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秘匿性TS被害少年の独白1. 保健室、初めての柔肌の誘惑
しおりを挟む____あの日、あの瞬間から、僕の世界はおかしくなってしまいました。
まず初めに断っておきますが、僕は本当に何も特別な事は無い、ごく普通の男子高校生です。好きなアニメや漫画があって、少ないながらも友達が居て、気になる女の子も居る。そこそこ恵まれているであろう日々に満足こそすれど、少し平均に届かない身長にコンプレックスがあって、勉強にも運動にも、恋愛事にも自信の無い、思春期真っ盛りな普通の学生身分の人間です。普通の定義は人それぞれ。世界によって違うとはいえ、少なくとも自分に関わりのある人々から見たら、きっとそう評価が下る程度の存在だと思います。
今でもその筈なのです____しかし、変わってしまいました。
あまりの変貌ぶりに初めは自分の頭の方を疑いました。でも、違います。明らかに、おかしいのは僕の頭じゃない。周りの人達と、僕の身体なのです。
訳が分からない? 僕にだって分かりません。だって、あの日教室で授業を受けていたら突然、雷に撃たれた様な衝撃が全身を突き抜けて……意識を失い、気が付いたらこんな身体になっていたのですから。
保健室のベッドで目を覚ました時の衝撃は今でも忘れません。気怠さと違和感から不意に目線を下げたら、いきなりありました。自分の胸元に、谷間が。乳児以来遠い存在になって、最早願望の産物となったあの、おっぱいが。気絶している間に着せられたと思われるぶかぶかの体操着の中に、堂々と鎮座していたのです。
これはその日、その時の出来事です。
「へっ? ぅっ、うああああっ⁉︎」
明確な異変が視界に入った瞬間、それはもう驚いて、素っ頓狂な声を上げてしまいました。すると、
「ちょっ、何だ? 急にどうしたー?」
奇声を上げたせいで心配された様で、保健室の先生が部屋の奥からバタバタと駆け付けて来ました。他に生徒が居なかったのは不幸中の幸いか、彼女一人だけが閉められていたカーテンを勢い良く開け入ってきました。
羞恥で思わず固まる中、「大丈夫か?」と先生は尋ねて来ます。大丈夫な訳がありません、訊きたい事は沢山ありました。しかし僕は布団を被り直し「あ、いや……」と誤魔化してしまいました。
すると先生、「はぁ……まあいいわ。起きたのね、具合はどう?」と、嘆息混じりに問診へ移りました。具合がどうこうなんてもんじゃないです先生、なんて勢いで訊けたのなら苦労はしません。状況が状況です。強いて言うなら全身が熱っぽく、腫れぼったくて酷く怠い、といった感じでしたが、上手く言葉に出来ませんでした。
「えっと……僕、どうなって……? ん? ん゛っ、おほんっ、っ?」
ただ、声の出方と言いますか、少し枯れていたのですが、ひっくり返ったみたいな高い声ばかりが出る事に気付いて咳払いすると、それだけは伝わった様で。
「? 喉がおかしいのか?」
「はい……声が、なんか変で……」
「そうか。うーん……」
しかし、伝わった所で先生は疑念の表情を浮かべ言いました。
「…………何か、嫌な事でもあったか?」
「……と、いいますと?」
「ええと……自分に何が起きたか、分かってる?」
正直な所、ショックが強過ぎて朧げな認識でしたが、言葉にし辛い部分を多分に含んだ事態が起こったのは理解していました。改めて突き付けられて、僕はサーッと青褪めていきました。
「ん゛んっ、教室で強い衝撃を受けて……気を失った事は分かってます」
「そうか……衝撃……突然大声を上げて失禁したと報告を受けているが……ごめんなさいデリカシー無かったわ」
気を遣われてしまいました。どうもいじめとか、そっち方面を疑われているみたいでした。さておき、その様子から僕の中で違和感が膨れ上がります。
どう訊ねようか。悩んだ末、自分の体操着に目を向けました。
「あの……ん゛んっ、体操着、有難う御座います……先生が、着せてくれたんですか?」
「ん、そだよ。まあ学校のだし、仕事だから気にせんでいい」
そうなんだ。なら分かる筈と、一つ訊きました。
