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ヨダカの肉檻
しおりを挟む今宵も最高の夜____の、筈だった。
「…………んんっ?」
「おや、お目覚めの様ですね」
目を覚ますと、エロい格好でそれ目的専用の椅子に拘束された今日のターゲットだった女が二次元ホログラム映像上に映し出されており、その奥に丁寧かつカマっぽい口調で、気色の悪い笑みを浮かべたオレが居た。
「おわっ⁉︎ なんで……はっ?❤︎」
女の可愛らしい声が出た。しかも目の前の映像の女の挙動と自分の動きが同期している。身体を震わせれば映像の中の華奢な身体は同じ様に震え、首を振れば、同じ様に肩にぎりぎり掛からない長さの茶髪がサラサラ揺れた。間違いない、自分は今、この女なんだ。
最後の記憶は、入れ替わった直後の閃光。過剰なオーガズム。そのせいで気を失ったんだ。
「どういうことだ、これっ、っ、んはっ❤︎❤︎」
なんだこの身体。ぴっちりしたレオタードみたいな特殊スーツを纏ってるが、どうも性感帯の箇所に電気パルスが流されている様だ。顕著なのがD~E程度はありそうな中々のサイズの乳房の頂点と、股間に薄ら浮き出た突起。震えていて、常に官能の火花を散らしている。意識すると危険だ。それ以外にも各所常に按摩されているせいで、強烈な快感が継続して駆け抜け、腰が浮いてしまう。
「んっ❤︎っ……くぅっ❤︎❤︎」
映像に映る、股を湿らせ蜜を垂れ流して涙目で悶えるトランジスタグラマーな美少女の姿は中々扇情的だ。しかし気に入らないっ。
「ふふっ、どうです? 気持ち良いですか? アナタの為に用意した、ワタシのカラダ♡」
「ふざけっ……んっ❤︎ん゛あぁっ❤︎❤︎❤︎」
馬鹿げた感度の高さだ。善がった声が全然抑えられないし、快感で思考が邪魔される。これは、弄り過ぎだ。情緒もクソもない。最悪だ。股だけじゃなく、乳首からもなんか出て染み作ってやがるぞ。孕んでるのかこれ。
「あ、母乳はご心配無く。孕んでいる訳じゃなく出る様に弄ってます♡気持ち良くないですか?」
「んっ❤︎心読むなっ❤︎くっ❤︎とんだスキモノだなっ……っ❤︎❤︎」
しかし、どういう事だ? 狙った女にここまでの異常は見られなかった。どうやったんだ? 入れ替わり前に拘束してたオレの身体が動いてる時点で協力者が他に居るのは確定だがっ……クソッ、頭が働かねえっ。なんてこった、性感リミッターまで外されてやがるっ。
「そうですか……気持ち良くないならもっと刺激を……」
「ああああまてっ、んっ❤︎待ってくれ頼むっ……っ❤︎」
気がおかしくなりそうなので、咳払い混じりに、何とか時間を稼ぎ場を繋ごうと声のトーンを抑圧して悪態を吐く。
「お゛っ❤︎❤︎ んっ、ん゛んっ、はぁっ……っ、この周到さっ……恐れ入ったぜっ❤︎まんまとっ、ハメやがってっ❤︎ちくしょうっ❤︎❤︎」
「なにいってるんですか? ハメるのはこれからじゃないですか」
相手はズボンを下げ、ボロンッと、オレの自慢の改造マグナムを露出した。嗅ぎ慣れたドラッグ混じりの性臭が鼻をつき、此方の熱っぽい胎がきゅんと疼く。
クソッ、話が通じないのかこの狂人はっ⁉︎
「はっ、くあっ❤︎❤︎っ……はぁっ、なにが、目的、だっ?❤︎」
「目的? まあ、端的に申しますとスカウトでしょうか」
そう口にするやつれたオレのおっさん顔が、得体の知れない笑みで歪んだ。続けて、訊いてもいないのにプロファイリングデータらしきものをツラツラ並べ立て始める。
「ウィザード級電脳クラッカー、コードネームヨダカ。今時は電脳下で完結しがちですが、アナタはあくまで肉体と性感に拘って、簡単な乗っ取りではなく大掛かりな仕掛けを要する精神交換を選ぶヘンタイさん。手口はいつもこうです。遠隔で見つけた女性と自身の精神を入れ替え、偶に寄り道もしつつ自身の拠点へ。そこで女性の快楽を自身で味わいながらその身体を開発し尽くした後、最後に己とまぐわい、入れ替わりを繰り返す倒錯的な交尾をして、満足したら元の身体で雲隠れ。はぁ、よく飽きませんね」
