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234 調査員来たる
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晴れ晴れとした顔で、ローザリオは筋書きを披露した。
離れの一軒先にあるグゥザヴィ商会の養蜂農園が襲われそうになり、公爵家に待機していた魔導師と自分、シエルド、ドレイファスたちが魔法を駆使して殲滅した。
六人の魔導師とウィザやアーサたちも総出で、かつ自分が作った魔力増幅装置を装着し、風魔法と炎魔法を繰り出したため、それぞれが威力3倍増しの功を奏したと。
「ローザリオ殿はイカサマ師だったのか?」
面白そうにワルターが言うと、どうせ町にいた者は逃げ惑い、イナゴールが降りたのが公爵家か隣接のグゥザヴィ商会の養蜂農園かまでは見ていないだろうと、ローザリオはしたり顔で言ってのけた。
グゥザヴィ商会の養蜂農園の蜂も勿論、カルルドがテイムしているもので、花はアイルムたちが面倒見ており、はちみつを採り始めた当初、売物を少しでも増やそうと苦肉の策で始められたものである。
利便性を考え、公爵家の空き地を借りたので、離れの一軒先に構えられていた。
「なるほどな。言われてみれば空が黒く覆われるほどのイナゴールが、どこから発せられた魔法で吹き上げられたかなど、魔導師でもなければわかりはしまい」
「そうですね。外から見ていた者がいたとしても、皆飛ばされたイナゴールに釘付けだったでしょうし、しかもそれがあっという間に灼き尽くされたのですから」
完全な仲間となった男たちは、ローザリオに煙に巻かれながらも、矛盾がないかを確認し合う。
「魔導師が六人、元A級の冒険者二人、錬金術師二人と公子・・・、これでイナゴールを討伐したと言っても大丈夫だろうか?」
「・・・やっぱりもう五、六人は欲しいな」
「なあドリアン、フォンブランデイルならもっと魔導師いるだろう?」
「いることはいるんだが、当日は私と共に行動していたからなあ」
「ああ、そういうことか。何人連れていた?」
「四人だが」
「違うだろ!ふたりはこっちにいたじゃないか」
「「「え?」」」
ワルターがニヤつく。
「ドリアンもまだボケるような年じゃなかろう?」
顔を見合わせた男たちも、ワルターの意図を汲み取り「ああ」と頷いて。
「あー、ああ。そうだったな、私としたことが、勘違いをしたようだ」
実に白々しい単調な言葉遣いで、ドリアンが認めるのだ。
「うん、これであと三人か?」
「他に誰かいませんかね?」
ローザリオの目がぐるりと回る。
これは何かを考えているときの癖だ。
目玉を上に下に、右に左にと落ち着きなく動かしながら、これでも考えごとに没頭しているのだ。
「あ、ルジーも今は魔法が使えるのでは?」
思い出してもらうのがだいぶ遅かったルジーと、数合わせでマトレイドの名が挙げられる。
「魔導師やA級冒険者に比べると、その二人はだいぶ弱いがいいのか?」
心配そうにドリアンが訊ねると、ローザリオは何かをポケットから引き出して見せる。
「ここをよく読んで、使ってみてくださいよ。これを使ったことにすれば大丈夫です!」
「それはなんだ?」
「私が作った魔力増幅装置ですよ。これを着けて大魔法を放ったとしても違法ではないし、公爵家は増幅装置でレベルを揃えているといえば、調査員も納得するはずです」
ドリアンはともに魔法を放ったはずの者たちを、口裏を合わせるため一堂に集めた。
綴り紐で纏められた冊子を一人づつ手渡していく。
勿論その中にはドレイファスとシエルドもいる。
パラパラと紙をめくる音。
「これ・・・」
その場ですぐに目を通したドレイファスは、呆然とした。
あのとき自分でも止められない怒りのようなものが湧き上がり、気づくとイナゴールの前に立ちはだかっていたが、体がカァッと熱くなったあとのことは、実はあまりよく覚えていないのだ。
「イナゴールの殲滅はこうして行われた」
その筋書きこそが正しいと有無を言わさないドリアンの目が、覚えていないことが多いために素直に頷くドレイファスを見つめたあと、シエルドに留まる。
鋭い視線を感じてシエルドは誰に返すでもなく、慌てて頷いた。
「これを報告書として城に提出するが、聴き取り調査が行われた場合、人によって言うことが違うとツッコまれるかもしれないのでな。念のために皆の記憶に相違がないか確認してもらいたい」
要するに筋書きを完全に覚え込み、調査が来ても僅かな隙も与えるなと言っている。
その場にいた者は真剣な目で、またこくりと頷いた。
かなりの緊張感をもって、城からの調査を待っていた公爵家の面々の元を、貴族学院のファロー・ミースが訪れたのはそれから十日も経とうという頃。
グゥザヴィ商会の養蜂農園に集まった面々にドリアンが声をかける。
「皆、ぬかるなよ」
顔を揃えた者はごくりと喉を鳴らしたが。
「失礼致します」
やって来た人物を見て、ドレイファスが声を上げる!
