【完結】父さん、僕は母さんにはなれません 〜息子を母へと変えていく父、歪んだ愛が至る結末〜

あかん子をセッ法

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28. ⬛︎⬛︎約30〜40週目その3 父さん、僕は母さんにはなれません

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 静寂。濃密な事後の性臭立ち込めるベッドの上、横向きに寝そべっている自分はシーツを握ってまた涙を流していた。一体どれ程の時間性に狂っていたのか。今となっては知る術も無く、事ここに至っては考える意味も無いので疑問は露と消える。

 「んっ……!」

 背中に体温と鼓動を、股倉に圧迫感と刺激を感じる。抱かれている。後ろから抱かれたまま眠りについていた様だ。胸下に腕が回されていて、抱き締められている。離れようと少し動くとギュッとされて、痛みと快楽、幸福と愛欲が再び自身を支配せんと迫ってきた。

 逃げる、否、自分はふっと勢い良く息んで、背中側に彼を押す。体重の増した身重な身体が体重をかければ、じゃらり。枕横でとぐろを巻いている首枷に繋がった鎖の余りが鳴って、意外な程あっさりと自分は彼の上に乗っかった。

 「っ……なんだリナ、重いぞ……」

 彼が起きて寝起き特有の通らない掠れ声を上げた。けれど気にしない。筋肉痛や外傷によるアザや腫れなんかであちこち傷んで熱っぽく重怠いが、幸運にも手脚は自由。手を付いて腰を浮かし、ゆっくりと上げる。ずるずるずりゅっ。

 「あっ、んっ、はおぉっ」
 「なんだ、っおっと?」

 挿し込まれていた逸物が抜けると共に支柱を失ったみたく腰が砕けて一瞬バランスを崩すが、彼に腕を引かれて落下は回避した。

 「はぁっ……ふぅっ……」
 「危ないじゃないか。ベッドから落ちたらどうするんだ」

 優しい。愛おしい。染め上げられた心身は狂おしい程の情愛の炎に灼かれて悶えた。自分より大きく骨張った身体の上でするりと身を捩って向き直ると、うっとりとしたまま顔を合わせ、膨れたお腹を横にずらしながら自ら口付けしに行く。

 「はん……ちゅっ……っふ……」

 甘く切ない熱が脳髄を駆け抜けて、己をいつもの淫蕩へと向かわせる。くちゅくちゅくちゅくちゅ。絡み合う舌と唾液とが、今まで幾度となくそれに呑まれてきた事実を呼び起こす。抵抗は叶わない。こんな酷い有様なのに、自分は、私は、僕は、彼を愛してしまっている。

 自由な手脚と、痛いのに空いて物足りなさそうに疼く股倉が、そして何よりこれまでの自身の行いが証明している。否定は出来ない。しようとしても快楽の糧になるだけで殆どその意味を成さない。
 重なり合った唇を解き恍惚の吐息を漏らすと、太腿に触れる硬い肉棒を見付け、それを手に取り再び蜜壺へと導く。

 「ん、はぁっ……!」
 「寝起きから激しいなっ……っ」

 下の口が満たされ、多幸感と充足感が背筋を駆け上がる。はち切れんばかりに膨張し風船の如く丸くなった腹部と、ぷっくり膨らんだどどめ色の乳輪から乳汁滴る豊満な乳房が大きな痙攣でふるんっと揺れた。

 「はぁっ……はあっ……!」

 くたり。挿入後の衝撃で彼の胸板に腹部を預け、またゆっくりとずらして沈む。

 ────だから、ごめんね。

 お腹の中の赤ちゃんに心の底から謝って、荒い息を吐きながら再び彼の頭を抱き寄せキスをする。その動作の中で、首枷からじゃらつく鎖、その余りを彼の喉回りに二周程巻いた。

 「がまん、できない……もっと、いいこと……んっ、させて……んっ」
 「…………?」

 一線を越える。もう二度と戻って来られない程に、自身を狂わせる。そう、僕は彼の息子。だから彼に倣って、彼の様に狂愛に殉じ自身を騙す。
 元より線上で踏み留まっていた事、いや或いはとうに踏み越えていたか。思いの外呆気なく、自分は静かに頭のネジを外せた。

 「っ⁉︎」

 呆けた彼の顔が俄かに険しくなった瞬間、手に持った鎖を力一杯引いた。ぎちゃっと金属が擦れ噛み合う音がして彼の首が締まり、「かっ……!」とその喉から潰れた空気の音が漏れ、程なく苦悶を上げながら暴れ出す。