ご丁寧に動画まで提示して来た。行為中の映像はお得意様に流してるから兎も角、他はどうやって手に入れたんだ? 盗撮? ありえない。だが、事実としてこれはどう見ても盗み撮りだ。オレ自身が猿轡を噛み、手を後手にして自縄自縛している動画まであって、態々デカく表示されてる。きっと煽りか何かなのだろう。愉しむ為に必要な事なんだよ畜生め。
「っ、で?❤︎❤︎」
「ふっ、まあしょうもない犯罪、とはいえ精神を愚弄する重大な犯罪ばかりですけど、その技術はホンモノ。ネットワークを経由しているにも関わらず痕跡を全く辿らせてません。加えて拘りの遠隔精神トレードは最早魔法と言って差し支えないレベルです。その気になれば他人同士、複数人にも出来ますよね? アナタ」
成る程、そういう魂胆か。ありがとう、随分調べてくれたらしいが、馬鹿で助かった。ルート確保完了っと。
「くはっ❤︎オレの顔と声でキモい話し方して長々とどーもっ❤︎っ、お褒め頂き光栄だがっ、オレはオレのため以外にっ、技術は使わねえっ❤︎ 諦めな❤︎」
捨て台詞と共に、オレは今出来る最大限の手を尽くし緊急用セーフティゾーンへのエスケープを実行____しかし、不発。電脳上に赤いエラーを示す文字列が浮かび上がった。
はっ⁉︎ んだこれっ、妨害っ⁉︎ 正面のコイツは警戒してたから違うとして、第三者かっ⁉︎ どうやってっ⁉︎
「あらあらっ、本当にそう言ってられますか?」
刹那、快楽電流が強くなり、溜まっていた快感が爆ぜた。
「んがっ❤︎❤︎はあ゛ああああぁっ❤︎❤︎❤︎」
____なっ……にがっ……❤︎
一瞬頭が真っ白になった。未だパチパチとスパークしているが、朦朧とする中懸命に現状の把握に努め、目の前の映像の中、背もたれに寄り掛かって力無く痙攣し、濡れた秘部からぷしっ、ぷしっと潮が噴き出す女の姿を確認する。
「あ゛っ❤︎❤︎はあぁああぁ……っ❤︎❤︎❤︎」
酷くイかされた様だ。濡れた虚ろな瞳を揺らし、首元まで紅潮して蕩けた顔を晒している。汗だくでぐったりしたその姿は余りにも艶っぽく、恥辱的で、これが自分の体感している身体だと信じたく無い。
「あ゛ああぁっ……はぁっ❤︎❤︎あ゛ぁっ……❤︎❤︎」
「ふふっ、素敵ですねっ♡パッと赤くなって……お花が咲いたみたいです♡」
絶頂の余韻が強過ぎる。どんな電子ドラッグよりも強烈だ。意図せず恍惚とした吐息が漏れてしまい、中々息が整わない。
「ふあ゛っ、あ゛ああぁ……❤︎❤︎❤︎」
くっ、なんてこった。呼吸が落ち着く前に痙攣が少し収まって全身が弛緩し、失禁してしまった。辺りに立ち込める濃密な雌の匂いにアンモニアが混じり、恥辱の臭気と化してオレを苛む。
「はぁっ❤︎❤︎っ、おまえっ、スカウトとかいってっ……ふぅっ、こんなん、こわれちまうだろうがっ……はぁっ❤︎❤︎❤︎」
「ん? 大丈夫ですよ、遠慮なく壊れて。必要なのはアナタの技能だけです。そこに関わる部分だけはちゃーんとプロテクトしてありますから。それ以外は要りませんし、寧ろ壊れてしまった方がやり易いかと」
____こいつっ、マジでやべーやつだっ。
「っ……❤︎❤︎はあ゛っ、くそっ❤︎❤︎くそっ❤︎❤︎❤︎」
戦慄したオレは、鼻血混じりの鼻水を流しながらみっともなく足掻く。乱雑にプログラム言語を発信しては、何者かによって弾かれてを繰り返す。
「はははっ、そんな状態でもまだ初歩的な言語構築は高速で乱発出来るなんて、流石ですねっ♡」
化け物の入ったオレの身体がにじり寄って来る。やめろ、来るな、やめろっ。
「でも、もう逃がしません♡」
カチャリッ。首に、ペットの首輪の如き赤いチョーカーを付けられた。
「あっ……あぁっ……❤︎❤︎」
ノーシグナル。ネットワークからの隔離が宣告される。もう、逃げられない。
「そのカラダはアナタの為の肉の檻です♡ヨダカはもう、ワタシの許し無しに羽ばたけない♡」
