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レオとアレク
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レオの胸に刺さった剣を引き抜くと、自分の着てる服を破り止血をするアレク。
今更そんな事したって…っ。
俺は悔しい気持ちを押し殺しながらも、流れてくる涙を抑えられなかった。
「レオ…ねぇ、レオ…起きて…っ」
優しく語り掛けるアレクの声は少し震えてて、でも泣くことも無ければ取り乱すこともない。
「アレク…レオは…もう…」
「ううん、そんな事ない…っ、俺はレオを殺したりしない」
「えっ…でも…」
あの一瞬で数mmを調節するなんて、いくらアレクでも絶対無理だ。
生きてて欲しい、そう信じたいけど俺がもしやれてたとしても、この距離で核だけを突くなんて絶対無理だった…
だから出来なかったのに…
「こうなった時から決めてた。ルシアの事は絶対カイルが守ると思ったし、ルシアが出来ないなら…背負わせるくらいならその役は俺がやるって…」
動揺はしてるみたいだけど、ここまではいつもと同じ冷静なアレクだった。
いつもと変わらなすぎて怖いくらい…
いつどんな時も冷静で感情に左右されることなんて無くて、泣いてるところなんて見た事なかったのに。
そんなアレクが声を震わせ、堪えるように泣き始めたんだ…
「でも…っ、カイルの怪我は誤算だった…ごめん…っ、守れなくて…っ。カイルもレオも…どうか助かって…っ」
そしてアレクの涙が一粒、レオの頬に落ちると頬をピクりと
動かしレオが急に息を吹き返したのだ。
「…うっ、あ…痛ぇ…っ」
「レオ!?レオっ!!」
「アレク…俺…っ」
「良かった…レオ…っ、本当に…っ」
レオが生きてた…
アレクは本当にレオを殺さずして解放したんだ。
そして嗚咽混じりに涙をボロボロ流しながら泣くアレクに、彼も人間なんだと安心感を覚えた。
早く俺もレオのそばに行きたいけどそれどころじゃない。
休みなくカイルに力を注ぎ込む俺の体力もそろそろ限界を迎えそうなのに、カイルの顔色は一向に良くならず血の気が引いたまま浅い呼吸を繰り返している。
治癒の能力なんて言っても俺のはたかが知れてる…
だけど今ここにいるのは俺だけ、俺が何とかしなきゃ。
「ごめんアレク…そろそろ限界だから…ラフィー呼んできて欲しい…」
「…っ、うん、わかった」
アレクにラフィーを呼び戻しに行ってもらうと、俺はレオを呼び寄せた。
「レオ…動けないから来て」
「なんとかなるか…この傷…」
「うん」
本当はカイルに送る力だけで精一杯だけど、心臓まで達していないとはいえ胸を一突きされたレオだって出血と痛みくらいは取らないと、ニルとは戦えない。
俺が動けなくなったとしても、レオとカイルだけは…
「ルシア…」
「ん?」
「俺がカイルをやったのか…?」
血で染まった自分の手とカイルを交互に見ながら、見た事もないような複雑な表情で俺に質問をぶつけてくるレオ。
違う…あれはレオじゃない。
カイルだってレオがやったなんて思っちゃいないだろう…
「…レオじゃないよ。それより…ニルを頼む…」
「あぁ、そうだな。わかった」
「レオ…暫くの間、ここに誰も近づけないように出来る?」
「あぁ、結界を張るくらいなら」
レオの傷をある程度塞ぎ結界を張ってもらうとラフィーが来るまでの間、俺はある方法を実行することにした。
今更そんな事したって…っ。
俺は悔しい気持ちを押し殺しながらも、流れてくる涙を抑えられなかった。
「レオ…ねぇ、レオ…起きて…っ」
優しく語り掛けるアレクの声は少し震えてて、でも泣くことも無ければ取り乱すこともない。
「アレク…レオは…もう…」
「ううん、そんな事ない…っ、俺はレオを殺したりしない」
「えっ…でも…」
あの一瞬で数mmを調節するなんて、いくらアレクでも絶対無理だ。
生きてて欲しい、そう信じたいけど俺がもしやれてたとしても、この距離で核だけを突くなんて絶対無理だった…
だから出来なかったのに…
「こうなった時から決めてた。ルシアの事は絶対カイルが守ると思ったし、ルシアが出来ないなら…背負わせるくらいならその役は俺がやるって…」
動揺はしてるみたいだけど、ここまではいつもと同じ冷静なアレクだった。
いつもと変わらなすぎて怖いくらい…
いつどんな時も冷静で感情に左右されることなんて無くて、泣いてるところなんて見た事なかったのに。
そんなアレクが声を震わせ、堪えるように泣き始めたんだ…
「でも…っ、カイルの怪我は誤算だった…ごめん…っ、守れなくて…っ。カイルもレオも…どうか助かって…っ」
そしてアレクの涙が一粒、レオの頬に落ちると頬をピクりと
動かしレオが急に息を吹き返したのだ。
「…うっ、あ…痛ぇ…っ」
「レオ!?レオっ!!」
「アレク…俺…っ」
「良かった…レオ…っ、本当に…っ」
レオが生きてた…
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そして嗚咽混じりに涙をボロボロ流しながら泣くアレクに、彼も人間なんだと安心感を覚えた。
早く俺もレオのそばに行きたいけどそれどころじゃない。
休みなくカイルに力を注ぎ込む俺の体力もそろそろ限界を迎えそうなのに、カイルの顔色は一向に良くならず血の気が引いたまま浅い呼吸を繰り返している。
治癒の能力なんて言っても俺のはたかが知れてる…
だけど今ここにいるのは俺だけ、俺が何とかしなきゃ。
「ごめんアレク…そろそろ限界だから…ラフィー呼んできて欲しい…」
「…っ、うん、わかった」
アレクにラフィーを呼び戻しに行ってもらうと、俺はレオを呼び寄せた。
「レオ…動けないから来て」
「なんとかなるか…この傷…」
「うん」
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「ルシア…」
「ん?」
「俺がカイルをやったのか…?」
血で染まった自分の手とカイルを交互に見ながら、見た事もないような複雑な表情で俺に質問をぶつけてくるレオ。
違う…あれはレオじゃない。
カイルだってレオがやったなんて思っちゃいないだろう…
「…レオじゃないよ。それより…ニルを頼む…」
「あぁ、そうだな。わかった」
「レオ…暫くの間、ここに誰も近づけないように出来る?」
「あぁ、結界を張るくらいなら」
レオの傷をある程度塞ぎ結界を張ってもらうとラフィーが来るまでの間、俺はある方法を実行することにした。
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