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22.⬛︎⬛︎約0〜3週目 発覚
しおりを挟む折角得た機会だったのに。結局倒れてふいにしてしまった自分は、また元のベッドの上。失意の中、更に驚愕の事実を告げられる。
「にん、しん……?」
「ああ、そうだ」
なんと、彼曰くこの身体は孕っているのだという。こうなってから随分と経っている。考えない様にしていたし、その上で心の何処かである程度鷹を括っていた。そうはならないだろうと。
「…………う……」
言葉と吐き気を飲み込む。不安が次々浮かんでは内側で無理矢理に潰されていく。
「生理、随分来て無かったろう? だからもしかしたらと思ったんだが……」
いつの間に取ったのか、彼は血液検査の結果を目の前に出して項目を指差し、それが確かである事を懇切丁寧に説明した。それこそ此方の頭からその知識が抜け落ちている事前提で、妊娠とは何かから、一から全てを、感心してしまう程に詳細かつ明瞭に。
確かに、もう随分と赤く染まるシーツを見て無かった気はするけれど……。
「……ウソじゃ、ない…………?」
「ああ……!」
此方が理解した素振りを見せると、今一度抱き締められた。不意打ちで一瞬身体が強張る。
感情が見えず何を思っているのか不安だった。彼は子供に対して素っ気なかった人間だ。気に食わない事態なのではないか。そんな懸念が頭を過ぎった。
しかし、意外にも彼は喜ばしそうにはっきりと口にする。
「おめでとう……!」
……え………。
「僕らの子だ、初めての……!」
胸の内がずきりと痛んだ後、掻き回されたみたいに混沌とする。目が回ったみたいにくらくらして、力無く顎を相手の肩に乗せてしまった。
はじめて……? 喜んでるの……? 喜んで、いい……? 喜ぶ、べき……?
自身を抱く腕は歓喜に震えている。ここは、母なら喜ぶ筈。なのに、どうしてか苦しくて仕方がなかった。彼と、父の腕と母の腕、双方に抱き締められていても、まるでその場で自身が消え失せたかの様な取り留めの無い空虚な感覚で心が痛み、涙を啜った。
「うっ……ぐすっ…………」
幸か不幸か、真か偽か。溢れる涙の理由さえはっきりと分からないまま、扱いは妊婦相応のものへと形を変える。
「ここは冷えるから、出来る限り暖を取れる様にしよう。安定期に入るまでは、とにかく安静に────」
忠告の数々は受け入れられず、言葉は入って来なかった。ただただ検査結果が偽である事を祈ったが、思いとは裏腹に身体は刻一刻と好ましくない変貌を遂げていく。
「ぃっ…………」
告知から数日で、胸が張って痛みだした。元より適正なサイズでは無い下着を着けている為、少し突っ張った感覚が強まるだけで苦しくて息がし辛くなる。
暑くも無いのに汗をかいて服がじっとりと冷たくなり、寒気に震えていると横から声が掛かった。
「リナ、だいぶ辛いか? 顔が青いぞ?」
そう口にする彼の顔面も蒼白で目の下のクマが酷かった。「……ちょっと、ね」と答えた後、軽く微笑みを称えて指摘したが、無愛想にそうか、と返事だけしてベッドから立ち上がる。
彼はまた少し過保護になり、常日頃から此方を気にかけては割れ物の如く扱う様になった。今まで以上に側に付いて離れず、時折「何か出来ることは無いか」と訊いては、愛を説いたり、昔話をしたり。露骨に落ち着きが無くなった。
「っ……あの、ね……胸が、ちょっと苦しくて……」
「そうなのか⁉︎ ま、待ってなさい、今……!」
「いや、別に何も……いいから……」
「そんなっ……」
「多分、下着がキツいだけ、だから……」
「だったら外っ……すまない、配慮に欠けたな今のは」
ああ、いいんだ、外しても……。