絶望の中、特殊スーツの股部分がズラされ、にちゃあっと濡れそぼり赤らんだ恥丘が空気に晒されると、そこに鈴口からカウパーの滴る禍々しい鬼頭が当てがわれ、オレはあっと小さく艶声を漏らしてしまった。腰を引いてもそれより後ろが無くて、情けなく捩ってズラそうとするも、最早これまで。
「あっ、よせっ❤︎❤︎がっ、あ゛っ、っ、っっっ❤︎❤︎❤︎」
捉えられた狭い秘裂に荷重が真っ直ぐかかって、陰唇が開き、ずにゅっ、みちちちちゅっ……ズンっ。肉襞を掻き分けて、慣れ親しんだペニスがあっという間に最奥へ到達した。
「っはあ゛あああああぁああぁっ❤︎❤︎❤︎」
いつもより大きい気がする。痛みと圧迫感が強く苦しい。にも関わらず、身体は空いた疼きが満たされた悦びに打ち震える。
「うわっ、すっごいですね♡流石、変態プレイに特化してるだけあって具合良いです♡」
そのまま相手は抽送開始。破瓜の血が蜜壺から溢れた愛液と共に流れ出て、接合部で溜まりぐちゅぐちゅとはしたない音を立て始める。
「あ゛ぁっ、あっはあ゛っ、っ❤︎あぅっ❤︎❤︎やあ゛っ、あ゛っ、はあ゛あぁっ❤︎❤︎❤︎」
「ふふふっ、聞いた事もない様な情けない声っ、出してますよー?♡アナタ、一応元は男性ですよね?♡電脳は、男性の形してますけどっ♡ふふっ♡すごくしっかりしてますよね♡ここまで輪郭がハッキリしてる人初めて見ました♡」
「やえ゛っ❤︎❤︎やっ、あ゛っ、はあ゛っ❤︎❤︎あっ、ああっ、くぅっ❤︎❤︎❤︎」
「あっ、違うのでしたらすみませんっ!♡でも、似合ってますよ?♡そのカラダ♡」
浮き出た乳首がキュッと摘まれ、「はう゛っ❤︎❤︎❤︎❤︎」と情け無い善がり声が上がると共に、胸の先からじゅわーっと母乳が染み出して来る。それが、あり得ない程に気持ち良い。恍惚としていると、続いてピストンと合わせて先端に向かって揉みしだく様に乳を弄ばれ、クラッキングもされていないのに、身体は相手の掌の上で、その動きに合わせて蛞蝓の如く這う様に動いてしまう。
「んはぁっ❤︎❤︎はぁっ❤︎ああっ❤︎❤︎くぅっ❤︎はぁっ❤︎はぁっ❤︎くっ❤︎ううっ❤︎❤︎」
「ははっ、アナタの掌だと丁度良く収まって揉み易いですね♡どうです? 甘イキ♡止まらなくって気持ち良いでしょう?♡」
全く制御、出来ない。今までの行為とはまるで別物だ。自分の手元に無い、こんな快楽は、嫌だっ……❤︎
「いやらっ❤︎❤︎こんなのっ❤︎んっ❤︎ぜんぜんっ❤︎きもちよくっ、ねえっ❤︎❤︎」
「そうですか? 今までの独り善がりなオナニーの方が気持ち良かったですか?」
「あ゛あっ❤︎❤︎そうだねっ❤︎❤︎んっ❤︎そうだ、ともっ……んぅっっっ❤︎❤︎❤︎❤︎」
突然、ピストンが奥深くで止まり、どくっどくっどくっ、と、熱い液が放たれた。イった。イかせた。イって、イかせてやった。せめてもの反抗で、スカッとした。
相手の身体にぐったりと身を預けながらも少し勝ち誇る。が、それが間違いだった。
「期待以上ですよ、ヨダカさん♡」
ぞくぞくぞくっ❤︎快感と恐怖が綯い交ぜになった震えが走ると同時に、電脳に何かが侵入。景色が、禍々しい情欲の色に塗り替えられていく。
「はっ……ぅあ゛っ?❤︎❤︎❤︎」
電脳内の高音、奴本来の音声だろうか。子供の様な幼い声と、オレの身体を使った現実空間での低音、双方の声が重なる。
「キめました♡アナタ、私のペットにします♡もう離しません♡永遠に♡」
「はっ?❤︎❤︎ んなの、イヤに決まってっ……え゛ぇっ❤︎❤︎❤︎❤︎」
大きな何かに、オレのちっぽけな電脳が、身体が包み込まれて、凌辱されてイク。
「ダイジョウブ♡壊さないようにコワします♡大事にダイジに♡アナタを尊重して、その意思が無くならない様に♡」
やべーやつなんてもんじゃなかった。コイツは、そもそも人間じゃ____
