入れ替わりが日常の超能力双子兄妹

あかん子をセッ法

文字の大きさ
上 下
9 / 16
小学校5年生編 春

幕間2 寝る前

しおりを挟む



 夜の9時半頃。僕らの見ていたテレビ番組は父の手によってニュースに切り替えられます。

 「あっ、お父さん!」
 「子供はもう寝る時間ですよ」
 「むー!」

 母だけの時は10時まで大丈夫だったりするんですけど、父が居る時は大体この時間ですね。

 まあ歯を磨いたり、明日の準備をしなきゃいけないので概ね妥当だとは思います。妹はいつもゴネてますが、本日もまた無意味に終わりました。



 何はともあれ、一通りルーティンを済ませた後。二人揃って、大人しく布団に入ります。

 「電気消すよミコ」
 「あーまだダメ、眠くない」

 訂正、ダメみたいです。電気は消しましたけど、妹が落ち着く素振りを見せません。

 「ダメって言ったじゃん」
 「暗くしておけば、眠たくなるって……」

 僕はもうだいぶ眠たいので目を閉じました。

 しかし、こういう時は決まって邪魔が入るものです。



 ────あっ。

 ハッと。視点が変わって、目が冴えました。

 「……ミーコぉ?」
 「むひひひ、今は違うでしょー?」
 「はぁ、もう」

 今日はちょっとムキになってますね。仕方ありません。

 相手にせず、僕は今度はミコの身体で横になって、目を閉じます。

 「ふふ、こちょこちょこちょこちょ~」
 「む、う……」

 脇腹辺りに、くすぐり攻撃が来ました。この歳にもなって、未だに恥ずかしげもなく続いている常套手段です。恥を知って欲しいです。

 さておき自分の身体でしたら、この程度、全然我慢出来るのですが。

 ここだけの話、ミコの身体はとてもくすぐりに弱いので。堪え切れません。

 「う、ふ、ひひひ」
 「ほれほれ」
 「やめ、ほんと……ひひひっ」
 
 加えて相手方が弱点を完全に把握してるんですよね。自分の身体だから。
 
 その点の条件は此方も同じなので、対抗してはみます。けれどやっぱり敵いません。

 「ストップ、こーさん……! 分かったっ、ごめんってばっ」

 諦めて降伏しました。「分かればよろしい」と尊大な返事が返って、ようやく止まります。

 「はー、もう……電気付けるよ、これでいい?」
 「いや、電気は消したままでいいから。お話しよーぜ?」

 勝手だなぁ。

 「……なんなのさ」
 「今日ね、実はこんな事があって────」

 その後、夜更かしが両親にバレてちょこっと怒られるまで、取り留めのない話をしました。



 生まれてこの方、眠るのだけは一緒じゃなかった事がありません。大体寝る間際はいつもこんな感じです。

 自分の部屋があれば落ち着いて眠れるのでしょうか。はたまた、案外寂しくて眠れなかったりするのでしょうか。

 その答えは遠からず知る事になるのですが、それはまた別のお話。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

坊主女子:スポーツ女子短編集[短編集]

S.H.L
青春
野球部以外の部活の女の子が坊主にする話をまとめました

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

優等生の美少女に弱みを握られた最恐ヤンキーが生徒会にカチコミ決めるんでそこんとこ夜露死苦ぅ!!

M・K
青春
久我山颯空。十六歳。  市販の安いブリーチで染め上げた片側ツーブロックの髪型。これ見よがしに耳につけられた銀のピアス。腰まで下ろしたズボン、踵が潰れた上履き。誰もが認めるヤンキー男。  学力は下の下。喧嘩の強さは上の上。目つきも態度も立ち振る舞いまでもが悪い彼が通うのは、言わずと知れた名門・清新学園高等学校。  品行方正、博学卓識な者達ばかりが集まる学校には似つかわしくない存在。それは自他ともに持っている共通認識だった。  ならば、彼はなぜこの学校を選んだのか? それには理由……いや、秘密があった。  渚美琴。十六歳。  颯空と同じ清新学園に通い、クラスまでもが一緒の少女。ただ、その在り方は真逆のものだった。  成績はトップクラス。超が付くほどの美少女。その上、生徒会にまで所属しているという絵にかいたような優等生。  彼女の目標は清新学園の生徒会長になる事。そのため"取り締まり"という名の点数稼ぎに日々勤しんでいた。  交わる事などありえなかった陰と陽の二人。  ひょんな事から、美琴が颯空の秘密を知ってしまった時、物語が動き出す。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

処理中です...