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259 専用図書室
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ドレイファスはドリアンから与えられた離れの作業部屋で、植物の鑑定に勤しんでいる。
今手にしている小さな葉っぱは、自分がロプモス山で見つけたものだ!
ドレイファスが足繁く通うロプモス山の植物は、見たことがあるものが圧倒的に多いが、ミロンが見つかったように、目新しい植物も見受けられた。
「コリャンダー?」
指の関節一つ分くらいの、小さな葉がいくつもあるそれを、軽く擦ると胸がすく匂いが広がった。
料理人には珍しくないものだが、ドレイファスはお初にお目にかかる所謂ハーブだ。
「解毒、集中力」
他にもいろいろ視えたが、ドレイファスの印象に残ったのはこの二言だ。
「集中力か!今必要なものだなこれ」
指先で葉を擦り、また匂いを吸い込んだ。
採取にドレイファスはルールを決めている。
まず五~六株を根と土ごと。採取したらすぐに紙で包み、いつどこで取ったかを書き込んで鞄にしまう。
包み紙に書いておけば忘れようもなく、標本にするのもスムーズだ。
そんなことをドレイファスが始めたと知った公爵家の騎士団や、グゥザヴィ商会、勿論庭師たちとミルケラ率いるギルドの職人たちは、何らかの遠出をする際には見慣れぬ花や葉、実を見つけると、根っこからそっと掘り起こして紙に包み、届けるようになった。
本当に珍しいものが手に入ることもあるので、うれしいのは間違いないが、同じものが届くこともよくある。そのせいで作業部屋と続きで建てた保管庫は、あっという間にパンパンになってしまった!
学院から帰るとドレイファスは、毎日決まった時間を自ら鑑定しながら仕分ける作業に費やすのだが、集まる量が多すぎて一向に片付けるのが間に合わないのだ。
それでも手を抜くことはせず、自分の鑑定の後、シエルドとタンジェントに二次鑑定を頼み、その結果を追記してもらう。
それを資料室に持ち込むと、カイドとハルーサが採取地や種類ごとに綴って完了だ。
そう工程を決めたが、ドレイファスでさえ片付かないほどだから、他にもたんまりとやることがあるシエルドやタンジェントの二次鑑定も当然遅れがち。
ドレイファスの作業部屋は、乱雑な物置きと成り果てていた。
「ドル」
ノックのあと、返事を待たずに作業部屋のドアを開け、シエルドが覗き込むと、白い手袋をはめたドレイファスが植物に触れながら、せっせと鑑定結果を書いている。
「あれ?帰ってきてたんだ」
シエルドは今日は学院帰りに、実家のサンザルブ家に向かうと聞いていた。
「ん。母上に新しいフラワーウォーターを試してもらおうと持って行っただけだからな」
「泊まってくればいいのに。ワルターおじさまが寂しがったんじゃないか?」
「でもこっちのほうが思いついたらすぐに調べたり試したりできるし、便利なんだよ」
ノエミと婚約したあとに、ドリアンが離れに研究室を設えてやってからというもの、シエルドは数えるほどしか実家に泊まらなくなった。たまに行っても夜はこちらに戻ってくるので、お気に入りの枕も研究室のベッドに置いてあるし、護衛のアーサの部屋も作られているほど。
そんなシエルドは眉を寄せたかと思うと、天井を見上げ、ため息をついた。
「ところでだ、ドル。これは一体なんだ?」
開け放たれた保管庫の扉の奥に、今にも倒れてきそうに積み上げられた紙包みを指差し、呆れ顔をするシエルド。
「採取もいいが、いまあるものの鑑定が進んでから次のを採ってくるようにしないと」
