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一線を超える
しおりを挟む俺にしがみついたまま離れない将吾を無理やり引き剥がし、ふらつく腰を支えながら、とりあえずタクシーが捕まりそうな大通りまで歩く。
「もぉ…だから言ったろ?補導されても知らねぇぞって。全く、ちゃんと家帰れよぉ。嫌かも知んねぇけど……将吾?聞いてる?」
「…んっ、ぅ…ぇっ、気持ち悪い…」
「えっ!?あぁ、どうしよっ…吐く?吐きそう?」
「んぅ…っ」
わたわたと道の端っこに連れて行き、しゃがみこむ将吾の背中をさすってやるが、嗚咽だけで何も出てきやしない。
「今日ご飯食べた?」
「…っ、食べてないっ…」
「すっからかんで酒飲んだの?はぁ…そりゃダメだろ…」
なんて今更言っても仕方ない事をつらつらと並べ、涙でぐしゃぐしゃの将吾顔を袖で拭いてその場に座らせ、自販機で水を買って飲ませてやり、少し落ち着いてから将吾を抱えてタクシーに乗り込み将吾の家まで送っていくことにした。
「将吾、住所言って?」
「嫌だ…言わない…」
「おいっ、それじゃ帰れねぇだろ?」
「帰りたくねぇのっ…」
「そんな事言うなよぉ…」
「加野っちん家行く…」
「だからぁ…ダメだって言ってんだろ…?」
「じゃあ…降りる…」
「なっ、あーもうしょうがないなぁ…」
とは言ったものの、俺は本当にこいつを家に泊めてしまって大丈夫なんだろうか。
そんな俺の心配を他所に安心したのか、コクリコクリと船を漕ぎ始め、俺の肩によりかかり寝てしまった将吾。
こんな可愛い寝顔を目の前にして、ひたすら我慢しながら一晩過ごすなんて、自分が止められなくなりそうで怖い…
暫くしてタクシーが家の前に止まると将吾を強制的に起こし、仕方なく家に連れ込んだ。
酔ってフラフラの将吾を抱き抱え、さっきまで俺が寝てたベットに寝かせると、自分はソファーにでも寝ようと将吾の頭を撫でてその場を離れようとしたが、グッと手を捕まれ見事にそれを阻止された。
「…っ、どこ行くの?」
「あ、いや俺ソファーで寝るから…」
「やだっ…一緒がいい…」
「…っ、だって狭いだろ…?」
「狭くていい…」
俺の我慢を尽く無駄にしやがって…
たまたま明日は土曜で学校もないけど、そういう問題じゃないし、一緒に寝てもいいって言う理由にはならない。
そもそも、親御さんの許可もなく未成年の生徒を家に泊めるなんて、今度こそ俺はこの仕事を完全に失うことになるかもしれない。
いや…そもそもこの仕事を失った所で、俺の将来に何かマイナスになることってあるか?
何なら今だって、やりたくもない仕事を仕方なくしてるだけ…
俺がこの仕事を辞めて、将吾が卒業さえすれば…
いや、でも…っ―――
「ダメ、ちゃんと体休まらないだろ?」
「加野っち…怒ってる…?」
「怒ってないよ…ただ、俺言ったよな?」
「ん…っ、ごめんなさい…っ、でも…っ、ごめ…っ」
必死に俺の腕にしがみつく将吾は、酔ってるからなのか泣きだしたら止まらないし、真っ赤な顔して今にも過呼吸を起こしそうなくらい不規則に呼吸するから、仕方なく将吾を起こし、ベットに乗っかり抱きしめながら背中を摩った。
「落ち着け、将吾…大丈夫だから、怒ってないから…」
「…っ、ん、やだ…っ」
「ん?何がやだ?」
「…ひとっ…り、やだ…っ、行かない…っ、で…っ」
俺の腕の中で、小さな子供のように泣きじゃくる将吾をこのまま放っておく事は出来なくて、俺はギリギリ保てている理性が何とか吹っ飛ばないようにと、必死に平静を装い将吾をなだめ続ける。
きっとその内眠くなって寝てしまうだろうから、そしたらそぉっと寝かせてしまおう。
そう思ってたのに―――
「ふぅ…っ、加野っち…ちゅうして…っ」
「なっ///ダメだよ…っ!ダメ!」
「お願い…っ、加野っ…ち…」
酔ってるからなのかトロンとした目で見つめられ息を飲んだその隙に、将吾の唇が重なり開いた口からは一丁前に酒の香りがして、吐く息は少し熱を帯びていて俺を煽るのには十分すぎる。
「んぅっ…はぁっ…」
「んっ…しょ…ごっ」
「ん、はぁ…っ」
「ダメ…っ、だって…っ///」
「今日だけ…っ、お願い…っ」
好きなやつにこれだけせがまれて、断れるわけないだろう?