「ミース先生!」
「こんにちはドレイファス様」
「「「ええっ」」」
「調査官ってミース先生だったんですか?」
「そうですよ、エリンバーからイナゴールの痕跡を追って調査に行くと言いませんでしたか?」
そう、ミースの研究室をカルルドと訪れたとき、確かに城からの依頼で調査に行くとロントンも連れて出かけて行った。
「なんだ、緊張して損した」
公子とは思えないぶっちゃけた言葉を漏らすドレイファスに、苦笑しながらミースが尋ねる。
「ドレイファス様、緊張なさっておいででしたかな」
「はい。でももう大丈夫です!」
いやいや、全然大丈夫なんかじゃない!多少緊張しているほうがドレイファスには丁度いい。
ゴホン!
ドリアンが態とらしく咳払いをして、ミースの注意を引いた。
「始めてもらってもいいかね?」
一人づつ聴き取りするのかと身構えたが、ミースは時間が惜しいと全員一堂に集めて一気に調査をした。
これも拍子抜けである。
「まず、グゥザヴィ商会の養蜂農園にイナゴールが下りようとしていたところ、皆様が駆けつけられて風魔法をぶっ放した?」
「「「「はいっ」」」」
「最初に風魔法にしたのは何故ですか?」
公爵家の魔導師長ベランソワが手を上げて発言する。
「風魔法は発動が早いですし、少しでも高く吹き飛ばせば退却させるまではできずとも、時間が稼げると思ったのです」
「なるほど」
ペンを走らせてメモを取り終えると、ミースが先を促した。
「風魔法は結果的にうまくいったと」
「はい、想像以上でした」
「そのあとの炎魔法は?」
ミースの視線に、ローザリオが手を上げる。
「空に無防備に吹き上げられたイナゴールを見て、炎で焼いてしまえばいいんじゃないかと閃きました」
「素晴らしい閃きでしたね。ところであれほどの大群を焼き尽くすなんて、凄まじい威力だったと思いますが、この人数で可能なものなのでしょうか?」
モノクルをぐいっと押し上げながら、ミースは疑問を口にした。
しかし誰一人慌てる者などいない。
「ええ、魔力はどうしても個人差がありますから、公爵家の魔導師団では皆これを身に着けているんですよ、魔力増幅装置です」
自慢気に掌に小さな魔力増幅装置を乗せたローザリオが、ミースにそれを差し出した。
「これが?そんなに威力があるものなんですか?」
疑うわけではないがと前置きをしたミースに、嫌な顔をするでもなくローザリオはまず風魔法を披露する。
ビューっと突風が吹き抜けていった。
そして魔力増幅装置を手首に嵌めてもう一度風魔法を発動すると、今度の風は旋風と呼ぶのに相応しい暴風が吹き抜けた。
それはドレイファスが放った大魔法に比べればそよ風のようなものだったが、魔力増幅装置の威力をミースに見せつけるには十分なパフォーマンスだった。
「すごいですね、それは買うことができるものですか?」
「ええ。私のアトリエで販売しておりますが、よかったらお一つ差し上げましょう」
「あ、いえ、調査員は調査対象から何か受け取ることは」
「賄賂ではありませんよ。ご自身で検証なさるのに必要だと思いますから、お持ちください」
学者馬鹿のミースはローザリオの姑息な言い回しに気づかず、言葉通りに受け止めて、なるほどと納得した。
「確かにそうですね。では自分でも検証してみることに致します」
心なしかうれしそうに受け取っていたのが、シエルドには印象的であった。
ともかく、皆が力んで準備を整えた調査は、かなり呆気なく進んでいく。
