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第一章
咲也の家
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ふわっとあの香りが鼻をかすめると、重たい瞼がゆっくり開く。
見慣れない天井に見慣れないに見慣れない部屋、それにふかふかのベット…
そして、煙にのって甘いバニラの香りが俺を包み込む。
光ちゃん…?
じゃない…っ、咲也っ!?
「…っ、ここは…っ!?」
「俺んち、お前気ぃ失って…」
「今何時っ!?帰らなきゃ…っ、あ"ぅ…っ」
「無理すんな、もう夜中だから。明日病院行こう、な?」
「何、言ってんだよ…っ、帰んなきゃ…」
明日まで待てるわけが無い。
今すぐ、今すぐ帰ってなきゃいけないのに!
痛みと恐怖で震える身体を無理やり起こし、ベットから這い上がろうとすると、すぐさま咲也に押さえつけられてしまう。
「そんなボロボロの身体で帰せるわけないだろ!?あんなヤツやめて俺のとこに来いよ!」
「…出来ないっ」
「なんでだよ…っ!」
「お前は光ちゃんの怖さを知らないっ。それに…っ巻き込みたくないんだよ…頼むから…俺に関わるな…っ」
「いやだ!俺はお前を守りたい、だから…っ」
「迷惑だって言ってんの!!…う"ぅ…っ、、」
咲也の腕を振り払うと身体中に痛みが走って苦しくて、情けないくらいに流れてくる涙を咲也が拭ってくれて抱きしめられると、その暖かい温もりに力が抜けていく。
優しく背中を撫でられ呼吸が落ち着いてくれば、この匂いも光ちゃんのものじゃなくて咲也から香る優しい匂いに変わるんだ。
俺はたぶん…光ちゃんより…
咲也が好きなんだ。
「咲…也…っ」
「柊…助けて欲しいんだろ…?」
「咲也…っ、俺っ…」
「絶対助ける…助けるから。今日はゆっくり休め」
この温もりに甘えてしまいたい、このまま咲也ずっと一緒にいたい。
助けて欲しいよ、咲也…っ。
だけど、もうこれ以上…俺のせいで苦しむ人を見たくないんだ。
苦しむのは俺一人で十分、俺のせいで咲也を巻き込みたくないっ。
「ごめんっ、やっぱり帰らないと…俺のせいでお前も殺される…っ、だから…帰らなきゃ…っ」
「柊…っ」
「頼むから…っ、頼むからもう俺に関わらないで…っ、絶対に着いてくんな…っ、わかったな…!?」
咲也を無理やり振り切ってタクシーを捕まえ自宅に帰ると、光ちゃんが来てる形跡はなかった。
俺はほっとしてベットに倒れ込むと、そのまま痛みとともにまた意識を失った。
見慣れない天井に見慣れないに見慣れない部屋、それにふかふかのベット…
そして、煙にのって甘いバニラの香りが俺を包み込む。
光ちゃん…?
じゃない…っ、咲也っ!?
「…っ、ここは…っ!?」
「俺んち、お前気ぃ失って…」
「今何時っ!?帰らなきゃ…っ、あ"ぅ…っ」
「無理すんな、もう夜中だから。明日病院行こう、な?」
「何、言ってんだよ…っ、帰んなきゃ…」
明日まで待てるわけが無い。
今すぐ、今すぐ帰ってなきゃいけないのに!
痛みと恐怖で震える身体を無理やり起こし、ベットから這い上がろうとすると、すぐさま咲也に押さえつけられてしまう。
「そんなボロボロの身体で帰せるわけないだろ!?あんなヤツやめて俺のとこに来いよ!」
「…出来ないっ」
「なんでだよ…っ!」
「お前は光ちゃんの怖さを知らないっ。それに…っ巻き込みたくないんだよ…頼むから…俺に関わるな…っ」
「いやだ!俺はお前を守りたい、だから…っ」
「迷惑だって言ってんの!!…う"ぅ…っ、、」
咲也の腕を振り払うと身体中に痛みが走って苦しくて、情けないくらいに流れてくる涙を咲也が拭ってくれて抱きしめられると、その暖かい温もりに力が抜けていく。
優しく背中を撫でられ呼吸が落ち着いてくれば、この匂いも光ちゃんのものじゃなくて咲也から香る優しい匂いに変わるんだ。
俺はたぶん…光ちゃんより…
咲也が好きなんだ。
「咲…也…っ」
「柊…助けて欲しいんだろ…?」
「咲也…っ、俺っ…」
「絶対助ける…助けるから。今日はゆっくり休め」
この温もりに甘えてしまいたい、このまま咲也ずっと一緒にいたい。
助けて欲しいよ、咲也…っ。
だけど、もうこれ以上…俺のせいで苦しむ人を見たくないんだ。
苦しむのは俺一人で十分、俺のせいで咲也を巻き込みたくないっ。
「ごめんっ、やっぱり帰らないと…俺のせいでお前も殺される…っ、だから…帰らなきゃ…っ」
「柊…っ」
「頼むから…っ、頼むからもう俺に関わらないで…っ、絶対に着いてくんな…っ、わかったな…!?」
咲也を無理やり振り切ってタクシーを捕まえ自宅に帰ると、光ちゃんが来てる形跡はなかった。
俺はほっとしてベットに倒れ込むと、そのまま痛みとともにまた意識を失った。
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