ミントバニラ

桜ゆき

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第二章

咲也の正体とは…

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あの事件から二日、俺は今日も病院のベットの上にいる。

決められた時間にご飯を食べ、決められた時間に起きて寝る。
こんな規則正しい生活はいつぶりだろうか…

だけど眠りにつく度に、昼でも夜でもうなされて全然寝つけやしない。

最期の光ちゃんの姿がどうしても頭から離れなくて、苦しくて怖くて今朝も吐き気と共に目が覚めた。


「う…っ、はぁ…はぁ…っ」


用意された入れ物を口元に置いて、ナースコールを力いっぱい掴むと、看護師さんがすぐに駆けつけてくれる。

大丈夫?と優しく声をかけてくれて背中をさすってくれると、もうとっくに忘れた母親の存在を思い出していた。


「柊…っ、どうした!?」

「あぁ、三上さん。柊くん今朝も気持ち悪くなっちゃったみたいで…」

「そっか…俺、変わります。それとも看護師さんのがいいか?」


どっちがいいだなんて一概に言えないけど、咲也が来てくれたなら咲也にそばにいて欲しい。

そう思って首を横に振った。


「じゃあ、お願いします。何かあったらまた呼んで下さいね?」

「はい、ありがとうございます」


看護師さんは全ての処理を済ませ、新しいものを用意してそそくさと部屋を後にした。

個室だから俺と咲也以外は誰もいない…

咲也はベットの端に座りながら、俺の背中を優しく撫でてくれる。

さっき全部出しちゃったらもう何も出てきやしないけど、モヤモヤ感だけがずっとあって気持ち悪くて仕方ない。


「柊…なんか飲む?」

「いらない…」

「なんかして欲しことは?」

「…だ」

「だ?」

「抱き…しめて…」

「いいよ」


咲也に抱き寄せられると、相変わらずあの匂いがふわっと薫る。

俺はその大好きな薫りに癒されならも、光ちゃんのこと、隆ちゃんの事をも同時に思い起こさせるから内心は複雑だ。

それともう一つ、入院中に冷静になって考えた時に疑問がいくつか浮かんできたんだ。

それは、咲也が本当は何者なのか―――
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