「こうして風と炎の魔法を増幅装置を使って放てば効果が高いと、生物学者の目線で調査されたのが我らにも有意義なことだ」
終わりが近づいた頃、緊張を解いたドリアンがミースに語りかける。
「左様でございますな、私もそう思います。魔導師たちは放出魔力がどれくらいとかそんなことばかり聞くのですよ!肝心な話を聞きもせずに。でも私たち生物学者はイナゴールに何が効果があるかがわかればいのです。魔力が足りなければ魔法を使える者を追加すればいいだけではありませんか。
燃えカスは風で吹き飛んでしまったから調べようもないですが、近隣住民への聴き取りをしたところ、やはり凄まじい大群が空を隙間なく埋め尽くしたと思ったら、どこからか吹いてきた大旋風がイナゴールたちを吹き飛ばし、一気に燃え上がったと口を揃えておりましたので、間違いないでしょう。あとは魔法の規模ですが」
ミースはふむふむと呟きながら、確認するようにメモに目を走らせると、
「魔力増幅装置があれば。この人数ほどの魔導師や魔法が使える者がいれば、想定2億匹ほどまでなら太刀打ち可能と報告します。これで間違いはありませんね?」
ほんの一瞬の間を置いて、それぞれが頷き返すのを確認したミースは、ローザリオに向かい笑いかけた。
「これ、魔力増幅装置!報告書が城に上がったら爆売れするんじゃありませんか?その時はぜひ、イナゴールの研究費用として私に寄付をご検討ください!」
離れの一軒先にあるグゥザヴィ商会の養蜂農園が襲われそうになり、公爵家に待機していた魔導師と自分、シエルド、ドレイファスたちが魔法を駆使して殲滅した。
六人の魔導師とウィザやアーサたちも総出で、かつ自分が作った魔力増幅装置を装着し、風魔法と炎魔法を繰り出したため、それぞれが威力3倍増しの功を奏したと。
「ローザリオ殿はイカサマ師だったのか?」
面白そうにワルターが言うと、どうせ町にいた者は逃げ惑い、イナゴールが降りたのが公爵家か隣接のグゥザヴィ商会の養蜂農園かまでは見ていないだろうと、ローザリオはしたり顔で言ってのけた。
グゥザヴィ商会の養蜂農園の蜂も勿論、カルルドがテイムしているもので、花はアイルムたちが面倒見ており、はちみつを採り始めた当初、売物を少しでも増やそうと苦肉の策で始められたものである。
利便性を考え、公爵家の空き地を借りたので、離れの一軒先に構えられていた。
「なるほどな。言われてみれば空が黒く覆われるほどのイナゴールが、どこから発せられた魔法で吹き上げられたかなど、魔導師でもなければわかりはしまい」
「そうですね。外から見ていた者がいたとしても、皆飛ばされたイナゴールに釘付けだったでしょうし、しかもそれがあっという間に灼き尽くされたのですから」
完全な仲間となった男たちは、ローザリオに煙に巻かれながらも、矛盾がないかを確認し合う。
「魔導師が六人、元A級の冒険者二人、錬金術師二人と公子・・・、これでイナゴールを討伐したと言っても大丈夫だろうか?」
「・・・やっぱりもう五、六人は欲しいな」
「なあドリアン、フォンブランデイルならもっと魔導師いるだろう?」
「いることはいるんだが、当日は私と共に行動していたからなあ」
「ああ、そういうことか。何人連れていた?」
「四人だが」
「違うだろ!ふたりはこっちにいたじゃないか」
「「「え?」」」
ワルターがニヤつく。
「ドリアンもまだボケるような年じゃなかろう?」
