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リーリルハの不遇
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「こんなことになってごめんなさいね、リルハ」
自分が交流会など開いたからだと謝るリュスティリア王女に、リーリルハはさみしげに、でもきっぱりと告げる。
「謝らないでください。リア殿下のせいではございませんわ。元はと言えば交流会は私の発案なのですから」
「でも」
「あの日私たちがかの令嬢を間にして座りましたのは、私がジュルガー様を心より信じているからでございますわ。それは今も変わりません。今は少し・・・ええ、流行り病にかかっているだけで、ちゃんと目をお覚ましになられると。ですから私は慌てることなく、その日をお待ちしますわ」
リーリルハの言葉は、それを聞いたすべての生徒たちに感銘を与えた。
なんと尊い思いなのかと。
リーリルハがそう言うならと、リュスティリア王女も様子を見ることに同意した。
ところがそのように見守られているとも知らずに、誰にも何も言われなくなったのを、皆が自分の主張を認めたのだと都合良く解釈したジュルガーは暴走した。
毎月開催される学内の模擬パーティーに、婚約者のリーリルハではなくコリールをエスコートして現れたのだ。
あろうことか、自分の瞳の色のドレスを着たコリールを。
リーリルハは泣くでもなく、凛と顔を上げ、まるでジュルガーからコリールのデビューの練習と聞いていたとでも言うような顔で、他の令嬢の手を取る婚約者を見守った。
「リルハ、貴女が言うからと黙って見てきたけど、さすがにこれはやりすぎじゃない?」
そうリュスティリア王女が訊ねても、「よいのです、私わかっておりますから」と首を振る。
ほんの少し翳りのある瞳で。
痛々しいほど一途なリーリルハの味方は増える一方。
しかしジュルガーは気づいていなかった。
模擬パーティーのあと、ジュルガーはリーリルハではなくコリールをパートルム公爵家の馬車に乗せると、それが当然というように男爵家へと送り届けた。
いくらなんでも帰りは送ってくれるだろうとシューリンヒ侯爵家の馬車を返してしまい、帰る手段を失ってポツンと馬車寄せに佇むリーリルハを見つけたのは同じクラスのサークリューム伯爵令嬢ミューナである。
勿論ジュルガーとリーリルハに今何が起きているかはよく知っており、ジュルガーに怒り狂いながらリーリルハの手を引いて、自分の馬車に乗せた。
そのときに触れたリーリルハの手の冷たいこと。
リーリルハのあまりの不遇に、思わず涙が溢れそうになったミューナは、吹き出す感情を誤魔化すため、冷えているリーリルハの肩に自分のストールをかけ、温めてやるのだった。
自分が交流会など開いたからだと謝るリュスティリア王女に、リーリルハはさみしげに、でもきっぱりと告げる。
「謝らないでください。リア殿下のせいではございませんわ。元はと言えば交流会は私の発案なのですから」
「でも」
「あの日私たちがかの令嬢を間にして座りましたのは、私がジュルガー様を心より信じているからでございますわ。それは今も変わりません。今は少し・・・ええ、流行り病にかかっているだけで、ちゃんと目をお覚ましになられると。ですから私は慌てることなく、その日をお待ちしますわ」
リーリルハの言葉は、それを聞いたすべての生徒たちに感銘を与えた。
なんと尊い思いなのかと。
リーリルハがそう言うならと、リュスティリア王女も様子を見ることに同意した。
ところがそのように見守られているとも知らずに、誰にも何も言われなくなったのを、皆が自分の主張を認めたのだと都合良く解釈したジュルガーは暴走した。
毎月開催される学内の模擬パーティーに、婚約者のリーリルハではなくコリールをエスコートして現れたのだ。
あろうことか、自分の瞳の色のドレスを着たコリールを。
リーリルハは泣くでもなく、凛と顔を上げ、まるでジュルガーからコリールのデビューの練習と聞いていたとでも言うような顔で、他の令嬢の手を取る婚約者を見守った。
「リルハ、貴女が言うからと黙って見てきたけど、さすがにこれはやりすぎじゃない?」
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ほんの少し翳りのある瞳で。
痛々しいほど一途なリーリルハの味方は増える一方。
しかしジュルガーは気づいていなかった。
模擬パーティーのあと、ジュルガーはリーリルハではなくコリールをパートルム公爵家の馬車に乗せると、それが当然というように男爵家へと送り届けた。
いくらなんでも帰りは送ってくれるだろうとシューリンヒ侯爵家の馬車を返してしまい、帰る手段を失ってポツンと馬車寄せに佇むリーリルハを見つけたのは同じクラスのサークリューム伯爵令嬢ミューナである。
勿論ジュルガーとリーリルハに今何が起きているかはよく知っており、ジュルガーに怒り狂いながらリーリルハの手を引いて、自分の馬車に乗せた。
そのときに触れたリーリルハの手の冷たいこと。
リーリルハのあまりの不遇に、思わず涙が溢れそうになったミューナは、吹き出す感情を誤魔化すため、冷えているリーリルハの肩に自分のストールをかけ、温めてやるのだった。
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