飲んでもいないのに、将吾吐息から香るアルコールに俺も酔ったのかのように思考がぼんやりとして、身体に熱を帯び始める。
もう…いいよな?
俺らなら…きっと大丈夫だよな?
そう自分に言い聞かせながら将吾をベットに押し倒し、激しく唇を奪った。
「んっ、んぅ…っ////」
「ん、はぁ…っ、お前が誘ったんだからな…っ、分かってるよな…っ」
「んふ…っ、もっと…」
これでもかと煽る将吾の赤く染る頬を撫でながら、いつから付け始めたのか、2つのピアスが目に入った。
そしてその、ピアスのついた耳たぶをペロリと舐めた。
「んぁ…っ!」
「実は俺も開いてんの…こっち、二つ」
「知ってるよ…っ、だから開けたの…」
「えっ…」
お揃いにしたかったってこと?
そんな将吾が可愛すぎて既に倒れそうな俺は、キラリと光る2つのピアスに再び舌を這わせ、耳たぶに吸い付くと身体をよじらせ甘い声を漏らし始める将吾に、欲情が止まらない。
「んぅ…っ、はぁ…耳、やっ…」
「なぁに?耳ダメ…?」
「んっ…くすぐったいっ…」
「ならいいじゃんっ…」
執拗に耳を舐めまわしながらズボンに手を突っ込み、既に立ち上がった将吾のソレを掴み上下に動かした。
「あっ、ぅ…っ、はぁっ…あっ…」
「もうパンパンだな…出したい?」
「んっ、出したいっ…」
「じゃあ舐めてあげる」
「えっ…!?」
「だめ?」
少しビックリした様子の将吾だったが、耳まで真っ赤にしながら首を横に振ると、目が合うのが恥ずかしいのか顔を横にそらし、シーツをギュッと掴んだ。
そんな可愛い将吾の快楽に歪む顔を眺めながら、先走りで濡れた将吾のを咥え、頭を上下に動かし吸い上げてやれば、身体をビクビクと震わせ甘い声が漏れだした。
「んぁっ、あっ…ダメぇっ」
「んっ…らんれ?ん…っ、ひもひいれしょ?」
「あっ、あっ、らめ…っ!イっちゃうからぁっ…!」
「んふっ…いいぉ、らひてっ…」
「んっ…あっ、ぅ、あ…っ、イク…ッ!」
口内に放たれた将吾の欲を全て飲みきれば、俺だってもう我慢の限界だ。
だけど、さすがにコレをどうする訳にもいかないだろう…
将吾はきっとこれで満足したんだろうから、大人の俺は我慢だ、我慢!!