「……見ましたか? 僕の、その、身体……」
遠回しで、変な言い方になりました。ただ、この質問で、奇妙な現象に気付く事になります。
「あーんだ、恥ずかしがるんじゃ無いよ、男だろ!」
「えっ……?」
「あっ……そっかまた……悪い、昨今はこういうのダメなんだよな……」
凍りつきました。動揺から、もっと変な訊き方になってしまいました。
「僕、今、おっぱい付いて見えませんか……?」
そう言葉にすると、先生は何も言わずに近付いて来て、僕の額に手を当て言いました。
「……重症だな。熱もある。親御さんには連絡してあるから、迎えが来るまで寝とけ」
そう。これがもう一つの異変。先生にだけじゃありません。他の人にも、僕は変わりなく元の姿に見える様なのです。確信はもう少し後の事ですが、この時点でも良かったかもしれません。だってこんなの、皆んなに知れ渡っていたら大騒ぎになってる筈ですから。
尤もこの時点で僕は異変に向き合い切れず、殆どこれは夢だと割り切り始めていたので、そこまで考えられる筈も無く。そのまま話は戻ります。
先生は僕をあしらうと、困り顔のまま頭を掻き、カーテンを閉めて保健室の奥、窓際にあるデスクへと戻って行きました。僕はというと、頭の整理をしようとしたのですが……やはりというか、身体がそわそわして堪らず、結局意識はおっぱいに立ち戻ったのです。
大きい事自体は見て直ぐ分かっていました。真上から覗いても、膨らんだ胸はダボっとした体操着の上からでもその存在感を主張していたので。これはひょっとするとクラスの誰よりも大きな物なのでは、と、期待すらしていました。
ゆっくりと身体を起こしました。するともう、それだけで実感しました。少し重いのです。胸が。肩にのし掛かって来る感じです。胸の大きな女性は肩が凝り易いというのは聞いた事がありましたが、こういう事なのかと少しばかり関心してしまいました。
軽く下から手で持ち上げてみたりしてみました。すると、やはり掌に心地良い感触と重量感が。随分生々しい夢だな、と思ったその時です。
ひくんっ。
「っ⁉︎」
手の感触だけでなく背筋にも、それが少し揺すられたほんの一瞬、変なこそばゆさが駆け抜けました。慌ててパッと手を離します。
「ぅっ…………」
熱っぽさと相まって変な気分になりましたが、一つ首を振り、そういえばと今度は股間に意識を向けました。徐に視線を下げ確認しようとしましたが、そもそも胸が邪魔で見えない事に気付きます。腰を前に突き出して漸くちょっと見えるかどうか、といった具合です。視界の不便さも噂で聞いた事がありましたが、これまた体験してしまうなんて。流石にちょっと変態的で気が引けました。
しかし、それでも保健室の先生が気付かなかった事が気掛かりで、試さずにはいられませんでした。
「……っ」
ズボンの上から股間を弄りました。すると案の定、想定していた凹凸は無く、手指はなだらかな曲線をなぞります。
「ッ!」
そして触った途端、ピリッとした鋭敏な刺激が下腹部を駆け抜けて腰が跳ねました。経験した事のない未知の感覚です。怖くてまた反射的に手を引っ込めました。
剥き出しの神経を撫でたみたいでした。僕はすっかり怖気付いて、暫し硬直しました。
とはいえそうなると股座を意識せざるを得なくなり、否が応にも気付かされます。衣類が合わないせいで、その場所がスカスカしている事に。
「っ~~……」
底知れない違和感に加え、今までの人生、ずっと連れ添っていたモノが無いと分かったのです。不安で落ち着かず、静かに唸りながら不意に身体を揺すりました。と、その時です。ふわり、甘くて良い香りが鼻を擽りました。女の子が通り過ぎた後とかに、たまに嗅げる残り香の様な物のちょっと濃いやつ、といった感じでしょうか。石鹸とも乳製品とも似た、香水とは違うとっても良い匂いです。
それを嗅いだ瞬間でした。何か腹の奥から熱いものが込み上げて来るのを感じました。そして脈打つ鼓動が早くなって、早る呼吸に合わせてふるんと揺れたのです。目の前の、立派なおっぱいが。しかも揺れる度に熱っぽい肌は擦れた箇所から甘い疼きを発し、ムワッと、そこから体温混じりに先程の匂いが濃く立ち込めてきて、もう堪りませんでした。
