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しおりを挟む「はやいって、っ」
俺の姿のリウカが、俺と蕩け顔のケモ耳ドワーフ娘を抱き寄せ、向かい合わせで密着させた。
「んんっ」
「はうっ」
むぎゅっ。お互い一糸纏わぬ身空で、胸同士が直に押し付け合わされる。
自分も柔く、相手も柔い。えも言われぬ心地良さと共に、爽やかな柑橘系と甘くて深いミルク、二つの色香が混ざり合ったニオイに鼻腔をくすぐられる。五感の全てが官能中枢に響き、身が捩れた。
合わせて相手も身じろぎして柔肉同士が動く。彼女のほうが小さいが、弾力がある。こちらの大きくて柔らかな胸が、少しばかり包み込む。
と、その間へ、大きな灼熱が挟まる。
「うあっ、つ」
ヌメりと脈動。甘やかな香りに割り込む、凶悪な雄臭。
快感と釣り合うだけの不快感が、忘れかけていた板書の絵を思い出させる。
「おまっ、さっきは、やらなかった、のにっ」
顔を顰めて搾り出した言葉に、「はっ」と嘲笑が返った。
「只人よ、貴様童貞だな」
「はぁっ?」
「いきなりヤられたらキツいだろうがアホ」
一瞬言葉を失った。
一応、彼女は女性だ。たとえ当人が滅茶苦茶な人物であったとしても、説得力のある視点からの言葉は突き刺さった。
「実際どうだ? 虫唾が走るだろう? 唐突に汚物を押し付けられて、身体の一部を弄ばれるのは」
だから順序立てて和らげる必要があると。そんな紳士のような配慮ができるなんてびっくりだ。少し感心してしまった。
だが、騙されない。やはり根底は意地悪。そう言っておきながら、相手に実践してわからせようというのだ。
若干顰められた仏頂面の目元から、僅かながら侮蔑が覗いている。初期とはかなり質が異なる気がするが、性根は変わらないのだろう。この性悪め。
「ああっ、サイアクっ、っ」
愕然としている隙に、女性らしく曲線的でありながらも、骨太でしっかりとしていて力強い腕が、ぎゅっと抱きしめてきた。
「レノワ、さん? オギトさんっ?」
問いへの返答は返ってこない。とろんとした目で「ふふっ、ういういしい」と艶やかに微笑んで、耳の先を嵌んでくる。
エルフの長い耳は敏感だ。「ふあっ」と思わず気の抜けた声を出してしまった。
「にゃにっ、かんがえてっ」
そのぶん手の空いたリウカは、「ん? サイアクといったか?」と両手で双方の尻たぶを弄び始める。
奥の敏感な神経に働きかけて官能を引き出すような、柔らかい肉を震わせる愛撫だ。目の前のレノワと同じように腰を引いて、「はうっ!」と、腹の底から力が抜けた。
なんだよ、これっ。
即興か、はたまた示し合わせたのか。形成されつつある嫌な雰囲気を感じ、彼女のほうを睨んだ。
目が合った瞬間、変化した侮蔑の本質を目の当たりにし慄く。
「そうは見えないぞ?」
嗜虐心だ。
実際の胸の内は複雑なのかもしれないが、気のせいではない。侮蔑的に見えた目元が、いやらしく歪んでいる。
こいつ、格好付けておきながら、その手の趣向に目覚めてやがる。
「んなっ、なら、ふしあなだっ、ぁっ」
反論の隙がない。裏腹に身体は快感を拾い始め、痙攣してしまった。
元は彼女自身の身体だ。心地良い場所も、力加減も知り尽くしているのだろう。
触れる手は魔法の如く、こちらの心身を追い詰めてくる。
「そうだな、そうだったらいいが」
側から見ていた時点で思っていたが、無駄に器用で上手い。俺の小さな手で、的確に性感帯を突いてくる。
「っ、あっ」
内腿を撫でられ、思わず声が出た。背筋をぞわぞわと快感が駆け上がって、身悶えしてしまう。
恥じらい堪え、意識を別の場所に向けようとしても、谷間の熱と、左右から圧迫された胸の脇のほうから繰り返し甘く痺れて、じんわりと広がってくる。耐え難い。
「残念ながら、そうは見えんな」
「ぁ?」
掌と肉棒が、柔肉に沈んだ。
たわわな果実同士の間に、乳白色の汁が滲み出す。
排泄に似た開放感を伴う快感が溢れる。脳髄が歓喜の悲鳴をあげ、口の中が甘くなり、唾液を湛えているにも関わらず渇きを訴える。
「鏡を見てみろ、そこからなら見えるだろ」
言われて、レノワの頭の向こうにある鏡をちらと覗き込んだ。
そこには確かに、小柄だが骨太な女体を抱き、嬉々として表情を緩ませたエルフの女が顔を覗かせていた。
俺じゃない。けれど、とろけた翡翠の瞳の動きも、声を我慢してきゅっと結んだ薄紅の唇もすべて、自分の動作と合致している。
「んぐぅっ、そんな、わけぇっ」
強がろうとしても、声は甘くふにゃつく。バレバレだ。
「救いようのない変態だ」
「っっ」
蔑みの眼差しが突き刺さった。
それでなぜか、ゾクゾクしてしまう。頭が痺れて、堪らない。
ちがうっ、こんなの、俺のせいじゃないっ。
「ぜんぶ、おまえの、からだのせいだっ」
彼女は「は、どうだかなっ」と吐き捨て、苛立ちをぶつけるかのように、腰を打ちつけ始める。
ぱちゅん、ぱちゅん。音が立ち、柔らかな肉が波打つ。
視覚の暴力だ。向かい合うケモ耳ドワーフ娘の顔の前、柔和な肌色を突き抜けて、真っ赤で禍々しい先端が現れては引っ込んでを繰り返している。
「はむっ」
「ちょっ、おっ」
対面の彼女が徐に、出入りするそれへ口を付けた。
「なにをやって」と尋ねかけて、言い淀んだ。
彼女の表情がゾッとするほど艶やかで、自分も意識がもっていかれそうになって、また生唾を飲み込んでしまった。
「よしんば身体のせいだとして、貴様は正しく、屈辱を感じられているのか?」
ハッとした。
間違いない。いつの間にか、根本的に、俺は抵抗感を失ってしまっている。
感じている屈辱が、いつの間にか快楽の奴隷に成り果てている。
「……はぁー」
こちらが腑抜けた反応を見せたのを境に、彼女は憤りを露わにする。
「私はっ、この上なく、屈辱だっ! 私の身体が、私以外の意思で、私なら絶対にしない、媚びた表情をしてっ……勝手に快楽に堕ちてっ!」
「それはっ、ああっ」
腰の動きが早まっていく。
火傷してしまうのではないか。そう錯覚してしまうほどに、谷間が熱くなる。
「ふざけるなよっ、このっ、このっ!」
「はっ、あっ」
胸の間も、外側も、圧迫感が増す。
「っ、だらくした姿にはっ、コーフン、しないってっ」
「これ以上、その姿で醜態を見せるな!」
「あああっ」
口答えをすれば、尻肉を強くこねられる。
「あ、わかっら、わかった、からぁっ」
少しペースを落としてくれ。熱い。熱すぎる。
そう伝えても、まったくペースは落ちない。
むしろ滾りを反映するように、尻を掴んでいた手指が一番敏感な秘部へと滑り込んで、腰の動きと一緒に刺激を与えてくるようになり、行為は激化していく。
「あっ、ぐっ、ううぅっ」
汗とミルクと雄汁が混ざり合い、胸元で淫らな音を奏でる。股間のほうも、濡れた感触から相当はしたない音が立っていると思われるが、よくわからない。わからないが、音と動きを意識すると、ぐぐぐっと繰り返し下腹部が引き攣った。
呼吸の余裕がなくなってきて、必死に息を吸う。混合した淫靡なニオイが鼻腔を犯し、脳天を突かれる。
「あぐっ、ふっ゛っ」
下腹部が引き攣り、視界が何度か白んだ。
脳髄が弾ける。肌が泡立つ。身体が浮いて、自分がどこにいるのかわからなくなる感覚に襲われる。
茫然自失。クラクラする中、背中辺りを抱いていた腕が頭の後ろに来て、不意にぐっと抱き寄せられた。
「っ⁉︎」
上下する凶悪な肉塊が鼻先に当たる。咽せ返るような臭気と迫る圧迫感に、目を見開いて硬直した。
刹那、その向こうから蕩けたドワーフ娘の顔が迫る。背けようとしても逃れられない。掴まれている頭はしっかりとコントロールされて、竿先が口に当たる位置に置かれた。
今度は舌に当たる。そこで自分の口元が相当にだらしなくなっていることに気付くが、気付いたところでどうしようもない。少し触れた部分が異様なほど甘く深く痺れて、より陶酔してしまう。
「私の言葉が聞こえなかったのか?」
おかしいな、私の耳なのに。
そうわざとらしく訝しみながら耳元へ息を吹きかけられ、「ふあぁっ」と本当に、愛らしい小娘のような声をあげてしまった。
「…………」
無言の圧を感じる。
自分の長耳が弱点なのをわかっていながら、自分で責めたくせに。いよいよ恥知らずだ。
「う」
なお沈黙の間、真っ赤な鬼頭の抽送運動は控えられて、その場でギュンギュンと連続して痙攣を繰り返しながら、その張りを増していく。
俺はその迫力に気押されるが、目の前のドワーフ娘は応じるように口を開いて舌を出し、はしたなく舐ったあと、鬼頭近辺で戸惑い彷徨うこちらの舌べらを絡め取り、エスコートするかの如く鈴口へ誘った。
えっ、え?