「そう思ってはいるんだけど、みんながいろいろと持って来てくれるからどんどん増えてしまうんだよ。わざわざ採取してきてくれたのにいらないとは言えないだろ?」
実は皆が非常に採取に協力的なのは、主のためというだけではなく、明らかな理由があった。
最初の頃、誰かが植物を持ち込む度、貯めに貯めこんだ小遣いから銀貨を一枚渡していたのだ。
自身の足で世界を駆け回るなど、学生のうちはできない。足をのばせてもせいぜい日帰りできる距離だ。かといって卒業するまでぼんやり待っているなど時間が勿体ないと、協力者に感謝の気持を示したつもりだった。
おかげで遠くまで伸ばせる手足がたくさんたくさん現れて、採取の効率を劇的に上げたとも言えるが。
「・・・せめてデーリン先生に鑑定手伝ってもらったらどうだ?」
「鑑定スキルあげたいから、一次鑑定はなるべく自分でやりたいんだよ」
呟きながら、ドレイファスは自分の前の大山を見上げる。
「じゃあ、私が最初の鑑定を手伝ってやるから、ドルは二次鑑定をやれよ」
それならドレイファスは追記だけで済むので、多少は早く進められるのではとシエルドは考えた。
ドレイファスは何もかもが丁寧で。それは良いことなのだが、視えたことを一文字一文字を美しく書き込んでいくので、一株の鑑定を終えるのにも時間がかかるのだ。
「いや。シエルも研究があるんだし、これはやっぱり自分でやらないとダメだと思う!」
「いやいや、私も開発したいポーションがいろいろあって、新しい素材を見つけるためにやりたいんだよ。自分のためでもあるから気にするな」
事実、よく見かける雑草としか思っていなかったものが、鑑定してみたら腹下しに速効性の効果を発揮するとわかったこともある。
しかしドレイファスは効率が悪かろうがここには拘り、引く気はない。
タンジェントやシエルドのそれとは違い、デーリンの鑑定はドレイファスと大差のないもの。それなら頼むまでもなく、経験値を稼ぐためにも自分でやったほうがいいに決まっているのだ。
「自分のために、ちゃんとやらないとダメなんだ」
ドレイファスは、シエルドの瞳が絶望の光を浮かべたことに気づいてはいなかった。
小言を言っても無駄だと気づいたシエルドがドリアンに相談したことにより、モリエールとデーリンが無理矢理手伝うようになると、多少だが片付けが早く進むようになる。
シエルドも積極的に二次鑑定を行い、資料にするものは魔法で水分を抜くと、資料係のカイドとハルーサの元へ。
受け取ったふたりはカラカラに乾いた植物を台紙に貼り付けると、錐で穴を開け、紐を通してまとめていくのだが、途切れることなく大量に届くそれに、錐を握る指の腹にマメができてしまう。
そう時間もおかずにカイドが音を上げた。
「ドレイファス様の資料の集まり方が早すぎて、棚が足りなくなってきたんです!」
マメだらけの手を見せつけるカイドに泣きつかれたドリアンが、ミルケラに新たな棚を作るよう頼むも、資料室に足を踏み入れたミルケラの絶望的な声を、ハルーサは後々まで真似をしたものだ。
「この部屋の一体どこに新しい棚が作れると言うんだ!」
そう呟くと、ミルケラは本館へと踵を返した。
地下通路を抜け、ドリアンの執務室へ向かう。
部屋の前には護衛の若い騎士が立っていて、ミルケラが部屋の前で立ち止まるとマドゥーンを呼んでくれた。
「ドリアン様にお取次ぎを」
お願いと言いかけるも、事情を知るカイドは最後まで聞くこともなく。奥に声をかけるとすぐ、ミルケラをドリアンの元へ通したのだった。
「資料室の棚はどうだった?」
「資料室はそれは酷いものでした」
「ん?」
ドリアンの眉間に細くしわが寄る。
「これ以上棚を増設したら、カイドたちのいる場所が無くなります!それに思ったのですが」
燃え立つようなオレンジ色の髪が、ミルケラの頭の動きにあわせて左右に揺れている。前髪の隙間から緑の瞳がドリアンを見つめた。
「今後、ドレイファス様が学者として名を知られるようになったとき、他の学者から研究資料を見たいと言われることもあるのではないでしょうか?その時にいちいち離れから運ぶというのは管理も大変なのではないかと。
それにフォンブランデイル家の図書室に新たに置くには量が多すぎます。いっそ本館の敷地に作業部屋を兼ねたドレイファス様の図書室をお造りになってはいかがでしょう」
ミルケラの提案にドリアンは納得させられた。
「うむ。確かに、貴重な資料を閲覧したいと言われたら今のままでは難しいな。本館の空き部屋・・・ではなく、庭を入ってすぐの所にある四阿、あの場所に図書室を作らせたらどうだろうな?シエルドには研究室があるのに、ドレイファスには作業部屋しか無いというのもな」
スキルの秘密を守るためのものは離れから出せないが、採取した植物の資料は秘密でも何でもない。
今後を考えたドリアンは、むしろ離れから離した所にそれらを保管する方が安全だと腹に落ちた。
カイドと相談したミルケラが図書室の広さを決めて土木士に四角く建てさせたあと、棚と内装を喜嬉として仕上げると、ドリアンとドレイファスに内部を公開した。
「ここがドレイファスの植物学専用の図書室だ」
何か建てていることには気づいていたが、自分のためのものとは知らなかったドレイファスはぽかんとしたあと、ぱあっと頬を染めて破顔。
「ほ、ほんとうに?」
「ああ、入ってみなさい」
外から見るよりも室内は広々としており、重厚な趣きだ。
「ハルーサにここを専属管理させ、離れの資料室はカイドに新しい補佐をつける。いいか、ここは採取した植物の資料のみを保管する。スキルに関係したものはカイドの元だからな」
「はい、大丈夫です」
二人の会話が終わるのを待って、ミルケラが奥の扉を開ける。
「左手奥にハルーサの作業部屋、ドレイファス様の書斎がこちらです」
真新しい木の匂いがする、ドリアンの執務室を思わせるような机と椅子を目にしたドレイファスが、小さな歓声をあげた。
今手にしている小さな葉っぱは、自分がロプモス山で見つけたものだ!
ドレイファスが足繁く通うロプモス山の植物は、見たことがあるものが圧倒的に多いが、ミロンが見つかったように、目新しい植物も見受けられた。
「コリャンダー?」
指の関節一つ分くらいの、小さな葉がいくつもあるそれを、軽く擦ると胸がすく匂いが広がった。
料理人には珍しくないものだが、ドレイファスはお初にお目にかかる所謂ハーブだ。
「解毒、集中力」
他にもいろいろ視えたが、ドレイファスの印象に残ったのはこの二言だ。
「集中力か!今必要なものだなこれ」
指先で葉を擦り、また匂いを吸い込んだ。
採取にドレイファスはルールを決めている。
まず五~六株を根と土ごと。採取したらすぐに紙で包み、いつどこで取ったかを書き込んで鞄にしまう。
包み紙に書いておけば忘れようもなく、標本にするのもスムーズだ。
そんなことをドレイファスが始めたと知った公爵家の騎士団や、グゥザヴィ商会、勿論庭師たちとミルケラ率いるギルドの職人たちは、何らかの遠出をする際には見慣れぬ花や葉、実を見つけると、根っこからそっと掘り起こして紙に包み、届けるようになった。
本当に珍しいものが手に入ることもあるので、うれしいのは間違いないが、同じものが届くこともよくある。そのせいで作業部屋と続きで建てた保管庫は、あっという間にパンパンになってしまった!
