ミントバニラ

むらさきおいも

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第二章

張り込み

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柊の後を追った翌日から、柊との連絡が途絶えた。

俺の存在に気付かれたのかもしれない。
そう思った俺は、柊の安否が気になって直ぐにあのアパートに向かった。

だけど今勝手に乗り込む訳にも行かなくて、おっさんに連絡して柊の家に藤代が出入りするのを待っていた。

するとその日の夜中、もう日をまたぐぐらいの時間に一台の車が乗りつけた。

1人の大きな男ともう1人、柊を抱えて部屋へと入っていった。
柊はグッタリとした様子で、生きてるのか死んでるのかも分からない…

あの男たちの中に藤代の姿はない。
藤代が来るまでは動くなと言われてる俺は、動きたくても動けなくて黙ってその場で待機するしか無かった。


そして数分後…

男達が部屋を出て車で走り去ったのを確認すると、俺は速攻おっさんに電話をかけた。


「あ、もしもし?おっさん?」

(お、なんか動いたか?)

「柊が男2人に担ぎ込まれた、んでそいつらはもう出て行っていない」

(藤代は!?いたのか?)

「や、ガタイのデカイ男ともう一人別の男…おっさん!」

(ん?)

「柊が心配なんだ…今様子見に行ってもいい?」

(ダメだっ!今お前が行ってその事が藤代にバレたら、また警戒されるだろ?)

「でもっ、柊が…っ」

(人目に着く状態で運ばれたんだ。恐らく大丈夫だろ…それよりお前が行けば、また彼の身が危険にさらされるんじゃないか?)

「う…っ」


そうだよな…
だからきっと柊は帰って来れなかったんだ。
あいつが捕まれば柊も自由になれる…
それまでの辛抱か。


「分かった…とりあえず待つよ…」

(頼んだぞ)


そして、いよいよ動くかもしれないと、おっさんのところから助っ人が到着した。

寝てなかった俺は、助手席にそいつを座らせ、運転席で仮眠を取る。
だけどそいつが、またうるさくてたまらない。


「なぁ!あんぱん食う??」

「ん?あぁ、じゃあ…どうも」

「牛乳は?」

「あ、じゃあ…」

「ねぇ、あのさ…」

「あのぉ!寝てないんで寝ていっすか!?」


半ば無理やり話を中断させると、あんぱんを咥えながらつまんないとでも言いたそうに、俺に視線を向ける彼。

この人、万が一って時ちゃんと動けるのかな?

何だか心配だわ…


そして、目を閉じてから数分後…

また彼が俺の体を揺さぶりながら騒ぎ出して、仮眠すら出来ない状況に腹を立てた。


「なぁ!マジでっ…ん!?」 

「しーっ、来た。藤代…」

「…っ!?」

「すぐ本部に連絡、GOが出たらこのまま突入になるかと…」

「わかった…すぐ連絡する」


俺は急いでおっさんに連絡して状況を説明すると、全員の配置が整い次第あのアパートに突入して藤代を逮捕する計画。

人質の身柄最優先でって事だから、俺はとにかく柊をあいつから引き離す事に全力を尽くそうと考えた。
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