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268 ドレイファスのせいではない、たぶん
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最近ドレイファスは帰宅してからの植物学と学院の勉強をバランスよく取り組むようになっていた。
アラミスたちと話しをしていて、ちょっと恥ずかしい思いをしたのがきっかけだ。
しかし穴開け機械が出来てから標本作りが楽しくなってしまい、また少し植物学に比率が偏り始めている。
「だって、ほらこんなにきれいに二つ並んだ穴が開くから」
ハルーサとニヤッと視線を交わすと標本作りを再開した。
「そういえばドレイファス様はご存知ですか」
ハルーサの問いかけに、顔もあげず、ドレイファスは「何を?」と答える。
「最近、メルーン令嬢のこと、情報部が調べてるらしいですよ」
「メルーン令嬢?ローザリオ先生のところの?入館許可を出すときに身許は調べてるはずだろう」
「それはもちろん。ただそのあとも追加調査してるらしいですよ、離れに来てる時、密かに人が付けられてるって聞きました」
「へえ・・・そう。なんだろうな、気になる」
情報部といえば、レイドである。
図書室の外に待機しているはずと、扉を開けてレイドを呼び込んだ。
「ねえレイド、知りたいことがあるんだけど」
「なんでしょう?」
「情報部でメルーン令嬢のこと調べてるんだって?」
「え?いや、さあ」
残念ながらレイドはうまく誤魔化せなかった。
「そんなわざとらしくとぼけても駄目だよ。入館許可が出せるほど調べたはずなのに、何でまだ調べてるんだ?」
「いや、私もそんなに詳しくは知りませんよ」
「そんなに詳しくは?ということはちょっとは知っているんだ。へええええーーー」
「え、いや、あの・・・マーリアル様がお調べということで、それ以上は」
このとき目を細めてニッと笑ったドレイファスを、本当にマーリアルそっくりだと皆が思ったことだろう。
好奇心に抗えない、爛々とした碧い瞳。
「へえ、母上が」
すくっと立ち上がると、ドレイファスは図書室を出て行った。レイドも慌ててついて行く。
「どちらへ」
「うん、母上のところ」
「え!」
振り返って。
「レイドから聞いたなんて言わないから大丈夫だよ」
にこりと笑った。
追うようについてくるレイドを気にすることなく、ドレイファスは階段を駆け上がっていく。
足音に気づいて振り向いたのは、マーリアルの部屋の前にいた母専属執事だ。
「ルザール!母上に会えるかな」
「これはドレイファス様!ただいま確認いたしますのでお待ちくださいませ」
室内に姿を消したルザールの反応は早く、すぐに扉を開け放ち、迎え入れてくれた。
「母上」
「ドレイファス、どうしました?」
「ちょっと教えて頂きたいことがあるんです」
公爵夫人は優雅に手招きして、愛息子をソファに座らせる。
「ルザール、泡の水を冷やして持ってきてくれない?」
「かしこまりました」
年齢や性別は違うのに面白いほど似ている母と兄妹が揃う。
ドレイファスはなんとなく母に顔を寄せ、小さな声で訊ねた。
「メルーン男爵令嬢を調べているって聞いたのですが、何故ですか」
「まあ、随分とストレートに訊いてきたわね。これからは貴族らしくもう少しひねるとか遠回しに訊くことを覚えたほうがよろしくてよ」
「は、はあ」
戸惑うドレイファスに、口角をあげながらマーリアルも顔を寄せ、囁く。
「アラミスのお相手にどうかしらと思って」
「・・・え?・・ええっ!」
大きな声を出されたマーリアルが顔を顰める。
「あ、ごめんなさいお母様、いや母上」
最近はすっかり板についた母上呼びだが、うっかりすると時折お母様がこぼれてしまう。
