ミントバニラ

むらさきおいも

文字の大きさ
上 下
2 / 53
第一章

光ちゃん

しおりを挟む
「ん…っ、う…」

「柊…大丈夫か…?」

「…うん」


またあの日の夢を見た…

何度も何度も夢に見るあの日の壮絶な光景は、忘れたくたって忘れられない。

いや、忘れる事は絶対に許されない。

脳裏に焼き付いたあの時の、あの場所の匂いや音、感触、そしての涙…

俺にはどんなに償ったって償いきれない光ちゃんへの懺悔があるから、どんなに辛くたってどんなに苦しくったって我慢しなきゃいけないんだって思ってる。

俺が光ちゃんの…二人の幸せを…
人生を壊したんだから。


セックスが終わった後の光ちゃんは、いつも優しい顔で俺の頭を撫でてくれる。

あんなことさえなければ光ちゃんは本当に優しい人だったはずなのに、今となってはもうどっちが本当の光ちゃんなのか、俺にも分からないんだ。


「なぁ、柊…」

「ん…」

「暫く海外に行くことになる」

「え…じゃあ…俺も…?」

「いや、お前は連れて行けない」

「そう…なんだ…」


いつも一緒にいる事が当たり前で、こんな生活嫌でたまらなかったのに、急に一人になると思ったらそれはそれで凄く不安だ。

もしかして本当にやばい仕事に手を出してるのか…?

それとももう、そろそろ潮時なのだろうか…

俺も光ちゃんも、用が済めばきっと隆ちゃんのように―――


「柊…?俺の事、好きか?」

「…うん、好きだよ」

「ずっと傍にいてくれよ…」

「うん…いる。ずっとそばにいるよ…」

「ふふっ、だといいけど…」


決して、償わなければいけないから好意を持っているをしている訳では無い。

光ちゃんは俺の大切な人であり、そして何より、誰にも変えられない大好きな、たった一人の俺の―――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達

冬生まれ
BL
君は僕の友達。

あの頃の僕らは、

のあ
BL
親友から逃げるように上京した健人は、幼馴染と親友が結婚したことを知り、大学時代の歪な関係に向き合う決意をするー。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...