母に頼る様になってからも、ちゃんとした服を身に付けていない時は少し乱暴にされる傾向が強かった。その為出来る限り脱ぐ事は避けていたが、仕方が無かった。
「少し……一人になっても……?」
「あっ、ああ」
漸く許しを得て一時部屋に一人になった自分は、一度母の服を脱ぎ胸元を締め付ける拘束具を解いた。とその時、ふと気付く。
「あ、れ……」
外したブラジャーの布地に、少しシミが付いていた。そこからふんわりと、牛乳を雑巾で拭いた後みたいな腐ったニオイと、甘ったるい香りの入り混じった嗅ぎ慣れない匂いまでして思わずウッと嗚咽する。
「これ、って……っ!」
母乳だった。認識した瞬間視界は揺れ、強い目眩と吐き気に襲われて一度軽く嘔吐しかけたが、吐き出す前に何とか飲み込んだ。
最早疑いようも無い妊娠の兆候。しかし、自分はその現実を直視出来ず拒絶してしまう。
ちがう……きっと違う。そうだよね母さん……これまで随分と色んな事されたから……身体が、おかしくなってるんだよね……。
母の腕で自身を抱くと、じんわりと乳首の辺りに透明な汁が浮き出た。ティッシュを取り拭うが、拭う度にまたじわっと出てくる。
「っ……! っ……!」
怖くて泣きながら夢中で拭いていたら、途中で「リナ! やめろ!」といつの間にか部屋に戻って来ていた彼の声が掛かって、無理矢理止められた。
「うっ……うあぁっ……!」
「これは母乳だ落ち着け! 通常よりかなり早いが、子供が出来ると出る様になると言っただろう?」
「うっ、ううううっ…………!」
彼に自ら抱きついて、その胸の中で泣きじゃくってしまった。こんな取り乱すなんて、母さんじゃない。そう判定されまた痛め付けられるかと思ったが、思いの外、彼は無言で落ち着くまで待ってくれた。
なんで、やさしいんだよ……なんでっ…………。
「……落ち着いたか?」
「……うん、ありがと…………」
否、落ち着いていない。恐慌が引くと共に、空いた胸の内に切なさが込み上げる。そも、不安だからこそ、行為の快楽に溺れ全てを忘れてしまい気持ちがあるのか。いずれにせよ先程までの憂鬱が反動になったみたいに気分が変に盛り上がって、何だか無性にムラムラしてしまう。
かあさっ……私、は…………。
下腹部が熱い。密着する彼の硬くなった股間部分が当たって、どうしようもなく疼く。
「っん……」
こっそりと自ら腰を動かして、アソコを擦り上げてしまった。内心は一瞬反省する。こんなはしたない事、母さんはしないと。けれど、すぐに慰めの理由を論い、自身を諭してしまった。仕方が無いのだ。相手も硬くしていて、身体はそういうムードにあてられている。だから、これを咎めるというならそれでいいなどと、恥ずかしげも無く並べ立てた。
いや、それだけでは無い。寧ろ咎めて欲しいとすら思い始めていた。先程までを忘れる為に、被虐感情に身を委ねた方が都合が良かったのだ。
自覚が無かった。どうしようもなく狂ってしまっているという自覚が。
「っ、待ちなさい、何をしている?」
気付かれたっ……いけない、露骨なのは…………避けられてしまう。避けられるのは嫌だ……それならお仕置きの方が良い。お仕置き、お仕置き。母さんお願い、叱って、助けて────
「はぁっ……ごめん、なさいっ……こんな、はしたない……っ」
偶然を無理に装うよりも素直に謝って、上目遣いに一瞬彼を見てから恥じらいながら逸らし、パッと離れてみせた。すると身体は思いの外力が入らず、そのままの勢いで後ろに倒れていく。「わっ、ぁっ」と慌てて声を上げると、また彼が抱き留めてくれた。
「っ……ごめ……なさい…………」
「謝らなくていい……時期的にホルモンバランスが乱れ易いから、不安定になるのも無理はないさ」
「ふぅっ……ふーーっ……うぅっ……」
全然制御が効かない。荒く息を吐きながら呻いて、太腿を擦り合わせ、身を捩ってしまう。これじゃ発情してしまっていると伝える様なものだ。なんて、なんて恥ずかしい。
