩に寄りかかった。
「眠い?」
「ううん、くっつきたいだけ」
「もうすぐ着くよ」
「うん」
細い道を縫って開けた場所に出ると、そこには真っ白な建物があって、咲也はそこで車を停めた。
「ここ?」
「そう、一緒に来てくれる?」
「…うん」
俺はドキドキしながら咲也の手を握り、その建物の中へと入って行った。
中に人は居なくて、一面綺麗なステンドグラスで覆われ、目の前には十字架が掲げられていて、ここがどこであるかはだいたい察しはついたけど、なんで俺たちがここに?
そんな気持ちで咲也の手を再び強く握ると、咲也は満面の笑みで返してきて俺の手を引き一番奥まで歩き出した。
そして十字架の前で手を離されると、咲也のポケットから四角い箱が取り出され、パカッと開いた箱には綺麗な指輪が入っていた。
俺は思わず息を飲み咲也を見つめると、どんどん視界が歪んで見えなくなって、それを受け取る前に大粒の涙がこぼれ落ちた。
「柊…俺と、ずっと一緒にいて…」
「咲也…っ、ありがとう。ずっと一緒にいる…っ」
俺の指にお揃いの指輪がピッタリハマると、今まで以上に一つになれた気がして、本当に嬉しくて涙が止まらない。
指輪一つで俺らの何が変わる訳でもないけれど、それでもこの指輪は特別で…
俺らは絶対に離れないんだっていう証のような気がして、胸が熱くなった。
「さて、次行こうか」
「次?」
「そ、次!」
言われるがまま再び車に乗って山道を少し下ると、今度は見慣れた道に出たが、家とは反対方向に進んでいく。
この道って…
「あれ?こっちって佐藤さん家の方じゃん?」
「さすがルートは完璧だな!」
「まぁね、よく行くし。なんか頼まれてたっけ?」
「俺が頼んだの」
「え?咲也が?」
「着いてからのお楽しみ」
佐藤さんとは、俺が配達によく行く常連さんで四十代の夫婦が二人で住んでる。
出産するには高齢だけど子供が欲しいと願う夫婦は、俺らの事も理解してくれててご飯を作ってくれたり面倒を見てくれたりする、とっても親切な人たち。
俺にとっては時には親のような、兄ちゃん姉ちゃんのような人達だ。
佐藤さんたちも巻き込んで、咲也はこの日の為にずっと色んな事を考えてくれてたんだって思ったら、すっごく嬉しくて自然と涙が溢れてくる…
こんなに幸せでいいのかな?
何となく後部座席を見てみたけど、俺が期待している物はなさそう。
まぁ、こんな山道走ったら形を保っていられないだろうし、今年はそういうのはないのかなぁと、少し残念に思いながらも窓の景色を眺めていた。
運転中にタバコを吸い始めた咲也の香りが鼻先をくすぐり、窓の外を眺めるのをやめて咲也に視線を移すと、咲也が俺の方にタバコを向けてきた。
「ちょっと吸う?」
「ううん、匂いだけでいい…」
こんなに甘い匂いがするのに、吸うと結構ガツンとくるんだもん。
俺にはちょっと無理…
そう思って咲也の肩に寄りかかった。
「眠い?」
「ううん、くっつきたいだけ」
「もうすぐ着くよ」
「うん」
細い道を縫って開けた場所に出ると、そこには真っ白な建物があって、咲也はそこで車を停めた。
「ここ?」
「そう、一緒に来てくれる?」
「…うん」
俺はドキドキしながら咲也の手を握り、その建物の中へと入って行った。
中に人は居なくて、一面綺麗なステンドグラスで覆われ、目の前には十字架が掲げられていて、ここがどこであるかはだいたい察しはついたけど、なんで俺たちがここに?
そんな気持ちで咲也の手を再び強く握ると、咲也は満面の笑みで返してきて俺の手を引き一番奥まで歩き出した。
そして十字架の前で手を離されると、咲也のポケットから四角い箱が取り出され、パカッと開いた箱には綺麗な指輪が入っていた。
俺は思わず息を飲み咲也を見つめると、どんどん視界が歪んで見えなくなって、それを受け取る前に大粒の涙がこぼれ落ちた。
「柊…俺と、ずっと一緒にいて…」
「咲也…っ、ありがとう。ずっと一緒にいる…っ」
俺の指にお揃いの指輪がピッタリハマると、今まで以上に一つになれた気がして、本当に嬉しくて涙が止まらない。
指輪一つで俺らの何が変わる訳でもないけれど、それでもこの指輪は特別で…
俺らは絶対に離れないんだっていう証のような気がして、胸が熱くなった。
「さて、次行こうか」
「次?」
「そ、次!」
言われるがまま再び車に乗って山道を少し下ると、今度は見慣れた道に出たが、家とは反対方向に進んでいく。
この道って…
「あれ?こっちって佐藤さん家の方じゃん?」
「さすがルートは完璧だな!」
「まぁね、よく行くし。なんか頼まれてたっけ?」
「俺が頼んだの」
「え?咲也が?」
「着いてからのお楽しみ」
佐藤さんとは、俺が配達によく行く常連さんで四十代の夫婦が二人で住んでる。
出産するには高齢だけど子供が欲しいと願う夫婦は、俺らの事も理解してくれててご飯を作ってくれたり面倒を見てくれたりする、とっても親切な人たち。
俺にとっては時には親のような、兄ちゃん姉ちゃんのような人達だ。
佐藤さんたちも巻き込んで、咲也はこの日の為にずっと色んな事を考えてくれてたんだって思ったら、すっごく嬉しくて自然と涙が溢れてくる…
こんなに幸せでいいのかな?
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる