51 / 99
第51話 手違い
しおりを挟む
─どういうことだよっ!ソージェ様がオルサガ家の養子にするよう話を進めて、侯爵令嬢になったメリンダ嬢とエルが婚約するんじゃなかったのか?─
誰にそれを言えばいいんだと、馬を駆りながらテューダーは頭を働かせた。
─そりゃあ、エルが落ち込むわけだよ!─
とりあえずソージェに会おうと城へ駆け戻り、馬を預けるとそのままソージェがいるときはいつも使っている執務室へ向かった。
ドンドンドン!
先触れも何もなく、いきなり扉を叩きまくる。
「なんだっ、うるさいぞ」
開いた扉の隙間からソージェが顔を覗かせると、凄まじい顔をしたテューダーがいた。
「なっ、なんだテューダーではないか、どうしたというんだ?」
「どうしたもこうしたも、それはこっちの台詞です!一体どうなってるんだ」
テューダーのあまりの剣幕に、ソージェはひとまず執務室へと招き入れ、落ち着かせるために座らせた。
「茶を頼む!」
侍従に淹れさせた茶をテューダーに渡すと、事情を聞こうと身構えて。
「一体どういうことですか?メリンダ嬢が養子に行って結婚させられるからもう会えないとエルに別れの挨拶を」
「えっ?何だそれは?どうしてそうなったんだ?」
「だからそれはこっちの台詞ですよ!」
「ちょっと待てよテューダー、オルサガ家には相手はエルロール殿下だと言った上で養子にさせたんだ」
鳩が豆鉄砲を食ったように、テューダーは押し黙った。
「他の男に嫁ぐなんて絶対無いはずだぞ!よし、オルサガ家に行こう!」
「はい」
ソージェはオルサガ侯爵家に先触れを出したのだが、なんと侯爵一家は外出しており、明日にならないと戻らないと使者が返事を持ち帰った。
ではイブール男爵だと先触れを出すも、こちらも留守という。
「どうなっているんだ!」
使者が持ち帰ったオルサガ侯爵家の執事からの書状に目が留まる。
「ん?オルサガ侯爵家の執事からだが、明日侯爵夫妻は養女たちと国王陛下と謁見予定があるから、執務室に寄るよう伝えると書いてある!」
「本当ですか!」
「ああ、ほら見てみろ」
テューダーは舐めるように文字を拾う。
「では明日なら真実がわかると?」
「そうだ」
「エルには言ったほうがいいでしょうか」
ソージェも、本当のところがわからないままなため、オルサガ侯爵を信じてはいても不安もあった。
「どんな手違いがあったのか、アランから話を聞いてからにしよう。しかし王妃からの話だからな、他に嫁にやるなんて絶対に有り得ないことだから心配するな」
沈み込むエルロールを思うと、テューダーは今すぐにでも何とかしてやりたかったが、状況がわからないまま未確認のことを慰めに話せはしない。
「わかりました。それでは・・・明日」
「テューダー、今夜はエルロール殿下のお側についていてやってくれ」
誰にそれを言えばいいんだと、馬を駆りながらテューダーは頭を働かせた。
─そりゃあ、エルが落ち込むわけだよ!─
とりあえずソージェに会おうと城へ駆け戻り、馬を預けるとそのままソージェがいるときはいつも使っている執務室へ向かった。
ドンドンドン!
先触れも何もなく、いきなり扉を叩きまくる。
「なんだっ、うるさいぞ」
開いた扉の隙間からソージェが顔を覗かせると、凄まじい顔をしたテューダーがいた。
「なっ、なんだテューダーではないか、どうしたというんだ?」
「どうしたもこうしたも、それはこっちの台詞です!一体どうなってるんだ」
テューダーのあまりの剣幕に、ソージェはひとまず執務室へと招き入れ、落ち着かせるために座らせた。
「茶を頼む!」
侍従に淹れさせた茶をテューダーに渡すと、事情を聞こうと身構えて。
「一体どういうことですか?メリンダ嬢が養子に行って結婚させられるからもう会えないとエルに別れの挨拶を」
「えっ?何だそれは?どうしてそうなったんだ?」
「だからそれはこっちの台詞ですよ!」
「ちょっと待てよテューダー、オルサガ家には相手はエルロール殿下だと言った上で養子にさせたんだ」
鳩が豆鉄砲を食ったように、テューダーは押し黙った。
「他の男に嫁ぐなんて絶対無いはずだぞ!よし、オルサガ家に行こう!」
「はい」
ソージェはオルサガ侯爵家に先触れを出したのだが、なんと侯爵一家は外出しており、明日にならないと戻らないと使者が返事を持ち帰った。
ではイブール男爵だと先触れを出すも、こちらも留守という。
「どうなっているんだ!」
使者が持ち帰ったオルサガ侯爵家の執事からの書状に目が留まる。
「ん?オルサガ侯爵家の執事からだが、明日侯爵夫妻は養女たちと国王陛下と謁見予定があるから、執務室に寄るよう伝えると書いてある!」
「本当ですか!」
「ああ、ほら見てみろ」
テューダーは舐めるように文字を拾う。
「では明日なら真実がわかると?」
「そうだ」
「エルには言ったほうがいいでしょうか」
ソージェも、本当のところがわからないままなため、オルサガ侯爵を信じてはいても不安もあった。
「どんな手違いがあったのか、アランから話を聞いてからにしよう。しかし王妃からの話だからな、他に嫁にやるなんて絶対に有り得ないことだから心配するな」
沈み込むエルロールを思うと、テューダーは今すぐにでも何とかしてやりたかったが、状況がわからないまま未確認のことを慰めに話せはしない。
「わかりました。それでは・・・明日」
「テューダー、今夜はエルロール殿下のお側についていてやってくれ」
0
お気に入りに追加
740
あなたにおすすめの小説
花婿が差し替えられました
凛江
恋愛
伯爵令嬢アリスの結婚式当日、突然花婿が相手の弟クロードに差し替えられた。
元々結婚相手など誰でもよかったアリスにはどうでもいいが、クロードは相当不満らしい。
その不満が花嫁に向かい、初夜の晩に爆発!二人はそのまま白い結婚に突入するのだった。
ラブコメ風(?)西洋ファンタジーの予定です。
※『お転婆令嬢』と『さげわたし』読んでくださっている方、話がなかなか完結せず申し訳ありません。
ゆっくりでも完結させるつもりなので長い目で見ていただけると嬉しいです。
こちらの話は、早めに(80000字くらい?)完結させる予定です。
出来るだけ休まず突っ走りたいと思いますので、読んでいただけたら嬉しいです!
※すみません、100000字くらいになりそうです…。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる