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55話
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ナミリアはミヒアが怒りながらドレインを追及するのを見て、漸く事態を飲み込んだ。
「庇う?嘘って」
おろおろとするナミリアは、怯えた栗鼠のようだ。
「さあ早くなさい!」
ミヒアの圧力は最早限界、今にも爆発しそうで、ドレインはごくりと唾を飲み込んだ。
「ねえドレインさん。本当のこと早く話しちゃったほうがいいわ。私たちはミヒアがどのくらい膨らむのか見るのも悪くないけど」
熱り立ち、肩を怒らせたミヒアは確かにいつもよりぐっと大きく見える。
茶化すように言ったロリーンだが、その一言は間違いなく場を和ませた。
「膨らんでなんていないわよ」
ミヒアが苦笑した時。
ロリーンの目がドレインに今だと促した。
こくりと頷き、ドレインは漸く口を開く。
「申し訳ございません。・・・・ミヒア様の仰られるとおり、私が気づいたのではなく、ローズリー・ワンドから相談をされて、事態を初めて知りました」
顔を上げ、噛みしめるように詫びたあと、数呼吸して話し始める。
「・・エランディアから、ローズリーがナミリア様と結婚して財産を奪えと持ちかけられ、婚約を結ぼうと交流しているが、最近エランディアが早く結婚しろとしつこく言うようになって怖くなったと」
「えっ!うそ?何を言っているの?」
ドレインの話しを遮ったのはナミリアだ。
顔面は真っ青、ハンカチを握りしめた白魚のような指先は小さく震えている。
「うそ・・・よ」
小さく絞り出した声は掠れていた。
「・・・始まりはそうだったんです。ですがっ、ローズリーはエランディアに言われたように財産を奪おうと考えていたわけではなく、ナミリア様とはずっとともに居たいと」
「はあ、ねえドレイン!貴方もわかっていて言ってるんでしょう、それはナミリアさんのお金と一緒ってことだと」
「そ、それはっ、そうなんですがでも、今のローズリーは本当にナミリア様を大切に想っていて、エランディアからナミリア様を守りたいと私に相談を」
ミヒアとロリーンは、呆れたように声を揃えた。
「「へえええ」」
ナミリアは真っ白な顔で今にも倒れそうだ。
気づいたミヒアがロリーンにナミリアを他の部屋へと連れて行くよう頼む。
扉を開けて使用人を呼ぶと
「ロリーンとナミリアさんを休憩室に連れて行ってくれる?ロリーンは暫くそばについていてやって」
「ええまかせて」
ふたりが部屋を出るのを待ってから、ミヒアはドレインともう一度向き合った。
「やってくれたわねドレイン、信用した己のバカさ加減に腹が立つわ」
忌々しそうににらみつける。
「申し訳ない、このとおりです」
立ち上がって頭を深々と下げるも、その謝罪はミヒアには届かない。
「あなたが謝るべきなのはナミリアさんでしょう。普通に考えて、大切に守られるべきなのはワンド子爵?それともナミリアさん?ねえ、ドレインはどちらだと思う?」
「ナ、ナミリア様です」
「そうよねえ、それは当然だわ。まああなたはワンド子爵とは幼少からの幼馴染とも聞いているから、それを差し引いたとしても、信用はガタ落ちね」
「申し訳ございませんっ」
「言いづらいことだったとも思うけど、それでもあなたはワンド子爵を庇うべきではなかった。犯罪を隠蔽するところだったのよ」
「仰るとおりです。本当に申し訳ございません」
「ナミリア様きっとすごく傷ついたわよねえ」
そう責められ、平身低頭と言った体でドレインは頭を下げ続けた。
「庇う?嘘って」
おろおろとするナミリアは、怯えた栗鼠のようだ。
「さあ早くなさい!」
ミヒアの圧力は最早限界、今にも爆発しそうで、ドレインはごくりと唾を飲み込んだ。
「ねえドレインさん。本当のこと早く話しちゃったほうがいいわ。私たちはミヒアがどのくらい膨らむのか見るのも悪くないけど」
熱り立ち、肩を怒らせたミヒアは確かにいつもよりぐっと大きく見える。
茶化すように言ったロリーンだが、その一言は間違いなく場を和ませた。
「膨らんでなんていないわよ」
ミヒアが苦笑した時。
ロリーンの目がドレインに今だと促した。
こくりと頷き、ドレインは漸く口を開く。
「申し訳ございません。・・・・ミヒア様の仰られるとおり、私が気づいたのではなく、ローズリー・ワンドから相談をされて、事態を初めて知りました」
顔を上げ、噛みしめるように詫びたあと、数呼吸して話し始める。
「・・エランディアから、ローズリーがナミリア様と結婚して財産を奪えと持ちかけられ、婚約を結ぼうと交流しているが、最近エランディアが早く結婚しろとしつこく言うようになって怖くなったと」
「えっ!うそ?何を言っているの?」
ドレインの話しを遮ったのはナミリアだ。
顔面は真っ青、ハンカチを握りしめた白魚のような指先は小さく震えている。
「うそ・・・よ」
小さく絞り出した声は掠れていた。
「・・・始まりはそうだったんです。ですがっ、ローズリーはエランディアに言われたように財産を奪おうと考えていたわけではなく、ナミリア様とはずっとともに居たいと」
「はあ、ねえドレイン!貴方もわかっていて言ってるんでしょう、それはナミリアさんのお金と一緒ってことだと」
「そ、それはっ、そうなんですがでも、今のローズリーは本当にナミリア様を大切に想っていて、エランディアからナミリア様を守りたいと私に相談を」
ミヒアとロリーンは、呆れたように声を揃えた。
「「へえええ」」
ナミリアは真っ白な顔で今にも倒れそうだ。
気づいたミヒアがロリーンにナミリアを他の部屋へと連れて行くよう頼む。
扉を開けて使用人を呼ぶと
「ロリーンとナミリアさんを休憩室に連れて行ってくれる?ロリーンは暫くそばについていてやって」
「ええまかせて」
ふたりが部屋を出るのを待ってから、ミヒアはドレインともう一度向き合った。
「やってくれたわねドレイン、信用した己のバカさ加減に腹が立つわ」
忌々しそうににらみつける。
「申し訳ない、このとおりです」
立ち上がって頭を深々と下げるも、その謝罪はミヒアには届かない。
「あなたが謝るべきなのはナミリアさんでしょう。普通に考えて、大切に守られるべきなのはワンド子爵?それともナミリアさん?ねえ、ドレインはどちらだと思う?」
「ナ、ナミリア様です」
「そうよねえ、それは当然だわ。まああなたはワンド子爵とは幼少からの幼馴染とも聞いているから、それを差し引いたとしても、信用はガタ落ちね」
「申し訳ございませんっ」
「言いづらいことだったとも思うけど、それでもあなたはワンド子爵を庇うべきではなかった。犯罪を隠蔽するところだったのよ」
「仰るとおりです。本当に申し訳ございません」
「ナミリア様きっとすごく傷ついたわよねえ」
そう責められ、平身低頭と言った体でドレインは頭を下げ続けた。
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