れろ。舌が、意図せず湛えた粘液を掬い取ってしまった。
据えたニオイと味がして、渇きを訴えていた舌全体に染み込み、灼け痺れる。
「へ、へろ」
理性は一気に蝕まれ、気がつくと俺は無意識に舌を動かし始めていた。
「あっ、っ、このっ」と、焦り始めたリウカも無視して、無心夢中で、れろ、はむ、れろれろ、ちゅっ。
レノワの舌に合わせて、舌と竿先とを無差別に、吸ったり、舐ったり。
「くっ、おおおっ」
情けない男の声がして、肉棒は大きく脈打ち暴れ出す。
まるで湯の入った鍋だった。熱されて、沸騰して。
そして、「う゛っ」と噴きこぼれた。
「んぶっ」
「ん゛っ」
びゅっ! びゅっ! びゅっ!
胸元から顔を出した化け物が力強く首を逸らすたび、その頂点から白濁の灼熱が激しく噴き出す。
あまりの勢いに舌は弾き飛ばされて、頬と唇にかかった。目にも入りそうになったが、反射的に瞑ってことなきを得た。
「うあっ、つぅ」
アツい。ニガい。くさい。
けれど、甘い。痺れる。
余韻でゆらめく理性は、それらをようやく異常と捉えて引き戻される。
「っ、ううぅっ」
それは幸運。いや、不幸であり、残酷だった。
冗談じゃない。自分から、自分のものを舐るだなんて。
しかも、それで興奮して、また下腹部を滾らせているなんて。認めたくない。認められない。
この状況では、理性はもはや自身を苦しめる枷でしかなく、身体は震え、目元からは涙が溢れた。
と、そこへ、ぺろり。ドワーフ娘の顔が近づいてきて、頬の白濁液と共に涙を舐めとる。
こそばゆさに「ちょっ、やめ」と拒もうとしたが、力では敵わない。抱き締められたまま舐められ続ける。
「やめてっ、おねがい、だからっ」
「れろっ、いや」
哀願は聞き入れられず。はむっ。ひらいた口を、厚ぼったい唇で塞がれた。
貪るようなキスだ。見た目からあのサキュバスのものを思い出したが、あれよりもずっと荒々しい。
強引に口内をこじ開けて進んできた舌が、あっという間にこちらの舌を根本から捉えて、唾液から何から舐り回し、絡め取っていく。
「んむっ、っ、は、んんっ」
響く。音が、感触が。
先ほど確かに絶頂感を味わったのに。少し霧が晴れたと思ったのに。
また、あたま、ぼーっとして……。
臍の下、最奥の疼きがいよいよ限界に達して、性の炎燃え盛る腰をくねらせる。
と、そこでいつの間にか、自分の股に添えられていた感触が無くなっていることに気づく。
どこにいったのか。彷徨い探したそのとき、
「っぷあ!」
唇を塞いでいた相手の顔が唐突に仰け反って離れ、嬌声を上げた。
どうして、と懐いた疑問に、即座に湿った打音が答える。
ぱちゅんっ!
「あっ、ふああっ!」
嬌声と共に、こちらを抱く腕が強まる。
より強く合わされた乳房は暴れて、固くなった痼り同士が擦れ合った。
「んぅっ」
摩擦で静かに、それでいて深く快感の火花が散り、下腹部が連続で引き攣る。
止まらない。媚びたような声が我慢できない。それでも音のほうへ視線を向ける。
すると揺れる彼女の尻尾の、その向こう。俺の姿が彼女の脚を持ち、開かせた股に肉棒を突き挿れていた。
「はーー、このっ、話とちがうだろっ! おイタが過ぎるわ!」
「あ゛っ、んお゛っ」
湿った肌と肌が打ちつけ合う音と共に、レノワオギトが喘ぐ。
瞳は上を向き、舌を突き出し、涙と鼻水が伝う。
余裕の一切ない、はしたない顔だ。だらしなく開いた口から、おおよそ理性のある人とは思えない、獣の雌のような喘ぎ声を上げている。
「わざとか? わざとなのか? 答えろ!」
なんでっ、なんで、また。
全身が切なさを訴える。腰を捩っても、内股を擦り合わせても、それは増すばかりだ。
右手はもう躊躇しなかった。触ってもらえないならばと、迷わず指先を股倉へ向かわせ、濡れそぼった敏感な突起を撫でた。
「はっ、っ、ふぅっ」
軽くショックを覚えるほどにぐちょぐちょだった。汁気が酷くて、表皮を少し触っただけで指がたっぷり滑りを帯びる。灼熱感も強烈で、火がつきそうだ。
当然抗えない。潤滑油をしっかりと利用して、指先は表皮を弄り回し、その下で張り痼る豆を刺激してしまう。
くりくり、くりくり。転がしても、こねくり回しても、忽ち身体の芯を電流が駆け抜ける。気持ちいい。つま先がぴんと伸びて、腰が前後する。足の裏と耳の裏が熱い。