焦って言い直したドレイファスに、マーリアルはたおやかな笑みを向けた。
「よろしくてよ。そうそう、アラミスとあの令嬢、似合いの二人になると思うの」
「ラスとあの子がですか?」
「あら、だってドレイファスが言っていたのよ。アラミスああいうのが好きだって」
「え?ぼ、ぼ、いや私が?そんなこと言ってませんよ」
「いいえ、母は確かにこの耳で聞きましたわ」
ドレイファスには覚えがない。
母が何を誤解しているのか知らないが、自分のせいで、アラミスを無理矢理婚約させるようにでもなったら大変だと、ダメもとで食らいついてみる。
「でもラスは女子には興味がないですよ!」
しかし母の心が動くことはなかった。
「あら、そんなことないと思うわ。このところアラミスと令嬢を観察させているけど、ふたりでよく話し込んでいると聞いているし、きっと相性もいいのね」
ふたりをくっつけちゃおうと企む母に、ツーっと冷たいものが背を流れていく。
「ねえ、あなたもアラミスのことを考えてみて。次男坊のアラミスには男爵後継者の令嬢への婿入りは悪い話ではないでしょう?メルーン男爵令嬢はローザリオ様の弟子になれるくらい優秀だし、うちの傘下の傍系の傍系の貧しい男爵とはいえ、これから引き上げてやれば、ねえ」
─傍系の傍系の貧しい男爵・・・─
すごい言われようであるが、母がけっこう本気で調べていることがドレイファスにも伝わった。
「まだメルーン男爵夫妻のひととなりが掴みきれていないけれど。男爵夫妻が良さそうなら時期を見て話をまとめられたらと思っているわ。だから今は気づかない振りをしてなさいね。話しが漏れると台無しになることも多いから、よく心得ておいて」
顔を寄せ、視線をがっちりかみ合わせたマーリアルはドレイファスにプレッシャーをかけた。
「は、はい。わかりました」
冷や汗が額に浮かんでいる。
ドレイファスはハンカチで拭いながら、母の部屋を退出した。
「ドレイファス様」
扉の外でルザールが泡の水を持って来るのに出くわし、グラスを一つ掴んで飲み干す。
「はあ。ちょっとホッとしたよ、ありがとう」
つまらない好奇心を満たそうとしたせいで、帰りの足は重いものになってしまった。
頭を冷やすために自分の部屋に戻って、寝台に見を投げ出す。
かごの中で寝ていたヌコたちがもそもそと出て来てドレイファスの顔にしなやかな体を擦りつけてくると、ささくれた気持ちがちょっと癒やされるが。
「アラミスが令嬢を好きだなんて、言ったことないのに、何でそんなことになったんだ・・・」
大事な仲間の人生を左右しかねない誤解を、自分が母に与えたらしいと思うと、ドレイファスの胸は暗い気持ちで占められていった。
「はあ」
夕餉の時間、食堂でもため息をついてばかりのドレイファスに、マーリアルが視線で圧力をかける。
目を逸らし、またもため息。
その異変はトレモルにもアラミスにも気づかれて、食後にふたりから呼び止められた。
「うん、なんでもないよ」
そう言って逃げる。
こういうときのドレイファスはたぶんうまく誤魔化せないからだ。
「マーリアル様と喧嘩でもしたのか」
アラミスに聞かれたが、力なく笑って部屋へ逃げ戻った。
「あー、どうしよう」
こういう時、頼りになるのはルジーかシエルドなのだが、ルジーは今はサイルズの収穫祭のため長期の休みを取っている。
「シエルは離れに帰ってるかな」
最近シエルドは新しいポーションの素材採取で出たり入ったりしており、夜も戻らないことが増えている。標本の二次鑑定はタンジェントが代わってやっていた。
「ちょっと覗きに行ってみようかな」
部屋の外にはレイドが待機中。
「レイド、シエル離れにいるか見てきてくれないかな。いたら会いたいって言っておいて」
「かしこまりました。ちょっと行ってくるので、待っていてください」
「わかった」
さっと消えたレイドはすぐ戻ってきた。
