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別れ
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「イヤだ!行きたくない兄上っ!」
パートルム公爵家ではジュルガーが柱にしがみつき、なんとか屋敷に居座ろうと奮闘していた。
「往生際が悪いぞ」
「手を離したらドメルガに連れて行かれるんだぞ、往生際だって悪くなるっ!なあ兄上助けてくれ!私が貰った財産の半分をやるから」
メイガーは呆れた目で弟を見た。
「おまえの財産なんてないぞ」
「えっ?」
「曾祖母様の遺産のことなら、リーリルハ嬢の名で使い込んだ弁済、ドメルガ別邸の改装費用とソンドールの持参金に変わったからな」
「え?ええっ?」
「言ったはずだぞ。知らんとは言わせない」
ジュルガーは思わず柱から手を離して呆然とした。
「今だ、捕まえろ」
メイガーに指示されたふたりの衛兵たちがジュルガーを捕まえ、持ち上げてそのまま馬車まで運んで行く。
「や、やめろーっ!行きたくないっ、行きたくないんだーーーっ」
絶叫が聞こえたが、メイガーはもう気にならなくなっていた。
ジュルガーが先々代の公爵夫人から受け継いだ財産の半分は、メイガーが言ったとおり、リーリルハへの弁済とこれから住む屋敷の改装にすでに使われている。
残りの半分はというと、本来ソンドールが公爵家にいれば受け継ぐはずのものだったので、持参金として渡してやろうと早々に決められていたのだ。
叫び声が遠くなっても、まだ廊下に反響を残している。
「もう会えないかもしれないのにな」
ジュルガーが追いやられるドメルガは、領内でも僻地の一つで、居るのは年寄りばかりの限界集落である。
力と金のある公爵家でなければ維持が難しい場所だが、豊かな自然を先祖が気に入って建てた小さな屋敷があった。
屋敷は外敵、主に獰猛な野獣から身を守るために高く強固な外柵が設けられた、逃亡防止にうってつけの建物だ。
ジュルガーこそが敵のような今、秘密の地下道を整備して中からは出られず、外からならいつでも開城できるように造り変えてしまった。
勿論それはジュルガーには教えていない。
どんな環境に身を置くことになるかを知るメイガーは、最後の挨拶くらい心を込めて伝えたかったが、弟が大暴れしたせいでじっくり別れるどころではなかった。
「最後の最後まであいつときたらまったく・・・」
窓から馬車が走り出すのが見える。
両親はどこかで見送っているのだろうか。
気になったが、見送ったからどうかなるわけでもない。
ただ、この歳までともに生きてきた弟を捨てる決断をしたことが、メイガーの心の重石となり、目尻を微かに濡らしていた。
パートルム公爵家ではジュルガーが柱にしがみつき、なんとか屋敷に居座ろうと奮闘していた。
「往生際が悪いぞ」
「手を離したらドメルガに連れて行かれるんだぞ、往生際だって悪くなるっ!なあ兄上助けてくれ!私が貰った財産の半分をやるから」
メイガーは呆れた目で弟を見た。
「おまえの財産なんてないぞ」
「えっ?」
「曾祖母様の遺産のことなら、リーリルハ嬢の名で使い込んだ弁済、ドメルガ別邸の改装費用とソンドールの持参金に変わったからな」
「え?ええっ?」
「言ったはずだぞ。知らんとは言わせない」
ジュルガーは思わず柱から手を離して呆然とした。
「今だ、捕まえろ」
メイガーに指示されたふたりの衛兵たちがジュルガーを捕まえ、持ち上げてそのまま馬車まで運んで行く。
「や、やめろーっ!行きたくないっ、行きたくないんだーーーっ」
絶叫が聞こえたが、メイガーはもう気にならなくなっていた。
ジュルガーが先々代の公爵夫人から受け継いだ財産の半分は、メイガーが言ったとおり、リーリルハへの弁済とこれから住む屋敷の改装にすでに使われている。
残りの半分はというと、本来ソンドールが公爵家にいれば受け継ぐはずのものだったので、持参金として渡してやろうと早々に決められていたのだ。
叫び声が遠くなっても、まだ廊下に反響を残している。
「もう会えないかもしれないのにな」
ジュルガーが追いやられるドメルガは、領内でも僻地の一つで、居るのは年寄りばかりの限界集落である。
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屋敷は外敵、主に獰猛な野獣から身を守るために高く強固な外柵が設けられた、逃亡防止にうってつけの建物だ。
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勿論それはジュルガーには教えていない。
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「最後の最後まであいつときたらまったく・・・」
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ただ、この歳までともに生きてきた弟を捨てる決断をしたことが、メイガーの心の重石となり、目尻を微かに濡らしていた。
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