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第二話「生きる希望と万事休すの繰り返し!?」
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その後、僕は下水道のなかをただひたすら彷徨っていた。藤見翁牙という威勢のいい名前に反して、今の自分は頬痩けて貧相な顔と整えてもボサボサになる髪、白無地のシャツはシワシワに縮れて柄のようになった姿は自分でも呆れるほどだ。
周りから命名されたジミオという名は今も気に入っていないが、今の自分の惨めさを見るとジミオの方がしっくりくるし、むしろオウガ名前すら恐れ多く感じるほどだ。
そんな自分にとってこんな下水道の徘徊などお似合いだと考え方が卑下の局地に向かっている。
何でこんな自分にアスカ先輩は気にかけてくるのか?そんなことを考えながらビチャビチャと進んでいく。どうせ、研究所でのパシリが目的なのだろう。
(誰があんなリア充なんかの所へ行くものか!)
とは言え、あの竜に襲われてからというもの誰も追っては来ない。ひとりには慣れているが、さすがにここからは生命の危機とも向き合わなければならない。どうするか・・・。
「熱っ!」
先ほどまでの下水の温度が急激に上昇し、思わず側の縁に跳び移った。 突然の異常現象に僕は追手からくるドラゴンの火を警戒した。 しかしその熱は後ろではなく前方から来ているものだと分かった。
この暗闇の先にあるものは何か?恐る恐るみてみるとそれは地球の中心に迫るものだった。
(マグマだ!)
その時、ひとりの魔族が向かいの崖の先からこちらに視線を送る気配を感じた。あの時、玄関先で挨拶したやつだ。ファラドス=ジ=リードラ。長い名前なのでその時は覚えていなかった。ファラドスはこの溶岩地帯で待ち構えており、いきなり手持ちの長刀で襲いかかってきた。
その攻撃は間一髪交わすことができたが、のけぞった拍子に自分の足場から踏み外し溶岩のたぎる熱に向かって落ちていった。
(これで死んだか・・・いや!)
死を予見したものの必死になって近くの岩場に手を伸ばす。するとその手から触手のようなものが伸びてその先にある岩場の突起に絡みついた。
(!)
僕が手にしたものは見たこともない植物の木で編まれたムチであった。その鞭は限界までピンと張ってまるでターザンの如くグインをスイングすると別の岩場に着地させた。
「悪運の強いやつだ。」
ファラドスは警戒して手にした剣を握りなおす。岩場から岩場へ飛び移る様はやはり人間とは違う存在だ。奴は再び僕と同じ岩場に降り立った。僕は迎え撃つ準備もできず今の自分の状態に戸惑っている。
ムチと同時にその姿はピエロのようなゴワゴワして尖った服装をしている。どうやらラノベでお馴染みの異世界転生しているようだが何に転生しているかまだわかっていない。
「ここまできたら死んだも同然、やるしかないか・・・。」
改めて自分の武器であるムチを目の前の敵に向けて目一杯に放つ。武器の特性をわかっていないことを見抜いたファラドスは「フッ。」と人笑しつつムチを躱し瞬時にその間合いへ飛び込む。
目にも止まらぬ速さでファラドスは手にした剣の柄で僕の顎を強襲して吹き飛ばした。体力のない無職の自分にはその一撃だけで瀕死の重傷だ。
「時間がない。次の一撃で終わらせる!」
ファラドスは指笛を吹いた。ドラゴン召喚の合図だ。今度こそ死んだと感じどうすることもできない。終わりだ・・・。
しかし、それからしばらくしても何も起こらない。どういうことだ?
チラリと目を見開いてファラドスを見るとあたりを見回して動揺している。相手にとってもそれは異常事態のようだ。
「どうした、ドラゴン!なぜ現れない。」
ファラドスは指笛を鳴らし続けたが、結果はないも変わらない。仕方なくその手にした剣をブンと振り上げ僕の前にかざす。直接魔族は獲物に照準を定めた。
周りから命名されたジミオという名は今も気に入っていないが、今の自分の惨めさを見るとジミオの方がしっくりくるし、むしろオウガ名前すら恐れ多く感じるほどだ。
そんな自分にとってこんな下水道の徘徊などお似合いだと考え方が卑下の局地に向かっている。
何でこんな自分にアスカ先輩は気にかけてくるのか?そんなことを考えながらビチャビチャと進んでいく。どうせ、研究所でのパシリが目的なのだろう。
(誰があんなリア充なんかの所へ行くものか!)
とは言え、あの竜に襲われてからというもの誰も追っては来ない。ひとりには慣れているが、さすがにここからは生命の危機とも向き合わなければならない。どうするか・・・。
「熱っ!」
先ほどまでの下水の温度が急激に上昇し、思わず側の縁に跳び移った。 突然の異常現象に僕は追手からくるドラゴンの火を警戒した。 しかしその熱は後ろではなく前方から来ているものだと分かった。
この暗闇の先にあるものは何か?恐る恐るみてみるとそれは地球の中心に迫るものだった。
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その攻撃は間一髪交わすことができたが、のけぞった拍子に自分の足場から踏み外し溶岩のたぎる熱に向かって落ちていった。
(これで死んだか・・・いや!)
死を予見したものの必死になって近くの岩場に手を伸ばす。するとその手から触手のようなものが伸びてその先にある岩場の突起に絡みついた。
(!)
僕が手にしたものは見たこともない植物の木で編まれたムチであった。その鞭は限界までピンと張ってまるでターザンの如くグインをスイングすると別の岩場に着地させた。
「悪運の強いやつだ。」
ファラドスは警戒して手にした剣を握りなおす。岩場から岩場へ飛び移る様はやはり人間とは違う存在だ。奴は再び僕と同じ岩場に降り立った。僕は迎え撃つ準備もできず今の自分の状態に戸惑っている。
ムチと同時にその姿はピエロのようなゴワゴワして尖った服装をしている。どうやらラノベでお馴染みの異世界転生しているようだが何に転生しているかまだわかっていない。
「ここまできたら死んだも同然、やるしかないか・・・。」
改めて自分の武器であるムチを目の前の敵に向けて目一杯に放つ。武器の特性をわかっていないことを見抜いたファラドスは「フッ。」と人笑しつつムチを躱し瞬時にその間合いへ飛び込む。
目にも止まらぬ速さでファラドスは手にした剣の柄で僕の顎を強襲して吹き飛ばした。体力のない無職の自分にはその一撃だけで瀕死の重傷だ。
「時間がない。次の一撃で終わらせる!」
ファラドスは指笛を吹いた。ドラゴン召喚の合図だ。今度こそ死んだと感じどうすることもできない。終わりだ・・・。
しかし、それからしばらくしても何も起こらない。どういうことだ?
チラリと目を見開いてファラドスを見るとあたりを見回して動揺している。相手にとってもそれは異常事態のようだ。
「どうした、ドラゴン!なぜ現れない。」
ファラドスは指笛を鳴らし続けたが、結果はないも変わらない。仕方なくその手にした剣をブンと振り上げ僕の前にかざす。直接魔族は獲物に照準を定めた。
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