直後、オレの電脳と今の身体、そのどちらにも狂気の劣情がぶつけられ、快感で溶かされる。乱暴な様でいて、余りに緻密で丁寧だ。快楽中枢が弄られ、五感全てが焼ける様な官能に変換される。その癖ブッ飛んでもおかしくない意識は快楽に関する情報のみ異常な程クリーンで、十全とそれを享受してしまう。
「あっあっあっ❤︎❤︎はっうっうっうっ❤︎❤︎❤︎やめ゛っ、っ、あ゛う゛ぅっ❤︎❤︎うあ゛っ、あ゛っ、あ゛っはう゛うぅっ❤︎❤︎❤︎❤︎」
不要な情報がカットされたみたいに入って来ないし、出力されない。聴覚はヤツの声に加え、自分の女ったらしい淫猥な喘ぎ声と、水っぽい肌と肌がぶつかり合う音ばかりが響いて、触覚は抱かれ触れ合い、溶けて一つになる様な感覚のみに支配される。嗅覚は甘ったるい性臭だけを拾い上げ、視覚は犯され淫らに変わっていく自分を現実電脳双方延々とモニターし続けている。
「ふふっ♡アナタ、キスはあまりしないんですよね♡勿体無い♡もうお話は要りませんし、しちゃいましょっか♡んむっ♡」
「や゛っあ゛んっ❤︎❤︎んんんっ……んうっ❤︎ちゅっ❤︎んんんぅっ❤︎❤︎❤︎」
喘ぎ開いた唇までもが奪われる。舌が絡め取られ、舐られる。自分とキスなんて死ぬ程嫌なのに、味覚まで弄られているんだろうか。苦いコーヒーの風味まで痺れて甘い。抵抗出来ない。イク。
「んんっ……ちゅはっ♡」
「くっあ゛っ❤︎❤︎はっ❤︎あああぁっ❤︎❤︎❤︎っ❤︎しぬっ❤︎❤︎う゛っあっあっあっあ゛っ❤︎❤︎❤︎」
胎の中の痙縮が止まらない。膣が咥え込んだ改造ペニスの形を覚えてしまう。強い圧迫感の中ぼこっ、ぼこっと向こうは動いて、凶悪なカリ首が肉襞を逆撫でして、度々ポルチオにキスをする。堪らない。そのシルエットを強調される度、電脳の形が、どんどん今のカラダの形に変えられてイク。
「電脳と肉体の交合♡これがホントのセックスですよ♡これからいっぱい教えてイきますからね♡ワタシのヨダカちゃん♡」
「あ゛っあっあっ❤︎いぐっ❤︎❤︎❤︎い゛っっっ❤︎❤︎❤︎う゛ううううううぅっ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」
イク。言語がそれしか形にならない。イク。いくいくいくいくいくっ❤︎❤︎❤︎❤︎
「おおっ、締まります♡いっぱいイってますね♡ワタシもイきます♡一緒にイきましょう♡イって、ペットになって下さい♡」
ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅ❤︎激しい抽送が尚の事加速してイき、そして。
「あっ♡でるっ♡でますううぅっ♡♡」
「あっやっ❤︎❤︎あっあっあっっ❤︎❤︎❤︎ひあ゛あああああぁうううううううぅっ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」
どぷっ、どぷこっ、どぷぷっ❤︎膣内に溢れんばかりの白濁液を注ぎ込まれ、あまりに深い充足感と絶頂の中、快感の濁流に呑まれたオレの意識は底に沈んでいった。
✳︎
人生には、絶対に関わったらいけない相手が居る。関わったら最後、全ておしゃかな相手が。オレの技能は、そんな奴らに目を付けられ易いだろうという自覚はあった。だから潜伏、逃亡に関しては誰よりも腕を磨いて、細心の注意を払って生きてきた、つもりだった。
「……ん、うぅっ……」
「あっ、起きた」
目を覚ますと、巨漢のメガネデブとちっさいガキがオレの顔を覗いていた。
「……あぁ?」
「ぐふふ、おはようヨダカたん」
「っ⁉︎」
溢れる生理的嫌悪から、悪寒に震えたオレはベッドから転げ落ちる様にして距離を取った。
「そ、そんな怖がらなくても……」
オタオタするデブを尻目に辺りを見回しつつ状況を確認する。
____身体が重い。やはり女の身体のままか……あれだけ無茶苦茶にされて電脳は一応無事なのは良かった、が。
「んだこの格好⁉︎ んで、何処だ此処は⁉︎」
CPUとインターフェースギッチギチの空間に、メイドコスを着せられた女の身体のオレが居る。この状況は一体何だ?