顔を見合わせた男たちも、ワルターの意図を汲み取り「ああ」と頷いて。
「あー、ああ。そうだったな、私としたことが、勘違いをしたようだ」
実に白々しい単調な言葉遣いで、ドリアンが認めるのだ。
「うん、これであと三人か?」
「他に誰かいませんかね?」
ローザリオの目がぐるりと回る。
これは何かを考えているときの癖だ。
目玉を上に下に、右に左にと落ち着きなく動かしながら、これでも考えごとに没頭しているのだ。
「あ、ルジーも今は魔法が使えるのでは?」
思い出してもらうのがだいぶ遅かったルジーと、数合わせでマトレイドの名が挙げられる。
「魔導師やA級冒険者に比べると、その二人はだいぶ弱いがいいのか?」
心配そうにドリアンが訊ねると、ローザリオは何かをポケットから引き出して見せる。
「ここをよく読んで、使ってみてくださいよ。これを使ったことにすれば大丈夫です!」
「それはなんだ?」
「私が作った魔力増幅装置ですよ。これを着けて大魔法を放ったとしても違法ではないし、公爵家は増幅装置でレベルを揃えているといえば、調査員も納得するはずです」
ドリアンはともに魔法を放ったはずの者たちを、口裏を合わせるため一堂に集めた。
綴り紐で纏められた冊子を一人づつ手渡していく。
勿論その中にはドレイファスとシエルドもいる。
パラパラと紙をめくる音。
「これ・・・」
その場ですぐに目を通したドレイファスは、呆然とした。
あのとき自分でも止められない怒りのようなものが湧き上がり、気づくとイナゴールの前に立ちはだかっていたが、体がカァッと熱くなったあとのことは、実はあまりよく覚えていないのだ。
「イナゴールの殲滅はこうして行われた」
その筋書きこそが正しいと有無を言わさないドリアンの目が、覚えていないことが多いために素直に頷くドレイファスを見つめたあと、シエルドに留まる。
鋭い視線を感じてシエルドは誰に返すでもなく、慌てて頷いた。
「これを報告書として城に提出するが、聴き取り調査が行われた場合、人によって言うことが違うとツッコまれるかもしれないのでな。念のために皆の記憶に相違がないか確認してもらいたい」
要するに筋書きを完全に覚え込み、調査が来ても僅かな隙も与えるなと言っている。
その場にいた者は真剣な目で、またこくりと頷いた。
かなりの緊張感をもって、城からの調査を待っていた公爵家の面々の元を、貴族学院のファロー・ミースが訪れたのはそれから十日も経とうという頃。
グゥザヴィ商会の養蜂農園に集まった面々にドリアンが声をかける。
「皆、ぬかるなよ」
顔を揃えた者はごくりと喉を鳴らしたが。
「失礼致します」
やって来た人物を見て、ドレイファスが声を上げる!
「ミース先生!」
「こんにちはドレイファス様」
「「「ええっ」」」
「調査官ってミース先生だったんですか?」
「そうですよ、エリンバーからイナゴールの痕跡を追って調査に行くと言いませんでしたか?」
そう、ミースの研究室をカルルドと訪れたとき、確かに城からの依頼で調査に行くとロントンも連れて出かけて行った。
「なんだ、緊張して損した」
公子とは思えないぶっちゃけた言葉を漏らすドレイファスに、苦笑しながらミースが尋ねる。
「ドレイファス様、緊張なさっておいででしたかな」
「はい。でももう大丈夫です!」
いやいや、全然大丈夫なんかじゃない!多少緊張しているほうがドレイファスには丁度いい。
ゴホン!