「あっ、んんんっ」
はしたない女の声が抑えられない。が、
「お゛っ、お゛おおおおっ!」
「答えないのならこうだっ!」
「んお゛おおおおおお!」
漏れた側から、より大きな嬌声に掻き消される。
なんなんだよっ。
胸の奥がモヤモヤして、居ても立ってもいられない。
腰を突き出し、視線を送った。ほらっ、やらしいことしてるぞ、お前の身体に。いいのか、止めなくて、と。声には出せないメッセージを、期待感たっぷりに全身で表現してしまった。
が、目が合わない。彼女はレノワを犯しながら、別の方向を見ている。
あ。
板書に浮かぶ絵と数字。
自分はもう気にも留めずに、ただどうやって快楽を貪るかばかり考えていたのに。
彼女はそれを、きちんと確認していた。
「っ、っ~~~~!」
屈辱。改めて強烈に、その2文字が浮かび上がる。
悶々が絞り出され、蚊の鳴くような声が喉の奥で鳴った。
と、丁度それを塞ぐようにして、再びレノワの唇がこちらの唇に重なる。
「んっ、んんん」
入れられた舌に、先ほどのような余裕は無かった。
「ん、はふ、ちゅっ、んんんん」
舌先が痙攣している。その身がどれだけの快感を受けているのか、伝わってくる。
「くっ、でるっ!」
この場で唯一の男声が、切羽詰まった声を上げた。
次の瞬間、「ん゛ん!」と抱く腕と絡みつく舌に力が入り、重ね合った肌から大きな痙攣が伝わってくる。
その快感を直に味わえているわけではないのに、こちらの下腹部もまたじんっ、と深く締まり、股間の溝を弄る手指は噴き出す液の生温さに塗れた。
「っはぁーー……」
レノワは剥がれ、熱い吐息を何度か荒く吐いて、その頬を力無くベッドの上に落とすと、心底心地良さそうなまま瞳に映る意識の光を失った。
置いてけぼりを食らった俺もまた、こてんと背中をつける。
そして達し切ることのない浅い絶頂の余韻に震えながら、自身に落ちる影の主。肩で息をする自分の姿へ、理性と欲求の狭間で揺れる眼差しを向けた。
「っーー……おまえ、まだ、だいじょうぶ、なのか……?」
漠然とした問いにやれやれと、想像以上に落ち着いた言葉が返る。
「大丈夫の定義にも、よるがな……貴様らに比べたら、遥かにマシだろう」
ダンジョン側最大の誤算。ここまで数々紡いできた奇跡の、最後の一欠片。
ことここまで至っても、リウカは射精の都度、ある程度理性を取り戻すことができた。
「はーー、喜べ。彼女らの献身のおかげで、一気に数字が50減った」
決め手はわからない。男の俺の身体に、女であり強固な自我を持つ彼女が入ったおかげで耐性が相当にあったのか。もしくはレノワオギトの房中術の効果か。
通常であればとっくに獣と化している状況にも関わらず、逸物の淫紋の侵食進行は相当に遅れており、彼女に幾分か余裕を齎していた。
「このぶんなら、なんとかなりそうだぞ」
「ほんと、かよ……」
彼女はそれを証明するかのように、危険そうな水に平然と口をつけ、ごくごくと喉を鳴らすと、再び全身に活力を漲らせていく。
びきびき、びきびき。逸物が張りを取り戻していく様を見た。
「これも、毒素は交合で回せば、浄化可能だ」
「ぼうちゅー、じゅつ?」
「ああ。彼女らに教わって、できるようになった」
ベッドが揺れて、再び影が落ちる。
目を離した隙に、容器に汲んだらしい。事後で伸びている彼女の気付けをすると、口元へ運んで飲ませていく。
「渇き果てては困るから、今から貴様にも飲ませるが、いいか?」
「っ、よくない、けど」
そこに選択肢はないだろう。聞かれても困る。
そう思い言い淀んだが、真意は違うらしく、「聞き方が悪かったな、そういうことじゃない」と彼女はゆるりと首を横に振って言う。
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中途半端な心持ちが、よりいっそう。
「っ……せめて、やさしく、してくれ」
沈黙。
その間が、その言葉のどうしようもなさを証明していた。
「わかった、善処しよう」
彼女は媚毒水を口に含み、それをこちらの口へ移した。
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