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96 美味しそうな夢
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はちみつ漬けペリルのクレーメがけは世にも素晴らしい一杯だった。
それを初めて食べた夜のこと、ドレイファスはあのかき混ぜ棒の夢を見た。
今度は厨房のようだ。
小さな籠の中には手のひらほどの小さな白い丸いものがいくつかあり、男性がそれを片手で取ると鉢の縁に当てた?
今なにしたの?
白い丸は割れ、中からとろりと黄色い丸い物がぽとりと皿に落ちた。
あのかき混ぜ棒で黄色い丸いものを崩してふんわりと混ぜると、薄い平たい鍋のようなものにとろとろと流し込み、それを鍋の上でくるくる巻く。艷やかな黄色いのは何?
所謂玉子焼だが、ドレイファスは卵を見たことがなかったので見当がつかなかった。
男は薄焼きのブレッドに切り込みを入れてその卵焼きを挟むと、自分の口に放り込んでもぐもぐしている。
(どんな味なんだろうぅ)
ごくりと、眠るドレイファスの喉がなった。
男はまた卵を手に取ると、いつの間にか割れて中身が落ちる。
今度は何をしてるんだろう?
中身を小さなカップに移したあと、黄色い丸い物だけを掬ったようだ。それを箸で崩して真っ白い牛乳で溶かし、白い粉を入れてゆっくり混ぜている。
公爵家で牛を飼うようになったので、牛乳は見たことがある。それはわかったが、白いさらさらの粉が何かはわからない。
男性はその黄色い液体を小さなカップ何個かに流し込み、水を張った鍋にカップごと入れた。
今見ていることはドレイファスの知ることを完全に超えているが。
だからといって音を聞くことはできない。
よく見ると、鍋の水はカップの高さより低い。
鍋に布を被せてその上から蓋をし、火を入れる。しばらくすると蓋の隙間からモワァと煙が立ち始めたが、そのまましばらく煮立ててから火を止める。蓋と布を外すと、冷めてきた頃か?一つのカップを手に取った。
細い棒をカップの端に挿し入れてくるりと内周を回すと、平らな皿の上にカップを伏せるように傾ける。
すると中から薄い黄色のぷりぷりと動く物が飛び出してきた。皿の上で左右に揺れるそれはカップと同じ形をしているのがわかる。
プリンである。
男性は皿を目の高さに持ち上げて様々な角度から見つめて満足そうに頷き、最後に匙で一口というか三口で食べてしまうと、実に美味そうに口のまわりをぺろりと舐めた。
(食べ物なんだ!)
今日はまだ続きがあった。
さっき使わなかった透明のどろりんとしたのを取り出して、かき混ぜ棒で混ぜていく。かなり長い時間かけているが。そのうちにふわぁと真っ白く膨らんできた。
メレンゲだがドレイファスはもちろん知らない。
さらさらの白い粉を足し入れてもう一度混ぜると、男性は匙で掬って平らな鉄の板に、くるりと渦を巻くよう乗せていく。何個も何個も。
そして鉄の板ごと釜?小さくて四角い釜に入れた。火を入れたらしい。中が真っ赤に変わり、しばらく待つと焼き上がったらしい。
鉄の板の上にはくるりとした格好の薄く焼き目が着いたものがいくつも乗っていた。
男性は一つ指先で摘んでフッと吹くと口に放り込み、ニィーと笑う。
籠に布を敷いてその中に全部入れると、ケースに籠ごと入れた。
黄色いぷりぷりした物もカップごと。
ケースの中はそれらで隙間なくいっぱいになり、男性はケースを閉めて姿を消した。
(見たことがない食べ物ばかり!どんな味なんだろう、食べてみたいー!)