ドリアンが態とらしく咳払いをして、ミースの注意を引いた。
「始めてもらってもいいかね?」
一人づつ聴き取りするのかと身構えたが、ミースは時間が惜しいと全員一堂に集めて一気に調査をした。
これも拍子抜けである。
「まず、グゥザヴィ商会の養蜂農園にイナゴールが下りようとしていたところ、皆様が駆けつけられて風魔法をぶっ放した?」
「「「「はいっ」」」」
「最初に風魔法にしたのは何故ですか?」
公爵家の魔導師長ベランソワが手を上げて発言する。
「風魔法は発動が早いですし、少しでも高く吹き飛ばせば退却させるまではできずとも、時間が稼げると思ったのです」
「なるほど」
ペンを走らせてメモを取り終えると、ミースが先を促した。
「風魔法は結果的にうまくいったと」
「はい、想像以上でした」
「そのあとの炎魔法は?」
ミースの視線に、ローザリオが手を上げる。
「空に無防備に吹き上げられたイナゴールを見て、炎で焼いてしまえばいいんじゃないかと閃きました」
「素晴らしい閃きでしたね。ところであれほどの大群を焼き尽くすなんて、凄まじい威力だったと思いますが、この人数で可能なものなのでしょうか?」
モノクルをぐいっと押し上げながら、ミースは疑問を口にした。
しかし誰一人慌てる者などいない。
「ええ、魔力はどうしても個人差がありますから、公爵家の魔導師団では皆これを身に着けているんですよ、魔力増幅装置です」
自慢気に掌に小さな魔力増幅装置を乗せたローザリオが、ミースにそれを差し出した。
「これが?そんなに威力があるものなんですか?」
疑うわけではないがと前置きをしたミースに、嫌な顔をするでもなくローザリオはまず風魔法を披露する。
ビューっと突風が吹き抜けていった。
そして魔力増幅装置を手首に嵌めてもう一度風魔法を発動すると、今度の風は旋風と呼ぶのに相応しい暴風が吹き抜けた。
それはドレイファスが放った大魔法に比べればそよ風のようなものだったが、魔力増幅装置の威力をミースに見せつけるには十分なパフォーマンスだった。
「すごいですね、それは買うことができるものですか?」
「ええ。私のアトリエで販売しておりますが、よかったらお一つ差し上げましょう」
「あ、いえ、調査員は調査対象から何か受け取ることは」
「賄賂ではありませんよ。ご自身で検証なさるのに必要だと思いますから、お持ちください」
学者馬鹿のミースはローザリオの姑息な言い回しに気づかず、言葉通りに受け止めて、なるほどと納得した。
「確かにそうですね。では自分でも検証してみることに致します」
心なしかうれしそうに受け取っていたのが、シエルドには印象的であった。
ともかく、皆が力んで準備を整えた調査は、かなり呆気なく進んでいく。
「こうして風と炎の魔法を増幅装置を使って放てば効果が高いと、生物学者の目線で調査されたのが我らにも有意義なことだ」
終わりが近づいた頃、緊張を解いたドリアンがミースに語りかける。
「左様でございますな、私もそう思います。魔導師たちは放出魔力がどれくらいとかそんなことばかり聞くのですよ!肝心な話を聞きもせずに。でも私たち生物学者はイナゴールに何が効果があるかがわかればいのです。魔力が足りなければ魔法を使える者を追加すればいいだけではありませんか。
燃えカスは風で吹き飛んでしまったから調べようもないですが、近隣住民への聴き取りをしたところ、やはり凄まじい大群が空を隙間なく埋め尽くしたと思ったら、どこからか吹いてきた大旋風がイナゴールたちを吹き飛ばし、一気に燃え上がったと口を揃えておりましたので、間違いないでしょう。あとは魔法の規模ですが」
ミースはふむふむと呟きながら、確認するようにメモに目を走らせると、
「魔力増幅装置があれば。この人数ほどの魔導師や魔法が使える者がいれば、想定2億匹ほどまでなら太刀打ち可能と報告します。これで間違いはありませんね?」
ほんの一瞬の間を置いて、それぞれが頷き返すのを確認したミースは、ローザリオに向かい笑いかけた。
「これ、魔力増幅装置!報告書が城に上がったら爆売れするんじゃありませんか?その時はぜひ、イナゴールの研究費用として私に寄付をご検討ください!」
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