ドクンッと心臓を鷲掴みにされ、痺れた頭は“目の前の柔らかそうな肉の塊を思い切り揉みたい”という欲求で埋め尽くされました。
震える小さな両手が恐る恐る胸の上に添え置かれます。大きな変化を前にそれまで見落としていましたが、手や腕もすっかり細くしなやかな見た目になっていました。あまりの違いに他の人の手と錯覚して、その後の行為は自分じゃないとすら思いました。しっかりと感触は伝わって来るのに。
「はーーっ……はーーっ……」
火照った全身が疼き、背筋をゾクゾクが駆け巡っていきます。予感がありました、これを味わったら、もう戻って来られないのでは、と。夢と断じるにしても、余りに倒錯が過ぎると、頭が警鐘を鳴らしていました。しかし、ダメだダメだと自戒してももう止まりません。両掌には力が込められ、ぎゅーっ、と、揉んでしまいました。
「んっ、はああぁっ……」
柔和で心地良い感触と共に、苦しそうな、それでいて心底悦に浸った様な、温泉に浸かれば出るかも分からない感じの何とも言い表し難い声がしました。一瞬誰が出したのか分からなくてふと周りを見回しましたが、気配は先生だけ。少し不安にもなりました。しかし、鈍磨した頭に染み入る「はーーっ……はーーっ……」という、自分の息遣いと同期した艶っぽい吐息に、茹だった脳味噌でもそれで出所を察してしまいました。ああ、これ自分なんだ、と。
あろうことか、その自覚で疼きはより一層酷くなりました。あり得ない、恥ずかしい、なんで、こんなこと。次々羞恥の自覚が頭を過り、やめなきゃと何度も思いました。が、それらは行動に結び付かず、寧ろ興奮へと昇華し、先程の声と共に情欲の鍋をぐつぐつと滾らせる材料になってしまいました。
「はあっ……あっ……っ、あぁっ……」
手は容赦無く動きました。揉みしだいたり、こねくり回したり。その度、自分の物とは到底思えない切なげで愛らしい声が喉の奥から絞り出され、揉む掌からも、揉み潰された胸からも、根こそぎ染め上げていく様な危険な快感がじわっ、じわっと滲み出し脳髄へ浸透していきます。僕は忽ち陶酔してしまいました。
身体は更におかしくなっていきます。みぞおちがソワソワして、締まる下っ腹の奥がキューっと切なく鳴きました。乳房は揉む度張り詰めて、心拍も息遣いもどんどん荒々しくなっていきます。
と、その時でした。
「んぅ゛っっ……⁉︎」
一つ力を込めた所で突然視界が明滅して、爪先から脳天までを閃光に貫かれました。意識を失ったあの教室の時程ではありませんが、痙攣と共に身体の芯から末端までじんわりと熱が広がっていくのを感じ、数秒間、全てを放り出し浸ってしまいました。
恐らくはこの時が初めて自分で達した瞬間だったと思います。ただただ驚きました。女の子の身体は、こんなに気持ち良いものなのかと。クラスの女子達もこんな気分を____だとしたら、よく正気でいられるな、なんて、朦朧とする意識の中思ったりもしました。
そんな訳ありません、この身体がおかしいのです。衣服が擦れただけで肌が甘く痺れて、挙句こんな痙攣を起こしてしまうなんて。
しかし、当時の僕はそうとは気付きませんでした。何せ男の時のそれの後とは違って冷める事無く、より一層熱を増していったのですから。思考は鈍り切って、殆ど何も考えられなくなっていました。
「はぁーーっ……っ、ぁっ……ぁ゛ーーっ……」
もう体操着は汗でぐっしょりでした。一応薄着の部類な上、まだそこまで暑い時期じゃ無かったのに。濃密な甘い香りがそこから漂ってきて、嗅ぐとそれだけで頭がふわふわしました。
ただ、刺激する上で湿った服は張り付き邪魔になっていきます。やきもきした僕は裾を持って捲り上げ、苦しいおっぱいを曝け出してやりました。
ぼるんっ。肌に少し引っ付いてたからでしょうか。柔らかな肉がくっと引っ張られた後解放され、揺れてそんな音がしました。同時に蒸れた肌が露出して、むせ返る程に濃い媚臭が広がりました。すると、またです。
「ッ~~~!」
電撃が走って、僕は呻き声を上げながら身体を丸め蹲ってしまいました。原因は胸の先。張り詰めた感覚の元となっている部分でした。痼り尖っていたので、脱ぐ時擦れたのでしょう。焼ける様に熱いそこを摩擦され発火したのです。