「いっぱい出たな…これで寝れるか?」
「はぁ…っ、ふぅ…っ、加野っち…」
「ん?」
「加野っちは…っ?」
「お、俺はいいよ…大丈夫だから。もう寝な?寝るまでいてやるから」
「…い、入れても…いいよ…っ」
「…っ、ば、ばかっ!何言い出すんだよ…っ///」
「入れて…欲しい…っ///」
あぁ、もうダメだ…
俺の理性はこの瞬間に崩壊した。
これでもかとスエットを押し上げるコレを、どうやったって隠しきれる訳もなく、将吾の手がそれに伸びれば拒むことさえ出来なくて、ただただ快楽に溺れる…
将吾のか細い指が俺のを掴んで動かせば、それだけでもう限界が近い。
ならもういっその事、出してもらって終わりにしよう、そう思ってたのに…
「入れて…っ」
「…っ、ダメだって!」
「俺の事…っ、愛してよ…」
「しょ…っ、ご…!?』
「ずっと寂しかった…どんなに待っても…っ、俺一人で…っ、だから…嬉しかった…電話…っ、繋がって…迎えに…来てくれて…っ」
鼻をすすり目にいっぱい涙を浮かべて、思いの丈を俺にぶつけてくる将吾に、苦しいほどに胸が締め付けられる。
交番で母親を待つ間、怒られたり文句言ったりしながらも、一人、また一人と親が迎えに来る中、将吾はずっと一人で電話にさえ出ない母親を待ち続けてたんだ。
俺に連絡が来て将吾の震える声を聞いた時、今すぐ抱きしめてやりたい…
俺だってそう思ったんだ。
「今日…だけ。だからな」
「ん…」
俺は覚悟を決めて、将吾の後ろに唾液を垂らしゆっくりと中を解していった。
もちろん初めてだろうソコは、指一本だって入らないのに、これからコレを入れるなんて…
やっぱりやめた方がいいんじゃないかと思うくらい、俺はひよっていた。
だけどそんな俺の不安とは裏腹に、将吾からは甘い声が漏れて、躊躇してる俺を更に煽ってくる。
「んっ…あっ、ふぅ…っ」
「痛く…ない?」
「ん…平気っ」
「もうちょい…頑張って…」
「んぁっ!?そこ…っ、何…っ!?」
「ここ…っ、気持ちいい?」
「んぅ…っ、んふっ…やだ…っ」
こんな所触られるのだって初めてだろう…
段々と解れてきて俺の指を二本三本と飲み込んでいくと、あまり長い時間かけても可哀想だからと将吾に声をかけた。
「入れるよ…平気?」
「ん…」
「無理だったら言えよ」
「ん…っ」
将吾の後ろに再び唾液を馴染ませながらゆっくりと押し込んでいけば、顔を歪めキツそうな将吾が心配になって動きを止めると、将吾が自分から押し込むようにせがんでくるから、我慢の限界でグッと押し込みながら将吾を抱きしめ舌を絡めた。
今だけ…今だけは先生とか生徒とか、昔の事とか全部忘れて…
本当に全部忘れて、ただ可愛くて大好きな将吾だけを感じていたい。
俺の全てを飲み込むと、自分から俺の腰を抑え離れないようにしがみつく将吾に、俺の理性もあえなく吹っ飛びそのまま奥まで押し込めば、酒のせいで火照った身体は中まで熱くて、ほっぺも目も耳まで赤く染める将吾に動かずとも先走りが溢れる。
俺の家で、俺の部屋で、俺のベットで…
将吾と二人重なり合ってるなんて、改めて考えただけでもヤバい…
「んぅっ…ん、加野っちぃ…っ」
「将吾…っ、動くよ…」
「ん…っ、ん、あっ…あ…っ」
中の熱が直接伝わってねっとりと絡みつき、動かす度に締め付け喘ぐ将吾に興奮して、コントロールが効かない俺のモノからは、ダラダラと先走りが漏れだし、中でグチュグチュと音を立て余計に快感が増す。
「あ…っ、んっ、あっ、ソコらめっ!」
「ダメ…っ?気持ちよく…ないっ?」
「ふ…あっ、あっ…いいっ、気持ちいい…っ」
「はぁっ、きもちっ…俺もっ、ヤバいっ」
「いあっ、あっ…イっちゃうっ、イク…ッ!」
「俺も…っ、イク…ッ」
出る直前で抜いたものの欲は将吾の後ろで飛び散り、腹の上にも将吾自身の欲が薄く吐き出された。
「はぁっ…はぁっ、ごめん、中ちょっと出た…」
「はぁ…っ、いい…別にっ…」
「お腹痛くなったら困るから…風呂…なっ?」
「やだっ…まだ…このままがいい…」
「…うん、わかった」
遂に一線を超えてしまった…
俺の背中に手を回し、顔を埋め息を整える将吾を抱いてると、本来の自分を見失いそうになってしまう。
もうこのまま…学校も家族も放棄して、2人でどっか行ってしまおうか…
将吾を母親から引き離して俺だけのものにして、二人きりで幸せになったって別に良くないか?…なんて学校で働く大人の思考じゃねぇよな。
だから家には呼びたくなかったのに…
でも今、この上なく幸せで溢れそうなくらい満たされてしまっているのは、俺が本気で将吾の事を本気で愛してしまっているからなんだろう…
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