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バレンタイン 4 終わり
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「~~~~~~~~~~~っ」
ソファーに突っ伏して、私は頭を抱えていた。
ダメ。恥ずかしい。顔を上げらんないーーー!
「……茜」
「ひうっ!」
ちょちょちょちょちょっ!! 首筋を撫でないでえぇぇぇぇぇぇっ!!!
慌てて起き上がって、統也君から距離を取ろうとしたけれど、統也君はそんな事はお見通しだったらしく、あっさり捕まって……ま、また統也君の膝の上ぇーーーっ!!
顔が紅潮していくのが分かる。統也君を直視できなくて、少し潤んだ目があちこちさまよう。
「……可愛い」
小さな呟きの後、また、キス。
あ、あれだけしたのにまだ足りないのーーー!?
「足りない」
「!?」
「茜が足りない」
あわあわあわ。
とととととと統也君!? 貴方、年齢誤魔化してませんか!?
何この色気! 腰砕けになりそうなフェロモン!!
ちょちょちょちょっと待って! そんな切なそうな瞳で私を見ないでー!!
そそそそそそそれにっ! 私が足りないと言われても、どうすれば良いか!?!?
ジッと私をただ見詰めてくる統也君。
こういう時、どうするの? 何をすれば、何を言えば正解? 誰か答えをプリーズ!!
もうもう。
心臓はバクバク落ち着かないし、思考は支離滅裂でまとまらないし。
どうしようどうしようどうしよう?
私を見詰める統也君。私の、一番好きな人。
ああ、そうだ。今日ってバレンタインだっけ。
美奈達が言っていた。『愛』を伝える日。
私は――うん。統也君が好きだよ。誰にも渡したくないっていう独占欲もある。
この気持ち、どう伝えれば良い?
そっと、統也君に両手を伸ばす。
統也君は驚いたのか少し目を丸くしたけれど、私のしたいようにさせてくれる。
統也君の頬に触れる。
光が当たると天使の輪が出来る金の髪も、時々意地悪、でも普段はとても優しく輝く碧の瞳も、優しく甘く私の名前を呼んでくれる唇も、みんなみんな好き。
ちょっと意地悪で、優しくて、過保護なくらい私を大事にしてくれて。
そんな等身大の統也君が――大好き。
溢れる気持ちのまま、私は統也君の首に手を絡ませ――そっと、初めて自分から唇を重ねる。
ねえ、伝わる? どうか、伝わって。私が、統也君をとても好きだって。
ゆっくり離れると、統也君の顔が目に飛び込んできた。
呆然と目を見開いて、私の事を見ている。
な、何か、そんな顔見ちゃうと、今更ながらに自分の行動が滅茶苦茶恥ずかしくなってきて。
つい、もじもじしながら統也君を窺い見る。
「あの……これで、良い?」
す、少しは、足りないとか言っていた分、補えた?
すると。
何故か統也君が真っ赤になり、片手で顔を隠しながらソファーの背もたれに沈み込んだ。
「……参った」
「え?」
「降参だよ、降参」
「は?」
統也君はどこか困った様な嬉しそうな複雑な笑みを浮かべ。
「これも惚れた弱み、か」
呟くと、私を優しく包み込んだ。
――こうして。私と統也君の初めてのバレンタインは幕を閉じたのでした。
追伸。
次の日のお昼休み。
美奈達に昨日のバレンタインどうだったと聞かれたので、恥ずかしい部分はカットカットして説明したら。
「……(絶句)」
「……皐月君、哀れ」
「無自覚ってある意味、犯罪級にタチが悪い」
何故かそんな事を言われてしまった。
どういう事だろう?
ソファーに突っ伏して、私は頭を抱えていた。
ダメ。恥ずかしい。顔を上げらんないーーー!
「……茜」
「ひうっ!」
ちょちょちょちょちょっ!! 首筋を撫でないでえぇぇぇぇぇぇっ!!!
慌てて起き上がって、統也君から距離を取ろうとしたけれど、統也君はそんな事はお見通しだったらしく、あっさり捕まって……ま、また統也君の膝の上ぇーーーっ!!
顔が紅潮していくのが分かる。統也君を直視できなくて、少し潤んだ目があちこちさまよう。
「……可愛い」
小さな呟きの後、また、キス。
あ、あれだけしたのにまだ足りないのーーー!?
「足りない」
「!?」
「茜が足りない」
あわあわあわ。
とととととと統也君!? 貴方、年齢誤魔化してませんか!?
何この色気! 腰砕けになりそうなフェロモン!!
ちょちょちょちょっと待って! そんな切なそうな瞳で私を見ないでー!!
そそそそそそそれにっ! 私が足りないと言われても、どうすれば良いか!?!?
ジッと私をただ見詰めてくる統也君。
こういう時、どうするの? 何をすれば、何を言えば正解? 誰か答えをプリーズ!!
もうもう。
心臓はバクバク落ち着かないし、思考は支離滅裂でまとまらないし。
どうしようどうしようどうしよう?
私を見詰める統也君。私の、一番好きな人。
ああ、そうだ。今日ってバレンタインだっけ。
美奈達が言っていた。『愛』を伝える日。
私は――うん。統也君が好きだよ。誰にも渡したくないっていう独占欲もある。
この気持ち、どう伝えれば良い?
そっと、統也君に両手を伸ばす。
統也君は驚いたのか少し目を丸くしたけれど、私のしたいようにさせてくれる。
統也君の頬に触れる。
光が当たると天使の輪が出来る金の髪も、時々意地悪、でも普段はとても優しく輝く碧の瞳も、優しく甘く私の名前を呼んでくれる唇も、みんなみんな好き。
ちょっと意地悪で、優しくて、過保護なくらい私を大事にしてくれて。
そんな等身大の統也君が――大好き。
溢れる気持ちのまま、私は統也君の首に手を絡ませ――そっと、初めて自分から唇を重ねる。
ねえ、伝わる? どうか、伝わって。私が、統也君をとても好きだって。
ゆっくり離れると、統也君の顔が目に飛び込んできた。
呆然と目を見開いて、私の事を見ている。
な、何か、そんな顔見ちゃうと、今更ながらに自分の行動が滅茶苦茶恥ずかしくなってきて。
つい、もじもじしながら統也君を窺い見る。
「あの……これで、良い?」
す、少しは、足りないとか言っていた分、補えた?
すると。
何故か統也君が真っ赤になり、片手で顔を隠しながらソファーの背もたれに沈み込んだ。
「……参った」
「え?」
「降参だよ、降参」
「は?」
統也君はどこか困った様な嬉しそうな複雑な笑みを浮かべ。
「これも惚れた弱み、か」
呟くと、私を優しく包み込んだ。
――こうして。私と統也君の初めてのバレンタインは幕を閉じたのでした。
追伸。
次の日のお昼休み。
美奈達に昨日のバレンタインどうだったと聞かれたので、恥ずかしい部分はカットカットして説明したら。
「……(絶句)」
「……皐月君、哀れ」
「無自覚ってある意味、犯罪級にタチが悪い」
何故かそんな事を言われてしまった。
どういう事だろう?
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