ミントバニラ

むらさきおいも

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第二章

突入

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全員の配置が整い、俺らは玄関の前で銃を構え突入のタイミングを伺う…

中の様子が分からないからむやみに突入できず、扉に張り付き聞き耳を立てれば、最中なのか柊の甘い声が聞こえる…

こんな時にまで弟を性の道具として扱うのか!?

もう我慢ならなくて拳に力が入ると、もう少し待てと上から命令が下される。

行為が終わったのか部屋が一瞬静まりかえると、中から何やら話し声が聞こえてくる。

そして動き出すかと思ったその時、柊の叫び声が聞こえた。


「行かないでっ、行かないでよ兄ちゃんっ!」


柊にとってはあんなんでも、大事な兄ちゃんなんだって事が辛くて切なくて、俺は兄弟の絆とやらを恨んだ。

そしてその後、まだ静まりかえる部屋の中に違和感を感じた俺ら緊張感が走り、何かあってからじゃ遅いと突入を開始した。

先にベランダに張ってた奴らが窓ガラスを割って中に侵入、その音を合図に鍵を開け部屋に侵入した俺らが見たのは、シャツだけを纏った姿の柊に馬乗りになり首を絞めてる藤代だった。


「そこまでだ藤代、弟から手を離せ」

「ふふっ…ははっ、間に合わなかったわ、柊…ごめんな」

「…っ、げほっ、ごほっ…はっ…はぁっ…兄…ちゃ…」

「柊っ!!おいっ、大丈夫かっ!?柊っ!!」

「さ…く…」 

「柊っ…もう大丈夫だからな…っ、ここから出ような…っ」


一枚纏ったシャツはぐっしょり濡れていて、部屋中にも吐き気がするくらいの異臭が漂っている。

そんな中別の部隊がカバンの中の遺体を発見し運び出すと、おっさん達が藤代を寝室まで追い詰めていた。


「藤代っ、やめろ…っ、銃を下ろせっ!」

「どっちにしろ終わりにするつもりだった…柊、一緒に逝けなくてごめんな…俺、先に逝くわ。隆が待ってる…」

「だめっ!兄ちゃんっ!やめてっ!」

「隆…っ、隆っておい、藤代っ!お前が兄貴を殺したんじゃないのか!?」

「隆…あ…兄貴…?」


柊が兄貴という言葉に反応すると、急に呼吸を乱し俺から離れようとした。

その意図が俺には分からなくて、柊を抱き寄せようとしても柊は俺に触れられたくないのか、体を縮こまらせ震えてる。


「お前…っ、隆の弟か…ごめんな、守ってやれなくて…」

「そ、それじゃ…誰が兄貴を…っ!?教えてくれよっ」

「あの人には関わるな…柊…お前も早くここから逃げろ、わかったな」

「兄ちゃんっ!」


藤代の持っていた銃からパーンと乾いた銃声が鳴り響くと、その玉は藤代のこめかみを貫き藤代はベットに沈んだ。
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