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1.少女になってもクズはクズ まずは全部洗いざらい吐いて貰おうか
クズ、コスプレ晒して罪晒す 2
しおりを挟むそうして冒頭に戻るわけだが、何だろう。正直全然だ。アタシが着た時は臍が出るくらいサイズが小さい体操着だったけど、コイツが着るとほぼぴったり。
「……恥ずかしいか?」
「……まあ、少し」
これでは殆ど仕返しにならない。微妙過ぎる。
「着たら、カップ麺一つ貰って良いんだよな?」
言ったからには仕方ないので、舌打ちしつつ「ああ、良いよ」と投げやりに許可。結果として少し嬉しそうなクズの子憎たらしい顔を見る羽目に。
「クソが…………」
「うっ……なんか、ごめん……」
蔑視の視線を受けながら、マコトはキッチンタイマーを付けて机にカップ麺を置き座った。そして、低姿勢なまま「なあ……」と切り出して来る。
「どうしたら、許して貰えますか……?」
「目の前から失せたら許すかもな。許さねえけど」
「そんな取り付く島もない……」
なんて図々しいんだろう。アレがあって翌日で良くもまあいけしゃあしゃと。
「あの時は仕方なかったんだよぉ、仕事終わりで、仕事仲間の女の子に誘われて」
「黙れ、口答えすんな。殺すぞ」
「はい……」
口を開けば殺意が湧く。クソサイコめ。それで言い訳になると思ってる奴はクズだけだ。
「……はぁーもうっ」
自分も自分だ。こんなヤツを好きになってた上、今はガンつけて黙らせるしか無いとか……ホントストレス溜まる。
髪を掻き乱して、必死に落ち着く為に反省する。
思い付いたばっかの時は良い線いったと思ったんだが、コスプレ辱め作戦、サイズの違いとかその辺りが致命的だ。奴がアタシに用意した物を着せた所でちんちくりんにしかならない。
「……はぁ、そうだ、オレ、どうしよう……この身体じゃ、仕事戻れないよ……」
そういえばそうだ。よく考えたらコイツ、この見た目になった時点で死んだも同然な筈なんだ。
何もしなくてもある意味十分罰になってるのかもな____本当なら。
「……チラッ、チラッ」
そんな事も無いみたいだ。何を考えているのか、チラチラ期待の眼差しを向けて来ている。余裕か? なんか妙だぞ。
思えば、どうにも仕事の部分が薄っぺらくて胡散臭い。というかそもそも、アタシコイツの仕事詳しく知らねえな?
「あんたさ、何でそんなに堪えて無いんだよ」
「えっ⁉︎」
ギグッてオノマトペ出してんじゃねえよ!
「変だなぁとは思ってたが図星か……演技下手くそかよ。もっと悲観的になるとこだぞそこは」
「……バレちゃったか」
嫌な予感。
「アンタ、仕事ってもしかして」
「……そうだよ。不労所得だよ」
あっさり吐いてくれた。羽振りが良いのは知ってた。その割に暇人だなと思ってたら、まさか本当にその手の人種だとは。
「じゃあ今まで仕事に行くって言って何処かに行ってたのは……?」
「それは、その…………ごめんなさい」
どうやら、アタシはとんでもない奴に騙されてたみたいだ。
「……ははは」
笑うしかない。神様、これダメだ。この程度の天罰じゃ、化け物には足りない。
「はははは……! バカみたい……そんな余裕あんのになんでアタシのとこきたんだよ……」
「それは、アイリの事を一番」
「お前女心の前に人の心も分かってないだろ?」
「そんな、こと……」
心が凍えていく。どうする? 殺す? なんかもう殺意抑えられないんだけど。でもただ殺すだけじゃ全然____
ピンポーン。ひりついた空気をドアホンが遮る。
「あ゛ぁっ⁉︎」
今ちょっとそれどころじゃ
「お嬢! 大丈夫ですか⁉︎ お嬢!」
ドアを叩いたのは、よく知る友人の声だった。
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