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第17話

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 そんな中、トーソルドは男爵令嬢のルイーフと出会って恋に落ちた。
 付き合い始めた頃は婚約者がいると人目を気にしていたが、それがスリルとなり、どんどんと深みに嵌っていく。
ルイーフにも、伯爵令息のトーソルドは婚約者がいようとチャンスを運んでくる出会いだった。

「5歳も下じゃあ話も合わないし、子どもすぎて面白くない」

 ことある毎にトーソルドはアニエラをそう貶したので、ルイーフは頷いて、トーソルドの言うことは自分はよくわかる、そんな子どもと婚約なんてトーソルドがかわいそうだと、自分だけが理解者だと刷り込んでいった。
 トーソルドを繋ぎ止めるため、ルイーフは彼が好きだと言う物や事を積極的に一緒に楽しんだ。そうしていつしか深い関係を結び、トーソルドは離れることができないほどルイーフに溺れていったのだ。
 のちに近衛騎士となったトーソルドは功績を挙げて騎士爵を授爵し、もう家を出ても貴族位を失うことは無くなった。ルイーフはトーソルドが婚約を解消し、自分と結婚してくれると思っていたが、独立してもトーソルドはロイリー伯爵家に縛られたまま、決められたとおりに婚約者と結婚したのだ。

「やだルドったら!本当に結婚しちゃったの?」

 軽口のように言ったが、ルイーフの胸は怒りに捩じ切れそうであった。
 どうしてくれようとトーソルドを睨んだが、そのあとトーソルドは屋敷に戻ることなくルイーフの部屋に居座り続けたのだ。
 だからまだ打つ手はあると、アニエラからトーソルドを奪う手立てをルイーフは考え始めていた。
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