学院から帰るとドレイファスは、毎日決まった時間を自ら鑑定しながら仕分ける作業に費やすのだが、集まる量が多すぎて一向に片付けるのが間に合わないのだ。
それでも手を抜くことはせず、自分の鑑定の後、シエルドとタンジェントに二次鑑定を頼み、その結果を追記してもらう。
それを資料室に持ち込むと、カイドとハルーサが採取地や種類ごとに綴って完了だ。
そう工程を決めたが、ドレイファスでさえ片付かないほどだから、他にもたんまりとやることがあるシエルドやタンジェントの二次鑑定も当然遅れがち。
ドレイファスの作業部屋は、乱雑な物置きと成り果てていた。
「ドル」
ノックのあと、返事を待たずに作業部屋のドアを開け、シエルドが覗き込むと、白い手袋をはめたドレイファスが植物に触れながら、せっせと鑑定結果を書いている。
「あれ?帰ってきてたんだ」
シエルドは今日は学院帰りに、実家のサンザルブ家に向かうと聞いていた。
「ん。母上に新しいフラワーウォーターを試してもらおうと持って行っただけだからな」
「泊まってくればいいのに。ワルターおじさまが寂しがったんじゃないか?」
「でもこっちのほうが思いついたらすぐに調べたり試したりできるし、便利なんだよ」
ノエミと婚約したあとに、ドリアンが離れに研究室を設えてやってからというもの、シエルドは数えるほどしか実家に泊まらなくなった。たまに行っても夜はこちらに戻ってくるので、お気に入りの枕も研究室のベッドに置いてあるし、護衛のアーサの部屋も作られているほど。
そんなシエルドは眉を寄せたかと思うと、天井を見上げ、ため息をついた。
「ところでだ、ドル。これは一体なんだ?」
開け放たれた保管庫の扉の奥に、今にも倒れてきそうに積み上げられた紙包みを指差し、呆れ顔をするシエルド。
「採取もいいが、いまあるものの鑑定が進んでから次のを採ってくるようにしないと」
「そう思ってはいるんだけど、みんながいろいろと持って来てくれるからどんどん増えてしまうんだよ。わざわざ採取してきてくれたのにいらないとは言えないだろ?」
実は皆が非常に採取に協力的なのは、主のためというだけではなく、明らかな理由があった。
最初の頃、誰かが植物を持ち込む度、貯めに貯めこんだ小遣いから銀貨を一枚渡していたのだ。
自身の足で世界を駆け回るなど、学生のうちはできない。足をのばせてもせいぜい日帰りできる距離だ。かといって卒業するまでぼんやり待っているなど時間が勿体ないと、協力者に感謝の気持を示したつもりだった。
おかげで遠くまで伸ばせる手足がたくさんたくさん現れて、採取の効率を劇的に上げたとも言えるが。
「・・・せめてデーリン先生に鑑定手伝ってもらったらどうだ?」
「鑑定スキルあげたいから、一次鑑定はなるべく自分でやりたいんだよ」
呟きながら、ドレイファスは自分の前の大山を見上げる。
「じゃあ、私が最初の鑑定を手伝ってやるから、ドルは二次鑑定をやれよ」
それならドレイファスは追記だけで済むので、多少は早く進められるのではとシエルドは考えた。
ドレイファスは何もかもが丁寧で。それは良いことなのだが、視えたことを一文字一文字を美しく書き込んでいくので、一株の鑑定を終えるのにも時間がかかるのだ。
「いや。シエルも研究があるんだし、これはやっぱり自分でやらないとダメだと思う!」
「いやいや、私も開発したいポーションがいろいろあって、新しい素材を見つけるためにやりたいんだよ。自分のためでもあるから気にするな」
事実、よく見かける雑草としか思っていなかったものが、鑑定してみたら腹下しに速効性の効果を発揮するとわかったこともある。
しかしドレイファスは効率が悪かろうがここには拘り、引く気はない。
タンジェントやシエルドのそれとは違い、デーリンの鑑定はドレイファスと大差のないもの。それなら頼むまでもなく、経験値を稼ぐためにも自分でやったほうがいいに決まっているのだ。
「自分のために、ちゃんとやらないとダメなんだ」
