放課後の保健室でKissして?

むらさきおいも

文字の大きさ
上 下
10 / 29

夏休み前半

しおりを挟む
今日は王妃様のお茶会だった。


私は行きたくなかったが、国王陛下の肝いりだ。それに王妃様のお茶会をやると知って皆とても喜んでくれたのだ。

特にノエルが。


私は王宮のアドの部屋から出るとすぐに、ノエルの家に謝りに行った。

だって、私のために誘拐されてひどい目に合ったノエルの見舞いにもいかずに、アドにかかりきりになっていたのだ。さすがに友人として良くないだろう。


土下座せんばかりに謝る私をノエルはあっさりと許してくれた。

何でも、すぐに私の代わりにジェドが見舞いに来てくれたらしい。さすが弟だ。

それに両親も。

「まさか、公爵ご夫妻がいらっしゃって頂けるとは思ってもいなくて、私の両親も恐縮していたわ」
ノエルも驚いていた。

「『娘のために大変な目に合わせて、ごめんなさいね。もし、今回の件でなにか困ったことが起こったら、遠慮なく言ってね。何でもするから』ってフランのお母様におっしゃってもらえたの。『出来たら領地にも遊びにいらっしゃい。来てもらえたら歓待するから』っておっしゃって頂けたのよ。本当に行っても良いのかしら?」

「それは良いけれど、うちの領地に来ても魔の森しかないわよ」
うちの領地は魔の森しかない。魔物と戦うなら良いけれど、それ以外はあまり何もないのだけれど。

「えっ、でも、あなたの領地の館ってかの有名なルブラン城でしょう。絶対に行ってみたいわ」
世間ではうちの要塞が有名みたい。まあ、見た目は白鳥城みたいできれいかもしれないけれど、中身はあまり改修もしていないので、幽霊屋敷みたいなんだけど、そんなのでいいのかな?


まあ、ノエルに許してもらえて私はホッとした。

その時にお茶会の話をしたら

「えっ、本当に良いの。嘘ーーーー。王妃様のお茶会に呼ばれるなんてもう死んでも良い」
とかメチャクチャ喜ばれたのだ。

なんか変だ。私は死んでも行きたくないんだけど。世間では違うらしい。


と言うことで、今日は王城の入り口直ぐ側にある待合室に集合にしたのだ。



「フラン様を嵌めようとした私が行く権利なんてないです」
と嫌がるオリーブも強引にジャッキーとメラニーで攫って連れてきたのだ。


「あなた、そんな事言ったら、殿下からの花束をメチャクチャにした私も行く権利なんてないわよ」
「それに、フランはあの帝国と組んだ聖女のことですら命乞いしたのよ」
「えっ、そうなのですか。ローズの命を助けて頂けたのですか」
オリーブは驚いて私を見た。

「まあ、私がもう少しうまくやってたら、あの子もここまでひどくならなかったかもしれないし、教会が帝国の進出を許していたことも原因だと思うのよね」


「ありがとうございます」
オリーブは私に頭を下げてきた。
うーん、頭下げられたけれど、あのピンク頭は聖魔術だけは一級品なのよね。それが惜しいという面もあるし、なんか、ピンク頭はヴァンに良いように使われているだけのような気もするんだよね。それは、ピンク頭の友達には言わないほうが良いだろうと思うんだけど。

私は笑って誤魔化した。
その上で強引にオリーブを着替えさせたのだけど、「フラン様が許して頂けるのなら」と仕方なしに付いてきてくれたのだ。



で、クラスの40人全員揃った。

ここまで色々あったけれど、クラスも大分まとまったと思うのよね。全員欠けること無くここまでこれて本当に良かった。


私は王女様の侍女に合図して、全員で立ち上がった。

私は嫌だけど、皆の熱意に負けて王妃様のお茶会に向かったのだった。



みんな、王宮の広さに唖然としていた。

私が仕方なしに、次々に案内する。

「あれが政務堂で、A組のグレースのお父様が宰相をしておられるわ」
私は嫌だけど、グレースの父親の事も紹介しておいた。


私はその父親がまさか、私達を迎えに来ているとは思ってもいなかったのだ。

王妃様のお茶会は中庭で開かれたのだけど、その前には大集団が待ちかえまえていたのだ。
な、なんだ、これは。

なんとその先頭にはグレースの父親の公爵もいる。というか、うちの両親もいるんだけど。

「えっ、なんでいるの?」
「いや、王妃様に頼まれたのよ。フランのクラスを呼んでいるから歓待要員として手伝って欲しいって。それにあなたの日頃の活躍とか知りたいじゃない」
「いや、そんなの良いから」
「あっ、ノエルさん」
母は私を無視して、ノエルに声をかけていた。

「る、ルブラン公爵夫人」
いきなり呼びかけられて、ノエルは固まっていた。

「そんな堅苦しくなくていいのよ。私はアンナって呼んでもらえると嬉しいわ」
「あ、アンナ様」
「緊張しちゃって、あちらにあなたの好きなケーキがあるわ。さっ、こちらに」
あっさりとノエルは母に連れて行かれてしまった。

いつも能面のメラニーはフェリシー先生に連れて行かれて、頬が引きつっていた。それはいい気味だ。私がフェリシー先生でなくて良かった。

でも、安心したのはそれまでだった。

ソレンヌは、アリスがって、ちょっとなんであなたがここにいるのよ。私が文句を言う前にソレンヌがアリスに連れて行かれた。ちょっとあんた、私の余計なこと言うんじゃないわよ。
脅したいが皆の手前、目で合図だけするけれど、アリスは無視してくれた。
そうだ、こいつが私の言うことなんて聞くわけはない。絶対に黒歴史を一杯話すに違いない。
よく見ると中央騎士団長とかその下の騎士隊長とか、あれはアルマンの父親だし、ノエルの父親もいる。

私の余計なことを言うなと皆に釘を指しておこうと思った私はいきなりアドに手を取られたのだ。

「フランソワーズ嬢。今日は私があなたのお相手をさせて頂きます」
えっ、ちょっと、アド、私それどころじゃないんだけど。皆に釘刺しておかないと。
そう思うのに、その前に、強引にテーブルの一角に連れて行かれてしまったのだった。

*********************************************************************

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

来月か8月にこの話の続編書くことにしました。



新作絶好調更新中です。

今日中にランキングベスト10に入っくれるとは思います。

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/337638866

ぜひともお読みください。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

有能社長秘書のマンションでテレワークすることになった平社員の俺

高菜あやめ
BL
【マイペース美形社長秘書×平凡新人営業マン】会社の方針で社員全員リモートワークを義務付けられたが、中途入社二年目の営業・野宮は困っていた。なぜならアパートのインターネットは遅すぎて仕事にならないから。なんとか出社を許可して欲しいと上司に直談判したら、社長の呼び出しをくらってしまい、なりゆきで社長秘書・入江のマンションに居候することに。少し冷たそうでマイペースな入江と、ちょっとビビりな野宮はうまく同居できるだろうか? のんびりほのぼのテレワークしてるリーマンのラブコメディです

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

処理中です...