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7話
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一足先に学院に戻ったサードルは、まずタケリードを探したが。
タケリードとティミリは、ティミリの話を信じた数名のクラスメイトたちと、Aクラスに乗り込んでいた。
そんな大事にされては困るとティミリが止めようとするほど、かわいそうなティミリのために!と盛り上がってしまい、今、ナナリーを信じて守ろうと彼女のまわりを囲むAクラスの生徒たちと睨み合っている。
「ナナリー・メリエラ!おまえというやつは」
タケリードが叫ぶ。
「なんのことでしょう?タケリード様こそいい加減目を覚まされたほうがよろしいのではありませんこと?」
「とぼけるなっ!」
ティミリの肩に腕をまわして抱き寄せると
「おまえがやったそうではないか!この性悪め」
皆の前で言ってしまった。
衆人の前で貴族令嬢を辱めることの大きさを理解しているのか?と、Aクラスの生徒たちはタケリードの言葉に慄いているのに、本人だけは言ってやったくらいのドヤ顔をしている・・・。
サードルが駆けつけたとき、まさにタケリードが暴言を吐いたところで。青褪めたサードルがタケリードを張り飛ばしたのはその直後のことだ。
ドンと倒れ込んだタケリードは、何が起きたのか理解できずにあたりを見渡した。
肩で息をする青い顔のサードルが、目の前で拳を握っているのを見て、初めてサードルに殴り飛ばされたと気がついた。
「ひどいっ、なんてことをなさるんですか」
タケリードを庇うように抱きついたティミリを、サードルが荒々しく引き剥がして床に投げつけると、タケリードの首根っこを掴む。
「帰るぞ」
そう言ってズルズルと引きずり始めた。
「あっ!ナナリー様!この度は愚弟が誠に申し訳ない。謝罪は、後日改めて父もとも参りますので」
そう告げて深く頭を下げた。
「待って、タケリードさま」
乱暴に放り出されたティミリが引き止めようと名を呼んだが
「うるさいっ下がれっ!」
普段は穏やかなサードルの凄まじい勢いに圧倒されてティミリたちが数歩退くと、その間にタケリードは連れ去られてしまった。
兄が連れ去ったタケリードはもちろん心配だが、そのあとに残されたEクラスの生徒たちは、旗頭を失い、いたたまれずに立ち尽くしている。
事態の収集は、騒ぎが起きていると呼ばれたゼンテンによって漸く図られた。
「何をやっているのだ?ここはAクラスの校舎だ、君たちのいるところではないぞ」
制服に結ばれたリボンやタイの色でどの校舎の生徒かはすぐわかる。ゼンテンは事情を聞くこともせず、Eクラスの生徒たちを追い出し、集まった自分の生徒たちも解散させた。
「ナナリー様、大丈夫ですか?」
「さっきの方は?」
「あの方はタケリード様の兄上、サードル様ですわ」
「ものすごくお怒りでしたわね」
さきほどのサードルの様子を見る限り、ザンバト伯爵家も悪いのはタケリードと考えているようだと、その場に居合わせた生徒たちは理解する。
─やはりナナリーを守らねば!─
そう、Aクラスの生徒たちは自然と一致、団結した。
タケリードとティミリは、ティミリの話を信じた数名のクラスメイトたちと、Aクラスに乗り込んでいた。
そんな大事にされては困るとティミリが止めようとするほど、かわいそうなティミリのために!と盛り上がってしまい、今、ナナリーを信じて守ろうと彼女のまわりを囲むAクラスの生徒たちと睨み合っている。
「ナナリー・メリエラ!おまえというやつは」
タケリードが叫ぶ。
「なんのことでしょう?タケリード様こそいい加減目を覚まされたほうがよろしいのではありませんこと?」
「とぼけるなっ!」
ティミリの肩に腕をまわして抱き寄せると
「おまえがやったそうではないか!この性悪め」
皆の前で言ってしまった。
衆人の前で貴族令嬢を辱めることの大きさを理解しているのか?と、Aクラスの生徒たちはタケリードの言葉に慄いているのに、本人だけは言ってやったくらいのドヤ顔をしている・・・。
サードルが駆けつけたとき、まさにタケリードが暴言を吐いたところで。青褪めたサードルがタケリードを張り飛ばしたのはその直後のことだ。
ドンと倒れ込んだタケリードは、何が起きたのか理解できずにあたりを見渡した。
肩で息をする青い顔のサードルが、目の前で拳を握っているのを見て、初めてサードルに殴り飛ばされたと気がついた。
「ひどいっ、なんてことをなさるんですか」
タケリードを庇うように抱きついたティミリを、サードルが荒々しく引き剥がして床に投げつけると、タケリードの首根っこを掴む。
「帰るぞ」
そう言ってズルズルと引きずり始めた。
「あっ!ナナリー様!この度は愚弟が誠に申し訳ない。謝罪は、後日改めて父もとも参りますので」
そう告げて深く頭を下げた。
「待って、タケリードさま」
乱暴に放り出されたティミリが引き止めようと名を呼んだが
「うるさいっ下がれっ!」
普段は穏やかなサードルの凄まじい勢いに圧倒されてティミリたちが数歩退くと、その間にタケリードは連れ去られてしまった。
兄が連れ去ったタケリードはもちろん心配だが、そのあとに残されたEクラスの生徒たちは、旗頭を失い、いたたまれずに立ち尽くしている。
事態の収集は、騒ぎが起きていると呼ばれたゼンテンによって漸く図られた。
「何をやっているのだ?ここはAクラスの校舎だ、君たちのいるところではないぞ」
制服に結ばれたリボンやタイの色でどの校舎の生徒かはすぐわかる。ゼンテンは事情を聞くこともせず、Eクラスの生徒たちを追い出し、集まった自分の生徒たちも解散させた。
「ナナリー様、大丈夫ですか?」
「さっきの方は?」
「あの方はタケリード様の兄上、サードル様ですわ」
「ものすごくお怒りでしたわね」
さきほどのサードルの様子を見る限り、ザンバト伯爵家も悪いのはタケリードと考えているようだと、その場に居合わせた生徒たちは理解する。
─やはりナナリーを守らねば!─
そう、Aクラスの生徒たちは自然と一致、団結した。
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