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メルディ国編
リジーさんの怒涛(?)の日々だヨ⑤
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「……何かおかしな事でも?」
「いいえ。最初に会った時から変わらず、隊長達の仕事は随分と丁寧だなと思って」
「そうですか……」
あたしの言葉に、ジーチャが疑いつつも頷く。
笑う様な事かと疑問に思うが、嘘は吐いていないし……という感情がもろバレである。まあ、あたしの言葉に嘘はないから、納得するしかない感じ?
いや、流石は年の甲。顔には出てないよ? でも、目は口程に物を言うってね。古狸も女狐も蛇もお局も、様々なのを見てきたから気付けた。……妙な経験が活きて、すっごい微妙だけどね。
取り敢えず、こういうの相手にお世辞とか言うと凄く面倒な事になるのは簡単に予想が付く。だったらサクッと本題だけに絞って話し、後は搦め手……って、あたしに腹芸は無理か。さっきも推理より先に犯人を指摘しちゃったし……。
よし! 小難しい事は考えず、出たとこ勝負でいこう!!
『……』
そうと決まれば、冒険者ギルドに来た最大の目的を果たし――いやその前に、あたしでも討伐依頼を受けられるかを確認しておこう。
あたしはまだ冒険者登録をしていない。冒険者登録はモンド隊長の勧めに従い王都でするつもり。だから今回の護衛依頼は、冒険者登録するまでのツケ扱い。討伐依頼もそう出来ないか確認したい。
最初に言った『盗賊の事』とは話がずれてしまうが、ま、良いでしょ。
「話の前に、確認したい事があるんだけど」
「何でしょう?」
「あたしでも討伐依頼は受けられる?」
あたしの問い掛けにジーチャはちょっと眉を潜め、どこか諦めた様に、溜め息を吐きながら頷いた。
「王都にあるメルディ国ギルド本部からリジー殿に関しては普通に冒険者登録している者として、依頼等も受けられる様に便宜を図れと通達が来ています。その為、どの様な依頼でも受ける事は可能です」
……え? 本部から便宜を図れと通達??
あれ? さっきのマルの説明だと、国や通過する町の警備隊にだけ話した、という感じにしか聞こえなかったんだけど……。
もしかしてモンド隊長、ギルドの方にもあたしの事とか連絡していた? 便宜を図る様にモンド隊長にお願いされたギルド本部側がそれを了承し、通過するであろうギルドの支部に通達したって事?
『そうです』
さっきのマレット表示変更に時間が掛かり過ぎた事といい、まとめる能力が低いのといい……。
マルあんた、やっぱり説明が下手なんだけどっ!?
『……』
まあ、いい。普通にツケで依頼が受けられるなら問題は――。
「ただし」
「?」
あたしが問題ないか~とか思う直前。ジーチャが厳しい声を出してあたしを見てきた。
「ギルドカードの発行は出来ませんので、討伐が記録される『討伐カード』が必要です。リジー殿はお持ちですか?」
何だそれ?
『ギルドカードは身分証の為、その人の登録した情報が記録されているカードです。それに対し討伐カードは、言葉の通り、持ち主が倒した魔物等の情報のみ記録されるカードです。持ち主の魔力と深い繋がりがある為、誤った討伐情報が記録される事はありません』
物理だろうと魔法だろうと、持ち主が倒した存在の情報が記載されるって事?
『そうです』
……そんな物、持ってないんだけど……。
『大丈夫です』
――って、まさか……。
『神々が準備しましたので、『時空神の贈り物』の中を確認して下さい』
そのまさかでしたっ!?
ちょっ! 行動が早過ぎるし、ちょっとやっぱり過保護なんですけど!?
『あって困る物でもないでしょう。どうぞ、気にせず受け取って下さい』
気にするわっ!!!
って、まあ、ね。確かに有用ではあるけど……。
『本来なら、神殿に行けば発行してもらえますが……』
あー……そんな時間ないか……。
『はい』
じゃあ、ありがたく受け取っておく。神々にお礼言っておいて。
『分かりました』
あたしはちゃんと持って来ていたトキの口を開き、中を確認する。
『備品:New』
備品扱い……基準が良く分からん……。
『備品:New
▽カード類:New
▽討伐カード:New:リジーに加護を与えた神々がリジーの為だけに作った最高の逸品』
アホかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!?
