【完結】【誰か助けて】男です!なのに興奮したらち○こじゃなくておっぱいが膨らむ様になりました!助けて下さい!

あかん子をセッ法

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2.近くて疎遠な関係 〜幼馴染女子サイド〜

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 「……はぁ」

 朝。憂鬱な気分を引き摺りながら私は教室の最後方、窓側から二番目に近い席でスマホの画面を眺め静かに溜息を吐く。

 スレも落ち着いちゃったなー……。

 某スレッドはあれから暫く賑わいを見せ、一つ目はあっという間に埋まり二つ目、三つ目と後継が立った。しかし幾ら待っても肝心要の話題の主が姿を現さず勢いは三つ目で徐々に鈍化。四つ目が立った所でほぼ停滞してしまっていた。

 まあ幾ら面白くてもそこまで必死になる物じゃ無いしね。

 丁度ホームルームの時間が来た。もういいか、と画面を閉じてスマホを制服のポケットに突っ込み顔を上げ、気もそぞろに教卓の方に視線を向けると、そこに立つ日直の男女からある事に気付きげんなりする。

 あーそっか、明日日直かぁ……めんどくさー。

 このクラスは基本的に席順で回って来る。前の二人が今日の担当だから、明日は自分と、隣で何故か鞄を抱えたまま丸くなっている、チビで根暗そうで地味な、節目がちの男子。

 相変わらず冴えねーなぁ、私が言えた事じゃないけども。

 この男子、実は幼馴染である。家も近所で、幼稚園から小学校一、二年年くらいまでだろうか。その頃位までは仲が良くて、そこそこの頻度で一緒に遊んだ奴だ。だが何ともありがちな物で、各々男女を意識する年齢になったら自然と疎遠になり、気付けばこの通り。互いの間には見えない壁が出来て、かれこれ五年は一言も会話を交わしていない間柄に成り果てている次第だ。

 数年ぶりに同じクラスになって、しかも隣り合う席になるなんて。これが恋愛ドラマの類なら運命的な展開もあっただろう。
 しかし相手もコミュ障、自分もコミュ障。積み上げられた気まずさは想像を遥かに超えていた。

 何と! 春からずっとこの近距離で一つのやり取りも無し! 日直の時に辛うじて発生するかに思われたが、なななんと! コイツは測った様に休みやがるので無しっ! 当然仕事は一人でやる事になるがそれについてごめんの一言も無し! グァッデェェムッ!

 という訳で盛大に何も無し。虚無である。南無。まあこれについては言い出さない私も悪いけど、確信犯の向こうの方が悪かろう。昔から私とはベクトルの違うコミュ障で、そういうとこある奴だったからな。仕方ない。

 事ここに至っては怒りも冷めてしまったので考える気も起きない。きっと明日も休むんだろう。いいよ、もう。

 強いて言うならせめてその目元隠してる前髪を切って欲しい、と最後に思った所で朝礼が終わり、号令が掛かる。起立。と、その時。

 プッ、コロコロン。微かな千切れる音の後に、何かが此方の足元に転がった。

 ____おっ? なんだ?

 視線を落とすと、そこにはつい最近見た赤の戦隊ヒーローが。

 「っ、ぁっ……!」

 微かに左から声が聴こえた。かと思えば、号令の流し気味の礼、の声に合わせて左隣の小さな男子が小動物の如き機敏な動きでそれを拾い上げ、雑な着席、の声と共に何事も無かったかの様に椅子の上に戻っていく。

 「…………」

 私はジトーっと其方に視線を送りながら静かに席に着く。当然目は合わない。彼はバツが悪そうに俯いたまま、一時間目の授業の準備を始めた。

 あれ、これまさか、アレか?

 脳内に電流が走るとはまさにこんな感覚だったか。記憶の断片一つ一つがカチリとハマった気がした。

 劇物戦隊マゼルンジャー、マゼルレッド。あのポスターと、さっきのキーホルダー。

 思い出した。そうだ私、あの部屋で何度か遊んでて、その時にあのポスターも、さっきのも……。

 「…………っ」

 ほぼ確信に近い気付きだった。しかし、言葉は出なかった。

 事が事だ。勇気が足りなかったのもあるが、どう切り出せばいいのか、そもそも問い詰めてどうするのか。幾ら考えても纏まらない。

 うだうだうだうだ、考えるばかり。キッカケが見つからないまま時間が過ぎていく____

 気のせいって事は……いやしかし、確かめないのも…………。

 授業は全く頭に入らず、そのままあれよあれよと放課後に。


 「……はぁぁ」

 くそ、何やってんだ私……。

 思わず深い溜息を吐いて頭を抱える。機会をひたすら窺ったものの、全然タイミングが無かった。私がダメなのもあるけど、いやはやコイツは、マジで恐ろしい位に人を寄せ付けないらしい。

 一日観察して分かったが、話し掛けるなオーラと潜伏を上手く使い分けてしっかり空気と化してらっしゃる。一言も、誰とも会話していなかった。何の為にここまで徹底する必要があるんだよホント。

 今も直ぐ隣で小さく丸くなりながらいそいそと帰り支度を整えているのだが、矮小なせいだろうか、距離感が狂う。近いのに遠く感じる。

 なんかアホらしくなってきた……何でも良い、何か動機を生み出して強引に……!