 「かぁっ……!」

 馬乗りになった身体がひっくり返りそうになるが堪える。幾度と無く行為に及んだ体勢であり、これまでは此方から奉仕しようにも簡単にひっくり返されていた。しかし此度は自身の衰弱を差し引いても本当に振り切れた全力で望んでいた事に加え、お腹の赤ちゃんの重さと度重なる行為による彼側の衰弱のお陰もあってか、向こうの力をほんの少し上回る事が出来たらしい。

 「んっ、どうっ……? きもちいい……?」

 自分が首を締められ犯されている時を思い出しながら彼に尋ねた。返事は当然返らず、代わりに潰れた声と太腿への引っ掻きの応酬が返って来る。

 「いたっ、痛いよぉっ……!」

 口元はリナ、リナと動いている。誰がどう見ても苦しそうな様子。だがしかし、淫らに歪めた自分の視点では、苦悦という名の一種の快楽反応に受け取られた。

 「はぁっ、わたしもそういえばっ、爪立てちゃってたよなっ……あはっ」

 最初は苦しい方が大きかった。けれど段々と気持ちいい方が大きくなって……気付けば苦しいのも痛いのも快感になっていた。
 彼もその筈だ。現に股倉を刺し貫いている剛直は今までに無いくらいに張り詰めて膨張している。性的興奮が伝わって来る。

 「いいよっ……もっときもちよくなろっ……ん……!」

 わざと自重しない。自分の腕力じゃ力不足かもしれないから。だから目一杯、背筋を反って体重をかけて加減無しに引っ張る。相手も気持ちいいと信じて、息みいつも以上に皺くちゃになった彼の顔を只管慈しみながら。

 「んあっ、はっ、ああっ、あああっ!」

 彼が暴れれば暴れる程、中の肉棒も暴れてそこで爆ぜる様な痛みと快感が生じる。気付けばそれに合わせで自分も腰を動かしていた。濡れた肌と肌が打ち合う聞き慣れた打音と共にチカチカと白い閃光が脳裏を掠め始め、絶頂が迫り上がる。
 
 「あはっ、いいっ、トシヤさんんっ、もっとっ、もっとぉっ」

 濡れた視界が揺れて前が見えない。顔が見たいのに。絶頂の瞬間を見て、その時に口付けしたいのに。

 「んおっ、おっ、ん゛っ、んんんっ! ふっ、ゔっ、ゔっ!」

 やがて言葉を模る余裕も無くなって、喘ぎ声は獣の如く変わり、その頭の中は欲求で埋め尽くされる。もっと、もっともっともっと、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと────

 灼けた蜜壺の奥、これまたいつも以上に剛直の先端は膨らんで反り上がっていく。太過ぎて、或いは体力の限界で腰は止まり、深々と刺し込んだまま動け無くなった、その刹那。彼の方の腰が反り上がり、強く、強く硬直したかと思えば、

 …………どっ!

 どくっどくっどくっ、連続する痙攣と共に、大量の熱い液が解き放たれた。

 「っあ゛っ…………ん゛んんんっ……!」

 堪らず自身も絶頂。背を反り返らせ上を向き、舌を放り出して最高の快楽を享受する。

 あっ……もう、だめっ……。

 彼の腰が痙攣しながら脱力していくのに合わせ、全身の力が抜けてゆっくりと前に倒れ込んでいく。お腹がつっかえて中途半端に止まった後、横にするっと逸らして再び彼の胸板に密着。そして、

 「んあっ……はあぁっ……」

 恍惚の中、暫し余韻に溺れ沈んだ。

 

 微睡の中、ゆっくりとした暗転を経て、醒める。



 ────あ、れ……。

 また眠ってしまっていた様だ。彼を枕にしてしまっている。重く無かっただろうか。「っ、ごめんなさいっ」と徐に飛び起きて離れる。ずちゅっ。挿入されていた逸物はかなり柔らかくなっていたものの、引き抜いた瞬間激痛が走った。

 「っい゛っ……身体中凄く痛いや……はは……」

 それを感じさせまいと堪え、愛想笑いを向ける。彼は目を開けたまま、土色の顔をして動かない。

 「はしたなかったし、強引だったよね……ほんとごめんね……?」

 これはきっとお仕置きされるだろうな、などど、痛みを考えで誤魔化し、身構えつつ謝った。返事は返らない。「……あはは、無視しないでよ、ねぇ」と身をゆすったり、ぺちぺちと叩いたりしたが変わらず。ぴくりとも動かない。

 「……あはっ」

 笑い声は震えて潤んだ。分からない程に狂えている事を祈ったが、ダメだったらしい。次第に胸は締め付けられ、痛切な後悔の念と罪の意識に押し潰される。

 「ごめんね、トシヤさん……ごめんね……」

 演じても、演じ切れない。耐えられない。

 「ごめん、父さん…………僕は、母さんにはなれません……」

 懺悔の直後、愚かな己を罰する様に、腹部から身を裂く様な激痛が走った。
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