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第二章
内部捜査
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柊を退院させて、セキュリティの高いマンションに引越してから二日目のこと。
柊は相変わらず話せないけど、食事も取れるようになったし、少しづつ日常生活に慣れていった。
部屋に一人、柊だけ置いていくのは凄く心配だけど、新しい携帯も持たせたしオートロックだし、誰にもこの場所は知られてないはずだからと、俺はまた一人捜査に出かけた。
日が沈む頃、柊のお見舞いに行くふりをして看護師さんと挨拶を交わし、柊の病室に入る。
そして数分時間を潰し病室を出ると、いつもの看護師さんを見つけ言付けをする。
「今日は?誰も来てない?」
「それがさっき、三上さんが病室に入った後すぐ来たんですよ、あの前の人」
「それで!?そいつは!?」
「今、別の刑事さんがいらしてますよって言ったら、面会時間聞かれてすぐいなくなっちゃいました」
「柊の、長谷川さんの様子聞かれませんでした?」
「あぁ、聞かれました。まだお目覚めになりませんよって言いましたが…」
何を企んでる…
一体誰なんだ!?
俺がいたらまずいってことは、俺が居ない時間を狙って来るってことだよな?
しかしこんな短期間に二回も…
向こうも焦ってるって事か?
もしかしたら今日なにか掴めるかもしれない、そう思って帰るのをやめて、柊にメッセージを残し暫く張り込むことにした。
そして面会時間も既に過ぎた夜22時頃…
ナースステーションも人がまばらになり誰もいなくなった隙に、階段の辺りから黒い人影が覗いた。
俺はバレないようにキャップを被ったその男の姿を捉えると、その後ろを尾行した。
消灯時間も過ぎ廊下も病室も真っ暗な中、奴は病室に入る前に、念入りに周りを確認した後、手袋をはめ柊がいた病室の扉を開けた。
そして数秒間を開けた後、扉を開けて俺は銃を構えた。
「そこでなにやってる」
「…っ!?」
「おっと、動くなよ…いつでもぶっぱなせるからな。とりあえずその物騒なもんこっちよこせ」
そいつが手に持ってたのは間違いなく大きめのナイフで、奴はそのナイフをこっちに投げると両手を上げ降参した。
そしてそいつに近づきキャップを外すと、その顔はあの張り込みのとき、俺の隣であんぱんを食ってたあのうるさい男だった。
「お、お前…ここで何…っ」
「…ふふっ、ははっ、ねぇなんでいないの?柊くん。どこに隠れてるのかな?俺、今日中に殺して来いって言われてたのにこれじゃだめじゃぁん…」
「誰に…頼まれたんだよ…」
「そんなこと言えるわけないだろ?」
「お前がアイツらと繋がってたのか…?」
「だから言えるわけないだろって…あぁ、失敗かぁ」
あの張り込みの時、間違いなく藤代を確認したのはこいつで、こいつの号令があったから突入出来たはずだ。
なら、こいつは藤代を売ったって事か!?
そうだ、元々藤代が殺しまでもしたかどうかなんて証拠はないのに、そういうことにされてるのだってきっと裏があるからに違いない。
やっぱりこの山…
「やめた方がいいよ…もう、あんたも殺されるよ?」
「おい、どういう…」
「あはっ、その前に俺が殺してやろっか?そうだな、長谷川が無理でもお前だけでも殺っとけば許してもらえるかも知んねぇしなぁっ!」
無茶苦茶だ…っ。
俺はそいつに突き飛ばされるとさっきそいつが投げたナイフを広い抵抗しようとしたが、それより一歩早く、奴が俺の落とした銃を拾い上げ俺に向けた。
「恨まないでね」
そして間髪入れず、容赦なしに引き金が引かれ銃声が鳴り響いたと同時に、扉の向こうから数人の警察官らしき人達が入ってきて奴を取り囲んだ。
「動くなっ」
「あーぁ…なんだよ、一人じゃなかったの?」
「三上っ!!」
「…っ、お…さん…?なん…で…」
「一人で動いてる奴がいるから連れ戻して来いって上からの命令だ。勝手な真似するなって何度言ったらわかるんだよ」
「だって…っ」
「長谷川は…?」
「…ここには…いない」
「じゃあどこに!?」
「柊が居たら…おっさんも…困るのか…?」
「お前なぁ…」
「だめっ…柊は渡せない…っ、う…っ、はぁ…はぁ…っ」
「三上…っ!」
あいつ…本当に撃ちやがった…
どんだけ切羽詰まってんだよ、どんだけおかしくなってんの?
多分、俺が警察官としてできることなんてもう何も無い。
一人出しゃばったところで、これじゃ潰されるのが落ちだ…
それに、こんな危ない橋渡ってたら命が何個あっても足りやしねぇし、柊を守るどころじゃなくなっちまう。
ならばもうこの件から手を引こう…
そして俺は柊と一緒に俺らのこと誰も知らないところに行こう。
なぁ、兄貴…ごめんな。
無念晴らせなくて…
でも柊だけは守るから…だから許して…?
