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小学校5年生編 春
幕間 体力テスト
しおりを挟むなんやかんや妹は真面目、なんでしょうか。
本日体育テストの日は、例年通り入れ替わりは行われませんでした。
「はぁっ、はぁっ……はぁ~~」
暖かいを越してちょっと暑い陽光の下、へろへろり。
ドレミファソラシド、の最後のドに間に合わず、全力を出し尽くした僕は地面にへたり込みます。
ま、まだまだ半分くらいは人残ってますね……。
「おいおい、大丈夫か?」
「だいじょっ……だいじょうぶ……」
ペアのカズくんが声を掛けて来ました。
彼の中ではきっと、本気を出したら凄いヤツ、みたいな認識になってるんだと思います。そうじゃないんですけど。
「演技じゃ、ないんだよな」
「そう、見える……?」
「いや……体調悪いとかか?」
残念ながら、万全で望んでいます。何ならこの日の為にそこそこ整えて来ています。
ちょっと頑張り過ぎて気分悪くなってきてるので、説得力に欠けるかもしれませんが。紛れも無い事実です。
「うん、まあ、そう……精神的に、ダメだったり、して……」
「難儀なメンタルしてるな」
「はは……」
別にシャトルランに限った話じゃありません。
握力も、上体起こしも、反復横跳びも、立ち幅跳びも、50m走も、ソフトボール投げも。
長座体前屈だけ別に変わらないっぽいですが、他はぜーんぶ不調扱いされます。
「ミコちゃんまた一番だよね?(背とかも別に大きくないのに何でなんだろ?)」
「うん、まあね」
「相変わらずスゴいぞ、流石我が宿敵」
「ふふん」
対して妹の方は絶好調な様で。ざわざわを引き連れて、ドヤ顔を此方に見せ付けながら通り過ぎて行きました。
そんなに目に見えて差が付く原因は一体何なのでしょうか。
「やれば出来る! 出来る出来る出来る! 絶対出来る!」
「ふんんんんじゅうきゅうううう!」
分からないので、再挑戦の時間帯。僕は一先ず気合いで埋めようとしてみたりはしましたが。
別にダイチくんに松○修造風に応援されたとしても、記録が伸びたりはしませんでした。
「ふぅっ、っだめかぁ」
「いやいや! 気合いは見えた、ナイスファイ!」
不調呼ばわりは癪です。虎視眈々、努力は続けていきたいですね。
「ううっ、腹筋がいたい……」
「はっはっは! 筋肉痛は成長の証! チョーサイセーが待っている!」
「それ、どっかの学者に否定されてなかったっけ……?」
「なぬっ⁉︎」
……すぐには無理だとしても、その。せめて彼女が身体を使った後、酷い筋肉痛に見舞われない程度にはなりたいので。
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