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プロローグ的な物
06 これありですヨ
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イージーモードな~んて高を括ったのが悪かったのか、険しい山道の先にでっかい獣――多分、犬か何か――が出てきた。
ぐるるるるぅと唸り声を上げてる事から、これはヤバい奴だと分かる。
さて、どうしよう?
『野良オオカミ』が出現した。どうしますか?
→戦う
→仕込み杖で攻撃
→魔法で攻撃
→守る
→仕込み杖を構えて防御
→ローブを被ってうずくまる
→逃げる
→走って逃げる
→魔法で逃げる
……相変わらず、マルはイイ仕事スルナァ……って、ふざけるなっ!!
そもそも、オオカミってほぼ野良でしょ! わざわざ『野良』って表示入れる意味が解らん!!
で、そのまるっきりRPGな表示は何なの! この世界はどっかのゲームの世界な訳!?
……ゲームの世界なのかってツッコミには、速攻で否定が返ってきた。
ただ単に、あたしに分かりやすい表示にしただけらしい。だから、何でゲームなの……。
取り敢えず、『守る』はなしだね。そんな事しても何の問題解決にもならないし。
ちなみに、あたしが今装備しているワンピとかローブとかブーツとかだけど、装備して所有者登録――そういう機能があった――をすると、自動的に攻撃無効、魔法無効、状態異常無効の効果が上乗せされた。……装備がチートだ……。
なので、守るを選択してもあたしに傷一つ付かない。でも、守るだけじゃ意味ないもんねぇ……。
じゃあ、戦うか逃げるかだけど……隣国に抜けるには、マル表示はあのオオカミの先となっている。逃げるとルートを外れる事になるんだよね。それはそれで面倒そう。
魔法で逃げるを選ぶと……身体強化して逃げ足をアップするらしい。ただ、あのオオカミの素早さ――既にゲーム基準で考える事にした――がどの程度あるか分からない&あたしの足の速さがどの程度か分からない以上、逃げ足アップしても逃げ切れるか不明。これも博打っぽいよね。
じゃあ、戦うしか残らない訳だけど……現代の平和な世界で生きてきた女にオオカミと切り結べと? 何とも無茶な事言ってくれんね。
残るは魔法だけど……スプラッタはやだなぁ……血の匂いで他の獣が寄ってくるとか定番でしょ? じゃあどうする?
……マルが攻撃魔法をタブレットに表示させている。一瞬で燃やし尽くすか、風で吹き飛ばすか、落とし穴に埋めるか……何故にその選択肢……。
まあ、いいや。
取り敢えず、埋めちゃおう。生き埋めは残酷だけど、毛皮や肉が生のまま焼ける匂いってキツイと聞くし、風で飛ばしても戻ってこられたら終わりだからね。あたしが見えない状況下ならどうとでも――って、そうだマル。風で飛ばそう。あの滝があった所に。あそこなら、滝壺に落ちて運良く助かっても追ってはこれないでしょ。
あ、オーケー出た。じゃあ、どうするの?
え? 杖に魔力を通す時みたく、魔力に風を纏わせて念じる? 意味解らん。
まあ、試しにやってみよー!
って、出来たよ!? あっさり出来ちゃったよ!? これで良いのか魔法!!?
あたしの頭上を越え、来た道の方に落ちていくオオカミを見送り、あたしは深々と溜め息を落とす。
うん。イージーモードってなめちゃダメだね。何が出てくるか分からん。さっさと先に進もう。
あたしは気を取り直すと、身体強化の方法をマルで調べ、足だけだと怖いから体全体に魔力を纏わせ一気に走り始める。
――早っ! 怖っ!
風景が線のようになって後方に流れていく。
この速さならさっきの選択で逃げ切れたかもしれないと思うが時既に遅し。あのオオカミは滝壺に落ちて溺れている最中だろう。南無。
進行方向に時々出現する障害物――木とか獣とか――があっても足止めにすらならない。さっきの風魔法を応用して、進行方向に三角形の風よけを作っておいたから、これに障害物が当たり、切り飛ばされたり、撥ね飛ばされたり……。ドカンとかボカンとか妙な音が後方から聞こえるけど……これは事故だ。事故なんだ。
うん、ご愁傷様……。
とか考えているうちに、いつの間にか道は下り坂になっていた。
山の頂上が国境だったらしいから、越えたようだ。ようやくあの国とおさらばできた。
じゃあもういいかなと思って、少しずつ魔法の威力を弱め――意識すればできる不思議――走るスピードを落としていく。まだ慣性が働いているけど、もう間もなく止まると思う。
だ・け・ど。
あれ?
えーと……山というのは『魔力溜まり』に集まる魔力濃度の影響で通常では考えられない変化が起こり、見た目に反した地形になる、というのは分かっている。
まあ、反対側も同じ『山』なのだから、魔力溜まりの影響を受けるのは当然だ。
でもさぁ……。
あたしは今、空を飛んでます。うん。意味解らん。
登ってきた時と同じ様に、地面が続いて、突然訳分かんない障害が出てくるものだと思っていた。
それなのに!
坂道を少し下った先。そこは、何もなかった。
そう。後ろを振り返れば山の形はある。あるけど……崖!? えっ、山の形をした絶壁!? この山登るのって、ロッククライミング必須なの!!?
これってあり!?
……マルが冷静に『ありです』とタブレットに表示させる。
ありなんだね……って!