起きて早々抱いた疑問は、飛んで来た球状ドローンから発せられる、聴き覚えのある子供のお堅い音声によって応えられる。
「気が付いた様ですね。歓迎します。此処が今日からアナタの職場、国家公安委員会直轄組織、電脳性犯罪専門対策室です」
「……はい?」
意味がわからねぇ。国家? お国の為のお仕事ですか? オレが? しかも性犯罪ピンポて、何だそれ。
「……笑った方が良いところか?」
「微笑むくらいなら良いでしょう」
ふ、ふざけてやがるぜ……!
「オレがいつ、働くなんて言った?」
「言ってませんね」
「だよなぁ? 一応反社会的行為に手を染めてる人間だぜぇ? それがこんな所ではたりゃっ、くぅっっ⁉︎❤︎❤︎」
文句を垂れ、恐らくネットワークアクセスをジャミングしているであろうチョーカーを取ろうと手を掛けたその刹那。股座から快感が駆け抜け、オレは立って居られず膝を付いた。
これ下着っ、按摩電極付いてやがるっ!
「もう少し賢い方だと思っていましたが、やはり昨日弄り過ぎましたかね。調整が必要でしょうか?」
「錦の御旗掲げといてっ❤︎こんなやり方でいいのかっ?❤︎」
「おや、世の中が元々そこまで綺麗で無いことはご存知ですよね?」
「っ、クソやろっ……っ❤︎」
アニメ声みたいなキモい声しか出ねえしっ……だよなデブ達見てるよなっ、くそっ、恥ずいっ! コイツやっぱロクでも無ぇっ!
「くぅっ❤︎分かったわかったっ❤︎働きはするっ、だから、んっ❤︎こんな所でっ、やめろっ❤︎」
「ふふふ……♡」
漸く振動が止まった。ただ、なんて不便な身体だ。一度発火した疼きが残って、切なさに苛まれてしまう。脚に力が入らず、立ち上がれない。
「元よりアナタに、いえ、改めて言いましょうか。アナタ達に、選択の自由はありません。当然です。此処に居るのは、本来檻の中で一生過ごす他無かった筈の者達。それが、こうして贖罪の機会を与えられているのですから」
幼声は、冷徹に、かつ何処か愉悦混じりにその場の全員へ言い放つ。
「働いて下さい、罪深き奴隷達。働いて働いて、精々ワタシと世間の役に立って下さいね」
人生において、絶対に関わったらいけない相手。何となく分かっていた。腕を磨けば磨く程、捕まる時は、真に関わっちゃいけない奴に捕らえるんだと。
「ペットちゃんは、特に、です♡」
「んひぅっ⁉︎❤︎❤︎」
去り際、電脳内にそう言い残し、ドローンが去っていく。不意打ちの音声だけで跳ねた身体が、ダラダラ冷や汗を流す。
「……ヨダカたん、大丈夫? 立てるかい?」
「は……ははは……」
心配して手を差し伸べるデブを他所に、オレは空笑いした。きっとこの先、死ぬより酷い目に遭うんだろうな、と。ある種確信めいた不安を抱いて、オレはただ笑うしか無かった。
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