ちょっと待ってよ! こんなカードひとつに大げさなんだけど!?
『何を言っているんですか。自分の加護を与えた存在に不自由はさせたくないという神心から作られた――』
うん、アホだ!!!
神々が遣り過ぎて、あたしに面倒事が降りかかってきたらどうすんの! 何事も『ほどほど』が一番良いに決まってるでしょ!!
『神心……』
あたしを思っての行動はありがたいけど、何度も言ってるでしょ! 過保護は要らんっ! 自重しろっ!!
『……』
何か、マルが項垂れている気がするけど……放っておこう。
あたしはさも探していた物が見付かったといった感じの演技――多分、大根ではないと思う――をして、トキの中から銀色に輝く討伐カードを取り出しジーチャに見せた。
「……持ってる」
「では、討伐依頼を受ける事が可能です。報酬は、本部でギルドカードを作成した後、支払われる事になります」
「分かった」
よ……良かった~~~~~~~~~。このカード、不審に思われなかったみたい。
見た目は他の討伐カードと同じって事かな? 最高の逸品なんてなっているから、既に見た目からして違うのかと思っていた。一応、その辺は気を使ってくれたって事――――――――あれ?
ジーチャにはカードの表を見せている。カードの表には『討伐カード』としか表示されていない。
で、裏には『履歴』。これ、任意で隠せる様になっているみたいなんだけど……。
『討伐記録 所有者:リジー
グゼナ国
国王、王子、主要貴族
メルディ国
カジス村 ギルド支部 支部長他38名、赤竜
ルチタン町 盗賊団、ルチタン警備隊副隊長』
討伐記録がおかしいんですがっ!? 最高の逸品って、この妙な基準の記録って事っ!!?
これ何! 神基準!? 普通の基準じゃ、馬鹿やアホやクズなんかが討伐対象として記録されないよね!!?
なに遣らかしちゃってくれんの!!
これはもう、面倒な事に絶対なりそうだから……この情報はあたし以外は見れない様に隠しておこう……。
あ、でも、盗賊が見れないとマズいだろうから、ここだけは表示される様にして……。
ああ……神が関わると手間が発生するのは気の所為だろうか?
というかあたし……
ルベルを倒した事になってるんだね……。
「いいえ。最初に会った時から変わらず、隊長達の仕事は随分と丁寧だなと思って」
「そうですか……」
あたしの言葉に、ジーチャが疑いつつも頷く。
笑う様な事かと疑問に思うが、嘘は吐いていないし……という感情がもろバレである。まあ、あたしの言葉に嘘はないから、納得するしかない感じ?
いや、流石は年の甲。顔には出てないよ? でも、目は口程に物を言うってね。古狸も女狐も蛇もお局も、様々なのを見てきたから気付けた。……妙な経験が活きて、すっごい微妙だけどね。
取り敢えず、こういうの相手にお世辞とか言うと凄く面倒な事になるのは簡単に予想が付く。だったらサクッと本題だけに絞って話し、後は搦め手……って、あたしに腹芸は無理か。さっきも推理より先に犯人を指摘しちゃったし……。
よし! 小難しい事は考えず、出たとこ勝負でいこう!!
『……』
そうと決まれば、冒険者ギルドに来た最大の目的を果たし――いやその前に、あたしでも討伐依頼を受けられるかを確認しておこう。
あたしはまだ冒険者登録をしていない。冒険者登録はモンド隊長の勧めに従い王都でするつもり。だから今回の護衛依頼は、冒険者登録するまでのツケ扱い。討伐依頼もそう出来ないか確認したい。
最初に言った『盗賊の事』とは話がずれてしまうが、ま、良いでしょ。
「話の前に、確認したい事があるんだけど」
「何でしょう?」
「あたしでも討伐依頼は受けられる?」
あたしの問い掛けにジーチャはちょっと眉を潜め、どこか諦めた様に、溜め息を吐きながら頷いた。
「王都にあるメルディ国ギルド本部からリジー殿に関しては普通に冒険者登録している者として、依頼等も受けられる様に便宜を図れと通達が来ています。その為、どの様な依頼でも受ける事は可能です」
……え? 本部から便宜を図れと通達??