ドレイファスの目はそれらに釘付けで離れない。目に焼き付けるようにじっくり見つめる。そう菓子屋のショーケースにこどもが張り付くように。
そのうちドレイファスの眠りは深くなり、自然と夢から遠ざかっていった。
翌朝珍しい起こされずに目覚めたドレイファスは、夢を忘れないうちにと着替えもせずにルジーを探した。
「ルジー!」
「おはようございます、ドレイファス様。早いな、まだメイベル来てないのか?」
寝着のままの姿を見て聞いたのだが。
「夢忘れちゃうから書いて!」
その一言で寝着のままなんてことはどうでも良くなった。急いでドレイファスと一緒に部屋に戻り、紙とペンを出す。
道具のときはミルケラに、植物のときはヨルトラに、なんだかわからないときはルジーに夢の話をする。誰に言われたわけでもなく、自分でそう分けているらしい。
ドレイファスは思い出せる限りを自分の知る言葉全部を使って一生懸命に話した。
ルジーが初めてペリルの話を聞いた時より、だいぶ人間らしいやり取りができるようになってきたが、本人が知らない物は伝えようがない。
いつもはまったくわからないものが多いが、今日の話は卵のことだ!とすぐわかった。
聞くだけ聞いてみたら、一から十まで食べ物についてだったので
「ドレイファス様、顔洗って着替えたら畑に行く前に離れの厨房に寄ろう。
きっとボンディならその話わかると思うぞ」
そう提案した。
そうと決まれば早い。
最近ドレイファスは自分で顔を洗えるようになった。ただメイベルがいないとお湯がない。洗面器には水が張ってあるだけで、いつも使う前にメイベルが魔石で温めてくれるから。
冷たい水で適当に顔をパシャパシャし、壁にかけてある布で水分を拭き取ると、今日の分として畳んで置いてあるブラウスとトラウザーズ、靴下を履く。
来年学院に上がると宿泊教室もあるため着替えも練習している。自分で支度をやり遂げたドレイファスの、ちょっと肩がずれたりしているところをさり気なく直してやったルジーがメイベルにメモを残し、上着を着せて離れへ向かった。
地下通路を歩く間も、ずうっと夢の話をしている。
(よほど気になるんだな。食いしん坊だからなあ)
公爵家では夫人マーリアルとドレイファスのふたりは、突出した食いしん坊と言える。食べる物に対する情熱がすごいのだ。だからこそ、見る夢のほとんどが食べ物なのだろう。
離れに着いて扉を開けると畑が広がるが、今日は先に厨房へ向かう。
ボンディは深鍋から木製のお玉で煮物を掬って皿に盛り付けていた。
「ボンディ!忙しいか?」
「ああ!ルジー!なんか久しぶりだな。こっちで朝食食べるか?」
ルジーはドレイファスについているため、ほとんどを新館で過ごす。寝に戻るくらいなので、この厨房に来るのは本当に久しぶりだった。
「俺の朝食よりドレイファス様に手を貸してほしいんだ。時間ができたらでいい」
そう言われてルジーと手を繋いでいる主がひょこりと顔を出した。
「あ、ドレイファス様~!背が伸びましたね」
そう言ってボンディは、カチカチの干しペリルを渡してくれた。
「朝食を食べてからだぞ」
ルジーが釘をさして、それを自分のポケットに預かった。ドレイファスの恨めしそうな顔にふたりの大人は笑いをこぼしたが、本人は頬を膨らませて拗ねている。
「朝のご飯を食べたらちゃんと渡してやる。メイベルに怒られたくないだろう?」
メイベルが怒った顔を思い出して、渋々頷いた。
あと少しで終わるというボンディを待つために、情報部分室が使っている応接に入るとまだ誰もいなかった。
ドレイファスは初めて入る部屋に興味津々で、あちこち触ってみては、最近覚えたなるほどなるほどをくり返す。
そろそろ飽きてきた頃か?とルジーが思った時、ちょうどよくボンディがやって来た。
「お待たせした!じゃあ話を聞こう」
白い丸いので、割ると黄色いのが出てくるというのはすぐ卵だな!とルジーとも同じ答えにたどり着いたが、そこから先はメモを取って理解しようと努力していた。
「平たい鍋?そんなの見たことないな」
ここではなにか焼くときはすべて石窯である。