 と、そこで帰りのホームルームを終え、日直の仕事を始める男女を見て漸く思い付いた。

 ____そうだ、脅してみよう。

 いきなりの過激思想と思う事無かれ。そう、私には彼に怒りをぶつける正当な権利がある。明日の日直を引け合いに、揺さぶってみればいいのだ。

 そうと決まれば善は急……ってちょ、待てーい!

 小動物的本能が何か察したのだろうか。彼は脱兎の如く教室の外へ走り出した。

 逃すか! と私。すぐさま小さな背中を追う。だが思いの外逃げ足が速く、徐々に引き離される。

 「はっ、くっ……!」

 が、幸いそこまで差を開く程では無かった。玄関先の下駄箱で靴を履き替える所で追い付き、捕まえた。

 「っ、はーっ……はーっ……」
 「っ! なん……はな……!」

 息を切らす私と、消え入りそうな声で抵抗する彼。若干周囲の視線が痛いが、仕方ない。単刀直入に言う。

 「明日……日直だろ? いつも休みやがって……」
 「ぅ……!」
 「流石にそろそろちゃんと来いよ? 来なければ、どうなるか……」
 「っ…………!」

 注釈するが、これが数年振りのやり取りである。何とも酷い話だ。ビビられている。掴んだ腕が震えていて、前髪の隙間から覗く瞳に涙が見える。

 おいおいそんな顔しないでくれよ。まるでこっちが悪者みたいじゃないか。

 罪悪感は無くはない。しかし何というか、今の表情を見たらそこまでするつもりじゃ無かったのに、少しムカついてきた。

 「……帰り道、一緒だろ? ちょっと話そ」
 「ぅ、うぅ…………」

 と、いう訳で私は強引に彼を連れ、通学路、人気の無い公園裏で、未だ五月蝿い蝉の鳴き声の中本題へ。

 「あんたさ、これ知ってる?」

 スマホの画面を出して、例のあのGIFを再生して見せた。すると、

 「っぁ…………!」

 まさかのまさか。露骨に口元が引き攣り、後退りした。目元は相変わらずよく分からないが、驚きでまん丸なのが透けて見える。知らない場合に予想される、怯えや羞恥から来る様な反応とはとても思えない、見事な良いリアクションだった。

 こりゃ図星か。何てこった、こんな身近に居たとは。

 「……マジであんたなの?」
 「えっ、いや、ちがっ……!」

 今更取り繕ったってもう遅い。壁際まで追い込んで詰め寄り、意図せず壁ドンの形を作って問い詰める。

 「この床に転がってるキーホルダーさ……今朝落としたやつでしょ? それに、このカレンダー」
 「わっ、わああぁっ! ちがう、ちがう!」

 初めて張り上げられたその声は鳥の雛の如く甲高く、可愛らしかった。

 「まってっ! ちがう! ちがうんだよ! これはっ……とにかくちがうっ!」

 耳を真っ赤にしてあたふたする彼。こうして近付くと小ささがより顕著だ。男子の癖に、160センチ前後の私より頭一つ分小さい。そのせいで顎の辺りで男子にしては少し長め、耳元が隠れるくらいの長さの無駄に細くてサラサラな髪の毛が揺れ、妙に良いシャンプーの匂いが香って来る。

 「ちがう? 違うってんなら証明して欲しいなー」

 耳元で少しばかり挑発的にそう囁き、暫し言葉を待つ。が、「うっ、えっ、えっと、えっと……!」口籠るばかりで反論は何も出て来ない。

 ダメそうだ。また殊更に強引だけど、お宅訪問がベストか。などと逡巡した、その時。

 むくっ。

 「っ! あっ……!」

 何やら彼は咄嗟に屈んで背を向けたかと思えば、胸元を隠し始めた。突然の異変に「おや?」と私。眼鏡を上げ、観察しようと上から覗きこんだ。すると、驚く事に、

 「ぁっ、だっ、だめっ……!」

 むくむくっ、むくむくむくむくっ。膨らんでいく。隠そうと抱えた腕の中、目に見えて胸が育っていき、そして……むちんっ! 夏服のワイシャツの中から溢れ出し、苦しそうな谷間を晒した。

 「あっ……ああぁ…………!」

 彼は哀愁を誘う嘆声を絞り出しながらへたり込む。対し、信じられないものを目の当たりにした私はぽかんと口を開け、その場に立ち竦んだ。

 ____マジなんか、これ。

 例の主は実在した。クラスの、すぐ隣の席に。

 「…………」

 立ちすくみ唖然とする中、居た堪れない空気が流れ出す。衝撃の事実が判明した所で何だが、まさかこんな場所で唐突にこうなるとは思っていなかったので、正直どうして良いか分からない。

 「ぅ……ぅぅっ……」

 ただ、目の前で羞恥に震える、彼と呼んでいいか怪しい状態の彼を放置している訳にもいかず____

 「っ、ほら、これ羽織れ」
 「っ!」

 私は荷物の中から常備している学校指定のジャージを出して彼に被せた後、「一先ずお前のウチまで送るから」とその腕を引き、周囲の視線を気にしながら駆け出すのだった。
 
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