あれ? さっきのマルの説明だと、国や通過する町の警備隊にだけ話した、という感じにしか聞こえなかったんだけど……。
もしかしてモンド隊長、ギルドの方にもあたしの事とか連絡していた? 便宜を図る様にモンド隊長にお願いされたギルド本部側がそれを了承し、通過するであろうギルドの支部に通達したって事?
『そうです』
さっきのマレット表示変更に時間が掛かり過ぎた事といい、まとめる能力が低いのといい……。
マルあんた、やっぱり説明が下手なんだけどっ!?
『……』
まあ、いい。普通にツケで依頼が受けられるなら問題は――。
「ただし」
「?」
あたしが問題ないか~とか思う直前。ジーチャが厳しい声を出してあたしを見てきた。
「ギルドカードの発行は出来ませんので、討伐が記録される『討伐カード』が必要です。リジー殿はお持ちですか?」
何だそれ?
『ギルドカードは身分証の為、その人の登録した情報が記録されているカードです。それに対し討伐カードは、言葉の通り、持ち主が倒した魔物等の情報のみ記録されるカードです。持ち主の魔力と深い繋がりがある為、誤った討伐情報が記録される事はありません』
物理だろうと魔法だろうと、持ち主が倒した存在の情報が記載されるって事?
『そうです』
……そんな物、持ってないんだけど……。
『大丈夫です』
――って、まさか……。
『神々が準備しましたので、『時空神の贈り物』の中を確認して下さい』
そのまさかでしたっ!?
ちょっ! 行動が早過ぎるし、ちょっとやっぱり過保護なんですけど!?
『あって困る物でもないでしょう。どうぞ、気にせず受け取って下さい』
気にするわっ!!!
って、まあ、ね。確かに有用ではあるけど……。
『本来なら、神殿に行けば発行してもらえますが……』
あー……そんな時間ないか……。
『はい』
じゃあ、ありがたく受け取っておく。神々にお礼言っておいて。
『分かりました』
あたしはちゃんと持って来ていたトキの口を開き、中を確認する。
『備品:New』
備品扱い……基準が良く分からん……。
『備品:New
▽カード類:New
▽討伐カード:New:リジーに加護を与えた神々がリジーの為だけに作った最高の逸品』
アホかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!?
ちょっと待ってよ! こんなカードひとつに大げさなんだけど!?
『何を言っているんですか。自分の加護を与えた存在に不自由はさせたくないという神心から作られた――』
うん、アホだ!!!
神々が遣り過ぎて、あたしに面倒事が降りかかってきたらどうすんの! 何事も『ほどほど』が一番良いに決まってるでしょ!!
『神心……』
あたしを思っての行動はありがたいけど、何度も言ってるでしょ! 過保護は要らんっ! 自重しろっ!!
『……』
何か、マルが項垂れている気がするけど……放っておこう。
あたしはさも探していた物が見付かったといった感じの演技――多分、大根ではないと思う――をして、トキの中から銀色に輝く討伐カードを取り出しジーチャに見せた。
「……持ってる」
「では、討伐依頼を受ける事が可能です。報酬は、本部でギルドカードを作成した後、支払われる事になります」
「分かった」
よ……良かった~~~~~~~~~。このカード、不審に思われなかったみたい。
見た目は他の討伐カードと同じって事かな? 最高の逸品なんてなっているから、既に見た目からして違うのかと思っていた。一応、その辺は気を使ってくれたって事――――――――あれ?
ジーチャにはカードの表を見せている。カードの表には『討伐カード』としか表示されていない。
で、裏には『履歴』。これ、任意で隠せる様になっているみたいなんだけど……。
『討伐記録 所有者:リジー
グゼナ国
国王、王子、主要貴族
メルディ国
カジス村 ギルド支部 支部長他38名、赤竜
ルチタン町 盗賊団、ルチタン警備隊副隊長』
討伐記録がおかしいんですがっ!? 最高の逸品って、この妙な基準の記録って事っ!!?
これ何! 神基準!? 普通の基準じゃ、馬鹿やアホやクズなんかが討伐対象として記録されないよね!!?
なに遣らかしちゃってくれんの!!
これはもう、面倒な事に絶対なりそうだから……この情報はあたし以外は見れない様に隠しておこう……。
あ、でも、盗賊が見れないとマズいだろうから、ここだけは表示される様にして……。
ああ……神が関わると手間が発生するのは気の所為だろうか?
というかあたし……
ルベルを倒した事になってるんだね……。
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