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第三章
黒い闇
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「咲也…ごめんね…俺っ…もう一緒にいれない…」
「…っ、何言ってんだよっ!そんな、急に…っ、ちゃんと説明して!」
「…思い出したんだ。俺が…俺の為にした事…全部」
「どう言う…事…?」
「俺は…自分で都合よく…自分の記憶を…書き換えてた…」
「は…そんな事…」
「咲也…俺ね、双子の妹がいたの…美羽っていう…でもね、俺の身代わりになって死んだんだ…」
「妹…身代わりって…」
「あの頃…近所で通り魔事件があってさ…何故か男の子だけが狙われてたんだ。俺はそれを知ってて美羽とランドセルを取り換えた。美羽は何も知らずに青いランドセルを背負ってさ…学校の帰りに通り魔に襲われて死んだの。本当は俺だったんだ…あの時死ぬべきは俺だった。美羽が居なくなってから家族もバラバラになった…そして俺には光ちゃんしかいなくなった。なのにっ、光ちゃんは隆ちゃんとばっか…っ、だから俺は…っ」
「柊、柊…落ち着いて…妹ことはわかった。けどそれだってたまたま起きた不幸だろ?柊のせいじゃ…」
「俺のせいだよ!!分かってたんだっ…俺は殺されたくなかった。狙われるのが男の子だけだって聞いて…俺は咄嗟に美羽を身代わりにする事を思い付いたんだ…っ。最低だろ…」
確かに狙われたのが美羽だったのは、たまたまだったかもしれない。
だけど、俺が美羽の赤いランドセルじゃなくてそのまま青いのを使ってたら、俺が間違いなく狙われたんだ。
咲也は恐ろしい物を見るような目で黙って俺を見てた。
多分、もう一緒にはいられないと思う…
だって、あの日の記憶も咲也に話した事も、全部俺が都合よく生み出した『嘘』だったって思い出してしまったから。
「俺を殺していいよ…咲也。俺はね…隆ちゃんを恨んでた。突然光ちゃんの前に現れてから…光ちゃんは隆ちゃんに夢中になって俺の事を見てくれなくなった。どうしたら戻ってきてくれるだろうって思ってた時…俺にあの人が教えてくれたんだ。隆ちゃんは警察の人間だから光ちゃん捕まっちゃうよって…それが嫌だったら殺せって…」
「お前が…兄貴を殺ったのか…?」
「違うよ…俺があの場所に呼んだの。だから…っ、俺のせいで…っ」
「柊は…本当は藤代のことが好きだったのか?」
「うん、好きだったよ…隆ちゃんが死んだのに、やっと俺の元に戻ってきてくれたって嬉しかった。けど、隆ちゃんが死んでから兄ちゃんはおかしくなっちゃったから…あんな事されるなんて思ってなかったから。けど全部俺のせい…自業自得…だから我慢した…」
「あの人って…誰だ…?」
「あの人は…わかんない。もう覚えてない。ねぇ、咲也…俺の事殺してよ…お願い。もうこんな俺、嫌なんだ…っ」
「けど、兄貴は柊を守れって言った…だから俺はお前を守る…」
「なんで!?俺が隆ちゃんを騙したんだよ!?なんで俺が守られなきゃいけないの!?」
「もういいんだ、本当の事とかもうどうでもいい。俺は柊が好き…それだけじゃダメか?」
そう言って近づいてくる咲也の目には光なんてなくて、黒い闇が渦巻いているようにさえ見えた。
多分俺が…俺のせいで咲也までも壊してしまったんだって思ったら、もういっそのこと一緒に壊れてしまおうって、二人で黒い渦に飲まれて深く深く堕ちてしまえばいいって、そう思ったんだ。
「咲也は…それでいいの…?」
「いい…もうお前の事しか考えらんないから…お前のせいで人が死ぬなら俺もその渦に巻き込んで殺してよ…」
「じゃあ…一緒に溺れて…」
「…っ、何言ってんだよっ!そんな、急に…っ、ちゃんと説明して!」
「…思い出したんだ。俺が…俺の為にした事…全部」
「どう言う…事…?」
「俺は…自分で都合よく…自分の記憶を…書き換えてた…」
「は…そんな事…」
「咲也…俺ね、双子の妹がいたの…美羽っていう…でもね、俺の身代わりになって死んだんだ…」
「妹…身代わりって…」
「あの頃…近所で通り魔事件があってさ…何故か男の子だけが狙われてたんだ。俺はそれを知ってて美羽とランドセルを取り換えた。美羽は何も知らずに青いランドセルを背負ってさ…学校の帰りに通り魔に襲われて死んだの。本当は俺だったんだ…あの時死ぬべきは俺だった。美羽が居なくなってから家族もバラバラになった…そして俺には光ちゃんしかいなくなった。なのにっ、光ちゃんは隆ちゃんとばっか…っ、だから俺は…っ」
「柊、柊…落ち着いて…妹ことはわかった。けどそれだってたまたま起きた不幸だろ?柊のせいじゃ…」
「俺のせいだよ!!分かってたんだっ…俺は殺されたくなかった。狙われるのが男の子だけだって聞いて…俺は咄嗟に美羽を身代わりにする事を思い付いたんだ…っ。最低だろ…」
確かに狙われたのが美羽だったのは、たまたまだったかもしれない。
だけど、俺が美羽の赤いランドセルじゃなくてそのまま青いのを使ってたら、俺が間違いなく狙われたんだ。
咲也は恐ろしい物を見るような目で黙って俺を見てた。
多分、もう一緒にはいられないと思う…
だって、あの日の記憶も咲也に話した事も、全部俺が都合よく生み出した『嘘』だったって思い出してしまったから。
「俺を殺していいよ…咲也。俺はね…隆ちゃんを恨んでた。突然光ちゃんの前に現れてから…光ちゃんは隆ちゃんに夢中になって俺の事を見てくれなくなった。どうしたら戻ってきてくれるだろうって思ってた時…俺にあの人が教えてくれたんだ。隆ちゃんは警察の人間だから光ちゃん捕まっちゃうよって…それが嫌だったら殺せって…」
「お前が…兄貴を殺ったのか…?」
「違うよ…俺があの場所に呼んだの。だから…っ、俺のせいで…っ」
「柊は…本当は藤代のことが好きだったのか?」
「うん、好きだったよ…隆ちゃんが死んだのに、やっと俺の元に戻ってきてくれたって嬉しかった。けど、隆ちゃんが死んでから兄ちゃんはおかしくなっちゃったから…あんな事されるなんて思ってなかったから。けど全部俺のせい…自業自得…だから我慢した…」
「あの人って…誰だ…?」
「あの人は…わかんない。もう覚えてない。ねぇ、咲也…俺の事殺してよ…お願い。もうこんな俺、嫌なんだ…っ」
「けど、兄貴は柊を守れって言った…だから俺はお前を守る…」
「なんで!?俺が隆ちゃんを騙したんだよ!?なんで俺が守られなきゃいけないの!?」
「もういいんだ、本当の事とかもうどうでもいい。俺は柊が好き…それだけじゃダメか?」
そう言って近づいてくる咲也の目には光なんてなくて、黒い闇が渦巻いているようにさえ見えた。
多分俺が…俺のせいで咲也までも壊してしまったんだって思ったら、もういっそのこと一緒に壊れてしまおうって、二人で黒い渦に飲まれて深く深く堕ちてしまえばいいって、そう思ったんだ。
「咲也は…それでいいの…?」
「いい…もうお前の事しか考えらんないから…お前のせいで人が死ぬなら俺もその渦に巻き込んで殺してよ…」
「じゃあ…一緒に溺れて…」
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