「しかし苦しそうだな……仕方ない。鎮静剤を打とうか」
彼はゆっくりと立ち上がる。「…………おねがい、しま……」と言葉にしようとした、その時。かちゃりとベルトが外されて、素早く逸物が露出し此方の口元に突き付けられたかと思えば、頭を掴まれてそのままずるりと喉奥まで突っ込まれた。
「んぐぅっ⁉︎」
「っ、僕も、我慢出来そうに無いからなっ……鎮めないとっ……!」
「ん゛っ……じゅぶっ……う゛ぅっ」
母胎の安全性を考慮した行為は、膣口への挿入を伴わない物が望まれる。これが最善であると説かれて、納得させられた。彼もまた我慢し切れなかったのだ。されど理性を以て判断した。判断した上で、求めてくれた。
じゅぶじゅぶと口内を性処理の道具として使われる。幾度となく行われた酷い扱いと大差無いのに、経緯が異なるだけでこうも違うのか。暗い悦びが脳髄に走って止まらない。
「君が悪いんだぞっ……君がっ、あまりにっ、いじらしいからっ……!」
「んぶっ、んんんっ…………んんんんぅっ……!」
自分の手はするすると疼く割れ目へ伸びる。くちゅり、濡れた感触が指先に伝われば、もう憚る事は無かった。遠慮無く中指を挿れて、中を掻き回し快感を貪る。すると、程なく「くうっ!」と彼。腰を逸らして逸物を膨らませ、そのまま喉奥に吐精した。
「ん゛っ…………んんんんんっ…………!」
「ぅっ……はぁああっ…………!」
息の出来ない苦しみに反し、胸の内は嬉しさで満たされる。どろりとした灼熱が喉を通り、無理矢理胃に落ちる感覚ですら堪らなくて、下腹部から脳天へ、短時間かつ刺激も少なかった筈なのに、股座を犯される時と同じ絶頂感を味わってしまった。
「はぁっ……はぁっ…………」
ずるりと引き抜かれる。嗚咽が迫り上がりおえっと吐き出しそうになるが、口元を押さえぐっと堪える。全ては彼と、自身の満足感の為に。
「……今度は君の番だ」
「んぇっ……っへあっ⁉︎」
押し倒されたかと思えば両手で股を開かれて、そのまま敏感な陰部に口付けされる。
「いあっ、そんなっ……はずかっ…………っぁあっ!」
「こんな濡らしてっ……母親になるんだぞっ……!」
「んやっ……ぁっ、ああっ!」
こっそり弄っていた事がバレたのかどうか。分からないまま責められた。此方の弱点は既に把握されていて、ざらついた舌表面の感触に包まれながら敏感な突起を吸い上げられればあっという間に達し、余韻冷めあらぬ内に割れ目の内部から突起の裏側を舐られればまた更に深く達する。はしたない音と声が部屋に木霊し続けて止まらなかった。
「んっ、おぉっ…………やっ、そこっ、はぁっ!」
意識が飛び飛びになれば、いつの間にか場所はシャワー室に移っていて。今度は尻穴に何かを注がれた。
「じっとして力を抜け……だいぶ楽になるっ!」
「んぐっ……くる゛しっ…………んう゛ぅっ!」
ぎゅるぎゅる腹の中を不快感が駆け巡り、間も無く。腹痛に耐え兼ねゼリー状の何かをぶち撒けてしまった。屈辱感の中全身はだらりと弛緩して硬く冷たいタイルに沈む。
直後、何事か一切分からないまま背後から腰を掴まれたかと思えば、尻穴に剛直が捩じ込まれた。
「うぐっ……う゛あああぁっ!」
散々玩具は突っ込まれたが、逸物は実に初めてだった。最初こそ痛みを感じたものの、奥をぐりぐり突かれればすぐに快感に変わってしまい背筋が跳ねる。あり得ない、そんな馬鹿な。自分はそんな変態じゃない。等々、胸の内に困惑が広がったが、「くっ、おお゛っ……!」と彼の獣声が聴こえてからは責めは一層の激しさを増し、恥肉が潰され喘ぐ感触以外何も分からなくなって、快楽の奔流に溺れ沈んだ。
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