「シエルド様、いらっしゃいましたよ。すぐ行きますか」
「ああ、行こう」
ドレイファスはまだ話しもしていないが、シエルドに相談できると思うだけで気持ちが軽くなった。
「ああ、帰っていてよかった!シエルー!」
飛びつかんばかりに現れたドレイファスに、シエルドは引き笑いをしながら迎える。
「なんだよ、気持ち悪いな。何かあったのか」
勘の良さも天下一品だ。
「レイド、ちょっと出てて」
シエルドとふたりきりになると、ドレイファスはマーリアルの企みを一気に吐き出した。
「お母様、何を勘違いしてるのか、僕がアラミスがああいう子が好きって言ったって言うんだ!絶対に言ってないのにそのせいでラスが婚約させられたら」
それは大変だ!と言ってくれると思っていたドレイファスだったが、シエルドは淡々としている。
「なんだ、そんなことか。ドルも大袈裟だなあ」
「え?」
「マーリアルおば様の仰るとおり、ラスに悪い話じゃないだろう。いつも目が座ったような変な令嬢に追いかけ回されて困ってるんだから、公爵家の仲立ちでよい縁談が成立するならそのほうがいいに決まっている」
「え?」
超現実的なシエルドに、ドレイファスのほうが呆気にとられてしまうが。
「それにさ。ラス、けっこうスリイのこと気に入ってると思うんだよな」
「ええっ、なんで?だって女の子嫌いじゃないか」
「私もそう思ってたけど、ラスがスリイのこと褒めてるのを何回か聞いたことがあるんだよ」
「え?本当に?」
「本当だ。だからマーリアルおば様がいいって言うなら、むしろいい機会だと思ってさ、私たちは見守っていればいいんじゃないか」
そう言われても、まだ釈然としないが。
「今までマーリアルおば様が采配した縁談ってみんなうまくいってるって話だし、前からラスの縁談気にかけていらしたようだから、ドルの言葉には関係なく、スリイにはいずれ目をつけたと思う。だからドルはもう気にするなよ」
ぽんぽんと肩を叩くシエルドを見ると、その赤い目は半月のようにニヤけていた。
アラミスたちと話しをしていて、ちょっと恥ずかしい思いをしたのがきっかけだ。
しかし穴開け機械が出来てから標本作りが楽しくなってしまい、また少し植物学に比率が偏り始めている。
「だって、ほらこんなにきれいに二つ並んだ穴が開くから」
ハルーサとニヤッと視線を交わすと標本作りを再開した。
「そういえばドレイファス様はご存知ですか」
ハルーサの問いかけに、顔もあげず、ドレイファスは「何を?」と答える。
「最近、メルーン令嬢のこと、情報部が調べてるらしいですよ」
「メルーン令嬢?ローザリオ先生のところの?入館許可を出すときに身許は調べてるはずだろう」
「それはもちろん。ただそのあとも追加調査してるらしいですよ、離れに来てる時、密かに人が付けられてるって聞きました」
「へえ・・・そう。なんだろうな、気になる」
情報部といえば、レイドである。
図書室の外に待機しているはずと、扉を開けてレイドを呼び込んだ。
「ねえレイド、知りたいことがあるんだけど」
「なんでしょう?」
「情報部でメルーン令嬢のこと調べてるんだって?」
「え?いや、さあ」
残念ながらレイドはうまく誤魔化せなかった。
「そんなわざとらしくとぼけても駄目だよ。入館許可が出せるほど調べたはずなのに、何でまだ調べてるんだ?」
「いや、私もそんなに詳しくは知りませんよ」
「そんなに詳しくは?ということはちょっとは知っているんだ。へええええーーー」
「え、いや、あの・・・マーリアル様がお調べということで、それ以上は」
このとき目を細めてニッと笑ったドレイファスを、本当にマーリアルそっくりだと皆が思ったことだろう。
好奇心に抗えない、爛々とした碧い瞳。
「へえ、母上が」
すくっと立ち上がると、ドレイファスは図書室を出て行った。レイドも慌ててついて行く。
