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ふんぞり返っていたドアランの表情が、今度こそ本当に狼狽えたものになった。
「セリアズ公爵家との共同事業?」
「左様でございますわ。でも責任者同士としてお話ができない方を対等なパートナーには選べませんものね。本日はお運び頂きましたのに、無駄足とさせてしまいましたことを御詫び申し上げます。他の方を探しますので、どうぞお引取りくださいませ」
「あ、いや、ご令嬢お待ちを」
顔色を変えて、今さら慌てて取り縋るドアランに、パルティアは部屋を出るように促し、それ以上の話を聞こうとはしない。
「すまなかった!ご令嬢、話を聞かせてくれ、喜んで聞こう」
とても仕事で依頼主に会う態度ではない。
「もう結構ですわ。お帰りにならないなら、私は失礼させて頂きます」
さっとカーテシーをして、踵を返すとあっという間にその姿を消して見せた。
あとには呆然と佇むドアランと従者たち。
「ちっ!小娘のくせに生意気な!」
扉の横でドアランたちが出てくるのを待っていた警護の騎士は、耳にしたそれを帰宅したカーライルに一言一句漏らさず報告した。自慢のパルティアを下に見ての小娘呼ばわりに激怒したカーライルに報復されるとは、設計士ドアランはまだ知らない。
「パルティア、話は聞いた。すまなかったな、嫌な思いをさせたのだろう?」
「いいえ、むしろ私お勉強になりましたわ。セリアズ公爵様のように下位貴族の娘であろうと礼を持ってご対応くださる方もいれば、社会的地位を傘に着て無礼であることを物ともしない方もいらっしゃると」
世間を知らないパルティアは、ランバルディが普段はふんぞり返っているとは知らない。あくまでもパルティア・エンダラインだからこその扱いだということも。
しかし、自分が注意されているような気がしたカーライルは
─パルティアにそう言われないように気をつけよう!─
そう我が身を正した。
「ん?セリアズ公爵がなんだって?」
「あら、お話しておりませんでした?」
「何をだ?」
「エルシド滞在中に、セリアズ公爵様がアレクシオス様を訪ねていらしたのですわ。私にもとってもお優しくしてくださって、お食事などもご招待くださいましたの」
─あの狸め、いつの間に!何がお優しくだ─
早速パルティアを取り込もうと手を伸ばしに行ったのだ。狸と心の中で罵りはしたが、その素早い決断と行動力には舌を巻いた。
「うん、向こうから来たのではまあしかたないな」
ランバルディがエルシドにやってきたときの不審者騒動を思い出したパルティアが、堪えきれずにくすくす思い出して笑う。
それを見たカーライルは、よほど楽しかったのかとランバルディに嫉妬していたのであった。
「設計士は私も探してみますわ?あまり権威主義的ではない方を」
少し疲れたと言ってパルティアが部屋へと戻ると、カーライルの胸中にドアラン子爵に対して沸々と怒りが湧いてくる。
パルティアがランバルディを褒めたことも、ドアランの態度が悪かったからパルティアがランバルディを思い出すきっかけになったと、あきらかに八つ当たりであるがカーライルの怒りは今やすべてジーン・ドアラン子爵へと向けられていた。
「セリアズ公爵家との共同事業?」
「左様でございますわ。でも責任者同士としてお話ができない方を対等なパートナーには選べませんものね。本日はお運び頂きましたのに、無駄足とさせてしまいましたことを御詫び申し上げます。他の方を探しますので、どうぞお引取りくださいませ」
「あ、いや、ご令嬢お待ちを」
顔色を変えて、今さら慌てて取り縋るドアランに、パルティアは部屋を出るように促し、それ以上の話を聞こうとはしない。
「すまなかった!ご令嬢、話を聞かせてくれ、喜んで聞こう」
とても仕事で依頼主に会う態度ではない。
「もう結構ですわ。お帰りにならないなら、私は失礼させて頂きます」
さっとカーテシーをして、踵を返すとあっという間にその姿を消して見せた。
あとには呆然と佇むドアランと従者たち。
「ちっ!小娘のくせに生意気な!」
扉の横でドアランたちが出てくるのを待っていた警護の騎士は、耳にしたそれを帰宅したカーライルに一言一句漏らさず報告した。自慢のパルティアを下に見ての小娘呼ばわりに激怒したカーライルに報復されるとは、設計士ドアランはまだ知らない。
「パルティア、話は聞いた。すまなかったな、嫌な思いをさせたのだろう?」
「いいえ、むしろ私お勉強になりましたわ。セリアズ公爵様のように下位貴族の娘であろうと礼を持ってご対応くださる方もいれば、社会的地位を傘に着て無礼であることを物ともしない方もいらっしゃると」
世間を知らないパルティアは、ランバルディが普段はふんぞり返っているとは知らない。あくまでもパルティア・エンダラインだからこその扱いだということも。
しかし、自分が注意されているような気がしたカーライルは
─パルティアにそう言われないように気をつけよう!─
そう我が身を正した。
「ん?セリアズ公爵がなんだって?」
「あら、お話しておりませんでした?」
「何をだ?」
「エルシド滞在中に、セリアズ公爵様がアレクシオス様を訪ねていらしたのですわ。私にもとってもお優しくしてくださって、お食事などもご招待くださいましたの」
─あの狸め、いつの間に!何がお優しくだ─
早速パルティアを取り込もうと手を伸ばしに行ったのだ。狸と心の中で罵りはしたが、その素早い決断と行動力には舌を巻いた。
「うん、向こうから来たのではまあしかたないな」
ランバルディがエルシドにやってきたときの不審者騒動を思い出したパルティアが、堪えきれずにくすくす思い出して笑う。
それを見たカーライルは、よほど楽しかったのかとランバルディに嫉妬していたのであった。
「設計士は私も探してみますわ?あまり権威主義的ではない方を」
少し疲れたと言ってパルティアが部屋へと戻ると、カーライルの胸中にドアラン子爵に対して沸々と怒りが湧いてくる。
パルティアがランバルディを褒めたことも、ドアランの態度が悪かったからパルティアがランバルディを思い出すきっかけになったと、あきらかに八つ当たりであるがカーライルの怒りは今やすべてジーン・ドアラン子爵へと向けられていた。
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