「ぅっ……ふっ、ぅっ…………!」
起きていられなくなって、僕は丸まったままベッドに転がりました。呼吸が苦しくて視界の明滅が酷いので、そのまま落ち着くまで休む事に____とはなりません。生の女の子のおっぱいの刺激と誘惑は強烈でした。おまけに、その時丁度先生がガラガラとドアを開け保健室を出て行く気配が。
「ふーーっ……ふーーっ……っ、っっ!」
ゴーサインまで出されて正気でいられる筈もなく、僕はシャツの中に手を突っ込んで、掌いっぱいの二つの膨らみを下から直に包み込み、摩ったり、揉んだりしてしまいました。
「ぁぐっ……んっ、んんんっっ!」
すごい声が出てたと思います。それまではぎりぎ押し殺してたのに、もうダメで。恥ずかしくて枕に顔を伏せましたが、多分だだ漏れでした。先生や生徒がもし居たら、なんて。想像しただけでぞっとする程に、はしたなく狂いました。
手触りだけでも心地の良い、きめ細やかで手に吸い付く様な餅肌です。それが、服の上からとは比べ物にならない鋭敏な反応を脳へと返すのです。
知識はありました。お恥ずかしい話、男の身体では幾度か経験もありましたし、浅ましい行為である事も理解はしていました。しかし、同じ名前の行為である筈のそれも、感触が、快感の大きさがここまで違うとは思いませんでした。胸を揉むだけでまさかこんなに艶っぽい声を上げて、身体がガクガク震えるなんて。
「んっ……んぁっぁっぁっ……っっ! んぁっ、はぁああぁ……っ!」
じくん、じくん。揉めば揉む程、柔らかな双丘の頂点が硬く尖り、張り詰めていきます。
きっと、ここに触れたら終わってしまう。浅ましい願望と切実な恐怖の入り混じったなけなしの理性によってギリギリで踏み留まり、その周辺、少し素肌より滑り難い感じのぷっくりとした膨らみを散々なぞって暫し焦らしました。が、間も無くそれすらも限界を迎えます。
「はっ……ぁ゛っ…………」
僕は快感だけを求めて、搾る様な動作でその手を先端へ向かわせました。差し迫っていく身体は背筋を逸らし、手指から逃れるように胸を前に突き出します。当然そんなの無意味でした。力の籠った指圧は柔らかな山を這い上がり、痼り張り詰めたそれを遂に追い詰めると、そっと摘んでしまいました。
「っっっ~~~~っ!」
瞬間、ぶわっと熱が溢れてあの衝撃が訪れました。振り切れた快感によって全身は激しく痙攣し、頭は明滅を繰り返した末、真っ白に____
その後の事は分かりません。多分、気を失ってしまったんだと思います。気付いた時には天井は保健室のクリーム色では無く何処かの病院の真っ白な物に変わっていて、腕には点滴のチューブが刺さっていました。
次に母親の心配そうな顔が飛び込んで来て、僕の名前を呼びました。そこで状況を悟ると共に全てを察し、落胆しました。
「お母さん……僕の、身体……変じゃない?」
「……大丈夫よ、何処も変じゃないわ」
「……そっか」
母ですら心配こそすれど、僕の余りに大きな身体の変化に気付いてはくれませんでした。その後直ぐに来たお医者さんもです。余りの総スカンに一瞬期待もしましたが、艶美な双丘は幻でも何でも無く、未だ服を張り上げその存在を主張し続けていました。
曰く、検査結果は異常無し。脱水症状があったものの回復して、今ではまったくの健康体であるとの事でした。分かるのは、三十七度六分という少し熱がある体温だけ。インパクトのある症状は伝わってはいるもののその説明が付く事は無く、過労によるストレスが原因と診断を受けました。
一応一泊するか訊かれましたが、これ以上母に迷惑をかけるわけにもいきませんでした。僕はその日のうちに帰る事を選択し、車に揺られて帰宅しました。
____なんで、気付いてくれないんでしょうか。こんなにはっきりと変わってしまっているのに。それともまだ、夢の中なんでしょうか。
理由は何も分からないまま、こうして僕の悪夢は始まりました。
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