「どちらへ」
「うん、母上のところ」
「え!」
振り返って。
「レイドから聞いたなんて言わないから大丈夫だよ」
にこりと笑った。
追うようについてくるレイドを気にすることなく、ドレイファスは階段を駆け上がっていく。
足音に気づいて振り向いたのは、マーリアルの部屋の前にいた母専属執事だ。
「ルザール!母上に会えるかな」
「これはドレイファス様!ただいま確認いたしますのでお待ちくださいませ」
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「母上」
「ドレイファス、どうしました?」
「ちょっと教えて頂きたいことがあるんです」
公爵夫人は優雅に手招きして、愛息子をソファに座らせる。
「ルザール、泡の水を冷やして持ってきてくれない?」
「かしこまりました」
年齢や性別は違うのに面白いほど似ている母と兄妹が揃う。
ドレイファスはなんとなく母に顔を寄せ、小さな声で訊ねた。
「メルーン男爵令嬢を調べているって聞いたのですが、何故ですか」
「まあ、随分とストレートに訊いてきたわね。これからは貴族らしくもう少しひねるとか遠回しに訊くことを覚えたほうがよろしくてよ」
「は、はあ」
戸惑うドレイファスに、口角をあげながらマーリアルも顔を寄せ、囁く。
「アラミスのお相手にどうかしらと思って」
「・・・え?・・ええっ!」
大きな声を出されたマーリアルが顔を顰める。
「あ、ごめんなさいお母様、いや母上」
最近はすっかり板についた母上呼びだが、うっかりすると時折お母様がこぼれてしまう。
焦って言い直したドレイファスに、マーリアルはたおやかな笑みを向けた。
「よろしくてよ。そうそう、アラミスとあの令嬢、似合いの二人になると思うの」
「ラスとあの子がですか?」
「あら、だってドレイファスが言っていたのよ。アラミスああいうのが好きだって」
「え?ぼ、ぼ、いや私が?そんなこと言ってませんよ」
「いいえ、母は確かにこの耳で聞きましたわ」
ドレイファスには覚えがない。
母が何を誤解しているのか知らないが、自分のせいで、アラミスを無理矢理婚約させるようにでもなったら大変だと、ダメもとで食らいついてみる。
「でもラスは女子には興味がないですよ!」
しかし母の心が動くことはなかった。
「あら、そんなことないと思うわ。このところアラミスと令嬢を観察させているけど、ふたりでよく話し込んでいると聞いているし、きっと相性もいいのね」
ふたりをくっつけちゃおうと企む母に、ツーっと冷たいものが背を流れていく。
「ねえ、あなたもアラミスのことを考えてみて。次男坊のアラミスには男爵後継者の令嬢への婿入りは悪い話ではないでしょう?メルーン男爵令嬢はローザリオ様の弟子になれるくらい優秀だし、うちの傘下の傍系の傍系の貧しい男爵とはいえ、これから引き上げてやれば、ねえ」
─傍系の傍系の貧しい男爵・・・─
すごい言われようであるが、母がけっこう本気で調べていることがドレイファスにも伝わった。
「まだメルーン男爵夫妻のひととなりが掴みきれていないけれど。男爵夫妻が良さそうなら時期を見て話をまとめられたらと思っているわ。だから今は気づかない振りをしてなさいね。話しが漏れると台無しになることも多いから、よく心得ておいて」
顔を寄せ、視線をがっちりかみ合わせたマーリアルはドレイファスにプレッシャーをかけた。
「は、はい。わかりました」
冷や汗が額に浮かんでいる。
ドレイファスはハンカチで拭いながら、母の部屋を退出した。
「ドレイファス様」
扉の外でルザールが泡の水を持って来るのに出くわし、グラスを一つ掴んで飲み干す。
「はあ。ちょっとホッとしたよ、ありがとう」
つまらない好奇心を満たそうとしたせいで、帰りの足は重いものになってしまった。