鍋は煮るためにあるので、平たい鍋は存在しない。それでも鍋で焼き物が出来たら手軽でいいなとボンディは興味を持った。
その平たい鍋があれば、卵を割って鍋に流して焼くことができる?どんな味だろうかとボンディは唾を飲んだ。
「それからね」
ドレイファスの話は続く。
気が急いて、玉子焼きをブレッドに挟むことは忘れてしまったが、次の話はもっと複雑だった。
「牛乳と黄色いのと白いサラサラを混ぜて、カップにいれたら、水を張った鍋にカップごと入れてカップも一緒に煮るの」
たぶん忘れないうちにということだろう、早口で一気にまくし立てた。
「でね。」
「ま、まだあるのかあ!」
ボンディの頭は今の二つでいっぱいだ。
「黄色の残りの透明なやつはね」
話の方向性が変わったせいか、ボンディの興味を引き戻されたが・・が。
「かき混ぜ棒でいっぱいいっぱい混ぜるとふわふわに膨らむの。そしたら白いサラサラを入れてまぜて、匙でくるんって板に置いて焼くんだよ」
ボンディの頭はパンクした!
「す、すまない、展開が早すぎるのか、ついていけてないんだ。どうしたものか・・・」
顎に手を当て考え込むと、そうだ!と顔を上げ
「今日空いている時間があれば、厨房で実験してみないか?」
錬金術のアトリエに通い始めたシエルドがら二言目には「師匠と実験した話」をするのがめちゃくちゃ羨ましかったドレイファスは、「実験」という言葉に飛びついた。
「師匠!」
え?ボンディとルジーが固まり、すぐ笑い出す。
「いやいや俺は師匠じゃない、ドレイファス様の料理人だから」
否定されると、ドレイファスはしゅーんとわかりやすく萎れた。
「師匠と実験」に憧れているのだ。
そのあまりにしょんぼりした姿に、
「わかった!料理の師匠に俺がなる!」
ボンディが高らかに宣言し、ドレイファスは
「やったぁ、ししょぉー!」
と歓喜の叫びをあげたのだった。
それを初めて食べた夜のこと、ドレイファスはあのかき混ぜ棒の夢を見た。
今度は厨房のようだ。
小さな籠の中には手のひらほどの小さな白い丸いものがいくつかあり、男性がそれを片手で取ると鉢の縁に当てた?
今なにしたの?
白い丸は割れ、中からとろりと黄色い丸い物がぽとりと皿に落ちた。
あのかき混ぜ棒で黄色い丸いものを崩してふんわりと混ぜると、薄い平たい鍋のようなものにとろとろと流し込み、それを鍋の上でくるくる巻く。艷やかな黄色いのは何?
所謂玉子焼だが、ドレイファスは卵を見たことがなかったので見当がつかなかった。
男は薄焼きのブレッドに切り込みを入れてその卵焼きを挟むと、自分の口に放り込んでもぐもぐしている。
(どんな味なんだろうぅ)
ごくりと、眠るドレイファスの喉がなった。
男はまた卵を手に取ると、いつの間にか割れて中身が落ちる。
今度は何をしてるんだろう?
中身を小さなカップに移したあと、黄色い丸い物だけを掬ったようだ。それを箸で崩して真っ白い牛乳で溶かし、白い粉を入れてゆっくり混ぜている。
公爵家で牛を飼うようになったので、牛乳は見たことがある。それはわかったが、白いさらさらの粉が何かはわからない。
男性はその黄色い液体を小さなカップ何個かに流し込み、水を張った鍋にカップごと入れた。
今見ていることはドレイファスの知ることを完全に超えているが。
だからといって音を聞くことはできない。
よく見ると、鍋の水はカップの高さより低い。
鍋に布を被せてその上から蓋をし、火を入れる。しばらくすると蓋の隙間からモワァと煙が立ち始めたが、そのまましばらく煮立ててから火を止める。蓋と布を外すと、冷めてきた頃か?一つのカップを手に取った。
細い棒をカップの端に挿し入れてくるりと内周を回すと、平らな皿の上にカップを伏せるように傾ける。
すると中から薄い黄色のぷりぷりと動く物が飛び出してきた。皿の上で左右に揺れるそれはカップと同じ形をしているのがわかる。
プリンである。
男性は皿を目の高さに持ち上げて様々な角度から見つめて満足そうに頷き、最後に匙で一口というか三口で食べてしまうと、実に美味そうに口のまわりをぺろりと舐めた。
(食べ物なんだ!)