ドレイファスは、シエルドの瞳が絶望の光を浮かべたことに気づいてはいなかった。
小言を言っても無駄だと気づいたシエルドがドリアンに相談したことにより、モリエールとデーリンが無理矢理手伝うようになると、多少だが片付けが早く進むようになる。
シエルドも積極的に二次鑑定を行い、資料にするものは魔法で水分を抜くと、資料係のカイドとハルーサの元へ。
受け取ったふたりはカラカラに乾いた植物を台紙に貼り付けると、錐で穴を開け、紐を通してまとめていくのだが、途切れることなく大量に届くそれに、錐を握る指の腹にマメができてしまう。
そう時間もおかずにカイドが音を上げた。
「ドレイファス様の資料の集まり方が早すぎて、棚が足りなくなってきたんです!」
マメだらけの手を見せつけるカイドに泣きつかれたドリアンが、ミルケラに新たな棚を作るよう頼むも、資料室に足を踏み入れたミルケラの絶望的な声を、ハルーサは後々まで真似をしたものだ。
「この部屋の一体どこに新しい棚が作れると言うんだ!」
そう呟くと、ミルケラは本館へと踵を返した。
地下通路を抜け、ドリアンの執務室へ向かう。
部屋の前には護衛の若い騎士が立っていて、ミルケラが部屋の前で立ち止まるとマドゥーンを呼んでくれた。
「ドリアン様にお取次ぎを」
お願いと言いかけるも、事情を知るカイドは最後まで聞くこともなく。奥に声をかけるとすぐ、ミルケラをドリアンの元へ通したのだった。
「資料室の棚はどうだった?」
「資料室はそれは酷いものでした」
「ん?」
ドリアンの眉間に細くしわが寄る。
「これ以上棚を増設したら、カイドたちのいる場所が無くなります!それに思ったのですが」
燃え立つようなオレンジ色の髪が、ミルケラの頭の動きにあわせて左右に揺れている。前髪の隙間から緑の瞳がドリアンを見つめた。
「今後、ドレイファス様が学者として名を知られるようになったとき、他の学者から研究資料を見たいと言われることもあるのではないでしょうか?その時にいちいち離れから運ぶというのは管理も大変なのではないかと。
それにフォンブランデイル家の図書室に新たに置くには量が多すぎます。いっそ本館の敷地に作業部屋を兼ねたドレイファス様の図書室をお造りになってはいかがでしょう」
ミルケラの提案にドリアンは納得させられた。
「うむ。確かに、貴重な資料を閲覧したいと言われたら今のままでは難しいな。本館の空き部屋・・・ではなく、庭を入ってすぐの所にある四阿、あの場所に図書室を作らせたらどうだろうな?シエルドには研究室があるのに、ドレイファスには作業部屋しか無いというのもな」
スキルの秘密を守るためのものは離れから出せないが、採取した植物の資料は秘密でも何でもない。
今後を考えたドリアンは、むしろ離れから離した所にそれらを保管する方が安全だと腹に落ちた。
カイドと相談したミルケラが図書室の広さを決めて土木士に四角く建てさせたあと、棚と内装を喜嬉として仕上げると、ドリアンとドレイファスに内部を公開した。
「ここがドレイファスの植物学専用の図書室だ」
何か建てていることには気づいていたが、自分のためのものとは知らなかったドレイファスはぽかんとしたあと、ぱあっと頬を染めて破顔。
「ほ、ほんとうに?」
「ああ、入ってみなさい」
外から見るよりも室内は広々としており、重厚な趣きだ。
「ハルーサにここを専属管理させ、離れの資料室はカイドに新しい補佐をつける。いいか、ここは採取した植物の資料のみを保管する。スキルに関係したものはカイドの元だからな」
「はい、大丈夫です」
二人の会話が終わるのを待って、ミルケラが奥の扉を開ける。
「左手奥にハルーサの作業部屋、ドレイファス様の書斎がこちらです」
真新しい木の匂いがする、ドリアンの執務室を思わせるような机と椅子を目にしたドレイファスが、小さな歓声をあげた。
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