頭を冷やすために自分の部屋に戻って、寝台に見を投げ出す。
かごの中で寝ていたヌコたちがもそもそと出て来てドレイファスの顔にしなやかな体を擦りつけてくると、ささくれた気持ちがちょっと癒やされるが。
「アラミスが令嬢を好きだなんて、言ったことないのに、何でそんなことになったんだ・・・」
大事な仲間の人生を左右しかねない誤解を、自分が母に与えたらしいと思うと、ドレイファスの胸は暗い気持ちで占められていった。
「はあ」
夕餉の時間、食堂でもため息をついてばかりのドレイファスに、マーリアルが視線で圧力をかける。
目を逸らし、またもため息。
その異変はトレモルにもアラミスにも気づかれて、食後にふたりから呼び止められた。
「うん、なんでもないよ」
そう言って逃げる。
こういうときのドレイファスはたぶんうまく誤魔化せないからだ。
「マーリアル様と喧嘩でもしたのか」
アラミスに聞かれたが、力なく笑って部屋へ逃げ戻った。
「あー、どうしよう」
こういう時、頼りになるのはルジーかシエルドなのだが、ルジーは今はサイルズの収穫祭のため長期の休みを取っている。
「シエルは離れに帰ってるかな」
最近シエルドは新しいポーションの素材採取で出たり入ったりしており、夜も戻らないことが増えている。標本の二次鑑定はタンジェントが代わってやっていた。
「ちょっと覗きに行ってみようかな」
部屋の外にはレイドが待機中。
「レイド、シエル離れにいるか見てきてくれないかな。いたら会いたいって言っておいて」
「かしこまりました。ちょっと行ってくるので、待っていてください」
「わかった」
さっと消えたレイドはすぐ戻ってきた。
「シエルド様、いらっしゃいましたよ。すぐ行きますか」
「ああ、行こう」
ドレイファスはまだ話しもしていないが、シエルドに相談できると思うだけで気持ちが軽くなった。
「ああ、帰っていてよかった!シエルー!」
飛びつかんばかりに現れたドレイファスに、シエルドは引き笑いをしながら迎える。
「なんだよ、気持ち悪いな。何かあったのか」
勘の良さも天下一品だ。
「レイド、ちょっと出てて」
シエルドとふたりきりになると、ドレイファスはマーリアルの企みを一気に吐き出した。
「お母様、何を勘違いしてるのか、僕がアラミスがああいう子が好きって言ったって言うんだ!絶対に言ってないのにそのせいでラスが婚約させられたら」
それは大変だ!と言ってくれると思っていたドレイファスだったが、シエルドは淡々としている。
「なんだ、そんなことか。ドルも大袈裟だなあ」
「え?」
「マーリアルおば様の仰るとおり、ラスに悪い話じゃないだろう。いつも目が座ったような変な令嬢に追いかけ回されて困ってるんだから、公爵家の仲立ちでよい縁談が成立するならそのほうがいいに決まっている」
「え?」
超現実的なシエルドに、ドレイファスのほうが呆気にとられてしまうが。
「それにさ。ラス、けっこうスリイのこと気に入ってると思うんだよな」
「ええっ、なんで?だって女の子嫌いじゃないか」
「私もそう思ってたけど、ラスがスリイのこと褒めてるのを何回か聞いたことがあるんだよ」
「え?本当に?」
「本当だ。だからマーリアルおば様がいいって言うなら、むしろいい機会だと思ってさ、私たちは見守っていればいいんじゃないか」
そう言われても、まだ釈然としないが。
「今までマーリアルおば様が采配した縁談ってみんなうまくいってるって話だし、前からラスの縁談気にかけていらしたようだから、ドルの言葉には関係なく、スリイにはいずれ目をつけたと思う。だからドルはもう気にするなよ」
ぽんぽんと肩を叩くシエルドを見ると、その赤い目は半月のようにニヤけていた。
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