今日はまだ続きがあった。
さっき使わなかった透明のどろりんとしたのを取り出して、かき混ぜ棒で混ぜていく。かなり長い時間かけているが。そのうちにふわぁと真っ白く膨らんできた。
メレンゲだがドレイファスはもちろん知らない。
さらさらの白い粉を足し入れてもう一度混ぜると、男性は匙で掬って平らな鉄の板に、くるりと渦を巻くよう乗せていく。何個も何個も。
そして鉄の板ごと釜?小さくて四角い釜に入れた。火を入れたらしい。中が真っ赤に変わり、しばらく待つと焼き上がったらしい。
鉄の板の上にはくるりとした格好の薄く焼き目が着いたものがいくつも乗っていた。
男性は一つ指先で摘んでフッと吹くと口に放り込み、ニィーと笑う。
籠に布を敷いてその中に全部入れると、ケースに籠ごと入れた。
黄色いぷりぷりした物もカップごと。
ケースの中はそれらで隙間なくいっぱいになり、男性はケースを閉めて姿を消した。
(見たことがない食べ物ばかり!どんな味なんだろう、食べてみたいー!)
ドレイファスの目はそれらに釘付けで離れない。目に焼き付けるようにじっくり見つめる。そう菓子屋のショーケースにこどもが張り付くように。
そのうちドレイファスの眠りは深くなり、自然と夢から遠ざかっていった。
翌朝珍しい起こされずに目覚めたドレイファスは、夢を忘れないうちにと着替えもせずにルジーを探した。
「ルジー!」
「おはようございます、ドレイファス様。早いな、まだメイベル来てないのか?」
寝着のままの姿を見て聞いたのだが。
「夢忘れちゃうから書いて!」
その一言で寝着のままなんてことはどうでも良くなった。急いでドレイファスと一緒に部屋に戻り、紙とペンを出す。
道具のときはミルケラに、植物のときはヨルトラに、なんだかわからないときはルジーに夢の話をする。誰に言われたわけでもなく、自分でそう分けているらしい。
ドレイファスは思い出せる限りを自分の知る言葉全部を使って一生懸命に話した。
ルジーが初めてペリルの話を聞いた時より、だいぶ人間らしいやり取りができるようになってきたが、本人が知らない物は伝えようがない。
いつもはまったくわからないものが多いが、今日の話は卵のことだ!とすぐわかった。
聞くだけ聞いてみたら、一から十まで食べ物についてだったので
「ドレイファス様、顔洗って着替えたら畑に行く前に離れの厨房に寄ろう。
きっとボンディならその話わかると思うぞ」
そう提案した。
そうと決まれば早い。
最近ドレイファスは自分で顔を洗えるようになった。ただメイベルがいないとお湯がない。洗面器には水が張ってあるだけで、いつも使う前にメイベルが魔石で温めてくれるから。
冷たい水で適当に顔をパシャパシャし、壁にかけてある布で水分を拭き取ると、今日の分として畳んで置いてあるブラウスとトラウザーズ、靴下を履く。
来年学院に上がると宿泊教室もあるため着替えも練習している。自分で支度をやり遂げたドレイファスの、ちょっと肩がずれたりしているところをさり気なく直してやったルジーがメイベルにメモを残し、上着を着せて離れへ向かった。
地下通路を歩く間も、ずうっと夢の話をしている。
(よほど気になるんだな。食いしん坊だからなあ)
公爵家では夫人マーリアルとドレイファスのふたりは、突出した食いしん坊と言える。食べる物に対する情熱がすごいのだ。だからこそ、見る夢のほとんどが食べ物なのだろう。