やば! 早く何とかしないと、あたしピンチだよ!! どうすればっ!!?
ぐるるるるぅと唸り声を上げてる事から、これはヤバい奴だと分かる。
さて、どうしよう?
『野良オオカミ』が出現した。どうしますか?
→戦う
→仕込み杖で攻撃
→魔法で攻撃
→守る
→仕込み杖を構えて防御
→ローブを被ってうずくまる
→逃げる
→走って逃げる
→魔法で逃げる
……相変わらず、マルはイイ仕事スルナァ……って、ふざけるなっ!!
そもそも、オオカミってほぼ野良でしょ! わざわざ『野良』って表示入れる意味が解らん!!
で、そのまるっきりRPGな表示は何なの! この世界はどっかのゲームの世界な訳!?
……ゲームの世界なのかってツッコミには、速攻で否定が返ってきた。
ただ単に、あたしに分かりやすい表示にしただけらしい。だから、何でゲームなの……。
取り敢えず、『守る』はなしだね。そんな事しても何の問題解決にもならないし。
ちなみに、あたしが今装備しているワンピとかローブとかブーツとかだけど、装備して所有者登録――そういう機能があった――をすると、自動的に攻撃無効、魔法無効、状態異常無効の効果が上乗せされた。……装備がチートだ……。
なので、守るを選択してもあたしに傷一つ付かない。でも、守るだけじゃ意味ないもんねぇ……。
じゃあ、戦うか逃げるかだけど……隣国に抜けるには、マル表示はあのオオカミの先となっている。逃げるとルートを外れる事になるんだよね。それはそれで面倒そう。
魔法で逃げるを選ぶと……身体強化して逃げ足をアップするらしい。ただ、あのオオカミの素早さ――既にゲーム基準で考える事にした――がどの程度あるか分からない&あたしの足の速さがどの程度か分からない以上、逃げ足アップしても逃げ切れるか不明。これも博打っぽいよね。
じゃあ、戦うしか残らない訳だけど……現代の平和な世界で生きてきた女にオオカミと切り結べと? 何とも無茶な事言ってくれんね。
残るは魔法だけど……スプラッタはやだなぁ……血の匂いで他の獣が寄ってくるとか定番でしょ? じゃあどうする?
……マルが攻撃魔法をタブレットに表示させている。一瞬で燃やし尽くすか、風で吹き飛ばすか、落とし穴に埋めるか……何故にその選択肢……。
まあ、いいや。
取り敢えず、埋めちゃおう。生き埋めは残酷だけど、毛皮や肉が生のまま焼ける匂いってキツイと聞くし、風で飛ばしても戻ってこられたら終わりだからね。あたしが見えない状況下ならどうとでも――って、そうだマル。風で飛ばそう。あの滝があった所に。あそこなら、滝壺に落ちて運良く助かっても追ってはこれないでしょ。
あ、オーケー出た。じゃあ、どうするの?
え? 杖に魔力を通す時みたく、魔力に風を纏わせて念じる? 意味解らん。
まあ、試しにやってみよー!
って、出来たよ!? あっさり出来ちゃったよ!? これで良いのか魔法!!?
あたしの頭上を越え、来た道の方に落ちていくオオカミを見送り、あたしは深々と溜め息を落とす。
うん。イージーモードってなめちゃダメだね。何が出てくるか分からん。さっさと先に進もう。
あたしは気を取り直すと、身体強化の方法をマルで調べ、足だけだと怖いから体全体に魔力を纏わせ一気に走り始める。
――早っ! 怖っ!
風景が線のようになって後方に流れていく。
この速さならさっきの選択で逃げ切れたかもしれないと思うが時既に遅し。あのオオカミは滝壺に落ちて溺れている最中だろう。南無。
進行方向に時々出現する障害物――木とか獣とか――があっても足止めにすらならない。さっきの風魔法を応用して、進行方向に三角形の風よけを作っておいたから、これに障害物が当たり、切り飛ばされたり、撥ね飛ばされたり……。ドカンとかボカンとか妙な音が後方から聞こえるけど……これは事故だ。事故なんだ。
うん、ご愁傷様……。
とか考えているうちに、いつの間にか道は下り坂になっていた。
山の頂上が国境だったらしいから、越えたようだ。ようやくあの国とおさらばできた。
じゃあもういいかなと思って、少しずつ魔法の威力を弱め――意識すればできる不思議――走るスピードを落としていく。まだ慣性が働いているけど、もう間もなく止まると思う。
だ・け・ど。
あれ?
えーと……山というのは『魔力溜まり』に集まる魔力濃度の影響で通常では考えられない変化が起こり、見た目に反した地形になる、というのは分かっている。
まあ、反対側も同じ『山』なのだから、魔力溜まりの影響を受けるのは当然だ。
でもさぁ……。
あたしは今、空を飛んでます。うん。意味解らん。
登ってきた時と同じ様に、地面が続いて、突然訳分かんない障害が出てくるものだと思っていた。
それなのに!
坂道を少し下った先。そこは、何もなかった。
そう。後ろを振り返れば山の形はある。あるけど……崖!? えっ、山の形をした絶壁!? この山登るのって、ロッククライミング必須なの!!?
これってあり!?
……マルが冷静に『ありです』とタブレットに表示させる。
ありなんだね……って!
やば! 早く何とかしないと、あたしピンチだよ!! どうすればっ!!?
応援ありがとうございます!
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