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小学校5年生編 春
幕間2 寝る前
しおりを挟む夜の9時半頃。僕らの見ていたテレビ番組は父の手によってニュースに切り替えられます。
「あっ、お父さん!」
「子供はもう寝る時間ですよ」
「むー!」
母だけの時は10時まで大丈夫だったりするんですけど、父が居る時は大体この時間ですね。
まあ歯を磨いたり、明日の準備をしなきゃいけないので概ね妥当だとは思います。妹はいつもゴネてますが、本日もまた無意味に終わりました。
何はともあれ、一通りルーティンを済ませた後。二人揃って、大人しく布団に入ります。
「電気消すよミコ」
「あーまだダメ、眠くない」
訂正、ダメみたいです。電気は消しましたけど、妹が落ち着く素振りを見せません。
「ダメって言ったじゃん」
「暗くしておけば、眠たくなるって……」
僕はもうだいぶ眠たいので目を閉じました。
しかし、こういう時は決まって邪魔が入るものです。
────あっ。
ハッと。視点が変わって、目が冴えました。
「……ミーコぉ?」
「むひひひ、今は違うでしょー?」
「はぁ、もう」
今日はちょっとムキになってますね。仕方ありません。
相手にせず、僕は今度はミコの身体で横になって、目を閉じます。
「ふふ、こちょこちょこちょこちょ~」
「む、う……」
脇腹辺りに、くすぐり攻撃が来ました。この歳にもなって、未だに恥ずかしげもなく続いている常套手段です。恥を知って欲しいです。
さておき自分の身体でしたら、この程度、全然我慢出来るのですが。
ここだけの話、ミコの身体はとてもくすぐりに弱いので。堪え切れません。
「う、ふ、ひひひ」
「ほれほれ」
「やめ、ほんと……ひひひっ」
加えて相手方が弱点を完全に把握してるんですよね。自分の身体だから。
その点の条件は此方も同じなので、対抗してはみます。けれどやっぱり敵いません。
「ストップ、こーさん……! 分かったっ、ごめんってばっ」
諦めて降伏しました。「分かればよろしい」と尊大な返事が返って、ようやく止まります。
「はー、もう……電気付けるよ、これでいい?」
「いや、電気は消したままでいいから。お話しよーぜ?」
勝手だなぁ。
「……なんなのさ」
「今日ね、実はこんな事があって────」
その後、夜更かしが両親にバレてちょこっと怒られるまで、取り留めのない話をしました。
生まれてこの方、眠るのだけは一緒じゃなかった事がありません。大体寝る間際はいつもこんな感じです。
自分の部屋があれば落ち着いて眠れるのでしょうか。はたまた、案外寂しくて眠れなかったりするのでしょうか。
その答えは遠からず知る事になるのですが、それはまた別のお話。
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