お願いだから…
まだそっちに連れてかないで―――
柊は相変わらず話せないけど、食事も取れるようになったし、少しづつ日常生活に慣れていった。
部屋に一人、柊だけ置いていくのは凄く心配だけど、新しい携帯も持たせたしオートロックだし、誰にもこの場所は知られてないはずだからと、俺はまた一人捜査に出かけた。
日が沈む頃、柊のお見舞いに行くふりをして看護師さんと挨拶を交わし、柊の病室に入る。
そして数分時間を潰し病室を出ると、いつもの看護師さんを見つけ言付けをする。
「今日は?誰も来てない?」
「それがさっき、三上さんが病室に入った後すぐ来たんですよ、あの前の人」
「それで!?そいつは!?」
「今、別の刑事さんがいらしてますよって言ったら、面会時間聞かれてすぐいなくなっちゃいました」
「柊の、長谷川さんの様子聞かれませんでした?」
「あぁ、聞かれました。まだお目覚めになりませんよって言いましたが…」
何を企んでる…
一体誰なんだ!?
俺がいたらまずいってことは、俺が居ない時間を狙って来るってことだよな?
しかしこんな短期間に二回も…
向こうも焦ってるって事か?
もしかしたら今日なにか掴めるかもしれない、そう思って帰るのをやめて、柊にメッセージを残し暫く張り込むことにした。
そして面会時間も既に過ぎた夜22時頃…
ナースステーションも人がまばらになり誰もいなくなった隙に、階段の辺りから黒い人影が覗いた。
俺はバレないようにキャップを被ったその男の姿を捉えると、その後ろを尾行した。
消灯時間も過ぎ廊下も病室も真っ暗な中、奴は病室に入る前に、念入りに周りを確認した後、手袋をはめ柊がいた病室の扉を開けた。
そして数秒間を開けた後、扉を開けて俺は銃を構えた。
「そこでなにやってる」
「…っ!?」
「おっと、動くなよ…いつでもぶっぱなせるからな。とりあえずその物騒なもんこっちよこせ」
そいつが手に持ってたのは間違いなく大きめのナイフで、奴はそのナイフをこっちに投げると両手を上げ降参した。
そしてそいつに近づきキャップを外すと、その顔はあの張り込みのとき、俺の隣であんぱんを食ってたあのうるさい男だった。
「お、お前…ここで何…っ」
「…ふふっ、ははっ、ねぇなんでいないの?柊くん。どこに隠れてるのかな?俺、今日中に殺して来いって言われてたのにこれじゃだめじゃぁん…」
「誰に…頼まれたんだよ…」
「そんなこと言えるわけないだろ?」
「お前がアイツらと繋がってたのか…?」
「だから言えるわけないだろって…あぁ、失敗かぁ」
あの張り込みの時、間違いなく藤代を確認したのはこいつで、こいつの号令があったから突入出来たはずだ。
なら、こいつは藤代を売ったって事か!?
そうだ、元々藤代が殺しまでもしたかどうかなんて証拠はないのに、そういうことにされてるのだってきっと裏があるからに違いない。
やっぱりこの山…
「やめた方がいいよ…もう、あんたも殺されるよ?」
「おい、どういう…」
「あはっ、その前に俺が殺してやろっか?そうだな、長谷川が無理でもお前だけでも殺っとけば許してもらえるかも知んねぇしなぁっ!」
無茶苦茶だ…っ。
俺はそいつに突き飛ばされるとさっきそいつが投げたナイフを広い抵抗しようとしたが、それより一歩早く、奴が俺の落とした銃を拾い上げ俺に向けた。
「恨まないでね」
そして間髪入れず、容赦なしに引き金が引かれ銃声が鳴り響いたと同時に、扉の向こうから数人の警察官らしき人達が入ってきて奴を取り囲んだ。
「動くなっ」
「あーぁ…なんだよ、一人じゃなかったの?」
「三上っ!!」
「…っ、お…さん…?なん…で…」
「一人で動いてる奴がいるから連れ戻して来いって上からの命令だ。勝手な真似するなって何度言ったらわかるんだよ」
「だって…っ」
「長谷川は…?」
「…ここには…いない」
「じゃあどこに!?」
「柊が居たら…おっさんも…困るのか…?」
「お前なぁ…」
「だめっ…柊は渡せない…っ、う…っ、はぁ…はぁ…っ」
「三上…っ!」
あいつ…本当に撃ちやがった…
どんだけ切羽詰まってんだよ、どんだけおかしくなってんの?
多分、俺が警察官としてできることなんてもう何も無い。
一人出しゃばったところで、これじゃ潰されるのが落ちだ…
それに、こんな危ない橋渡ってたら命が何個あっても足りやしねぇし、柊を守るどころじゃなくなっちまう。
ならばもうこの件から手を引こう…
そして俺は柊と一緒に俺らのこと誰も知らないところに行こう。
なぁ、兄貴…ごめんな。
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でも柊だけは守るから…だから許して…?
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