離れに着いて扉を開けると畑が広がるが、今日は先に厨房へ向かう。
ボンディは深鍋から木製のお玉で煮物を掬って皿に盛り付けていた。
「ボンディ!忙しいか?」
「ああ!ルジー!なんか久しぶりだな。こっちで朝食食べるか?」
ルジーはドレイファスについているため、ほとんどを新館で過ごす。寝に戻るくらいなので、この厨房に来るのは本当に久しぶりだった。
「俺の朝食よりドレイファス様に手を貸してほしいんだ。時間ができたらでいい」
そう言われてルジーと手を繋いでいる主がひょこりと顔を出した。
「あ、ドレイファス様~!背が伸びましたね」
そう言ってボンディは、カチカチの干しペリルを渡してくれた。
「朝食を食べてからだぞ」
ルジーが釘をさして、それを自分のポケットに預かった。ドレイファスの恨めしそうな顔にふたりの大人は笑いをこぼしたが、本人は頬を膨らませて拗ねている。
「朝のご飯を食べたらちゃんと渡してやる。メイベルに怒られたくないだろう?」
メイベルが怒った顔を思い出して、渋々頷いた。
あと少しで終わるというボンディを待つために、情報部分室が使っている応接に入るとまだ誰もいなかった。
ドレイファスは初めて入る部屋に興味津々で、あちこち触ってみては、最近覚えたなるほどなるほどをくり返す。
そろそろ飽きてきた頃か?とルジーが思った時、ちょうどよくボンディがやって来た。
「お待たせした!じゃあ話を聞こう」
白い丸いので、割ると黄色いのが出てくるというのはすぐ卵だな!とルジーとも同じ答えにたどり着いたが、そこから先はメモを取って理解しようと努力していた。
「平たい鍋?そんなの見たことないな」
ここではなにか焼くときはすべて石窯である。
鍋は煮るためにあるので、平たい鍋は存在しない。それでも鍋で焼き物が出来たら手軽でいいなとボンディは興味を持った。
その平たい鍋があれば、卵を割って鍋に流して焼くことができる?どんな味だろうかとボンディは唾を飲んだ。
「それからね」
ドレイファスの話は続く。
気が急いて、玉子焼きをブレッドに挟むことは忘れてしまったが、次の話はもっと複雑だった。
「牛乳と黄色いのと白いサラサラを混ぜて、カップにいれたら、水を張った鍋にカップごと入れてカップも一緒に煮るの」
たぶん忘れないうちにということだろう、早口で一気にまくし立てた。
「でね。」
「ま、まだあるのかあ!」
ボンディの頭は今の二つでいっぱいだ。
「黄色の残りの透明なやつはね」
話の方向性が変わったせいか、ボンディの興味を引き戻されたが・・が。
「かき混ぜ棒でいっぱいいっぱい混ぜるとふわふわに膨らむの。そしたら白いサラサラを入れてまぜて、匙でくるんって板に置いて焼くんだよ」
ボンディの頭はパンクした!
「す、すまない、展開が早すぎるのか、ついていけてないんだ。どうしたものか・・・」
顎に手を当て考え込むと、そうだ!と顔を上げ
「今日空いている時間があれば、厨房で実験してみないか?」
錬金術のアトリエに通い始めたシエルドがら二言目には「師匠と実験した話」をするのがめちゃくちゃ羨ましかったドレイファスは、「実験」という言葉に飛びついた。
「師匠!」
え?ボンディとルジーが固まり、すぐ笑い出す。
「いやいや俺は師匠じゃない、ドレイファス様の料理人だから」
否定されると、ドレイファスはしゅーんとわかりやすく萎れた。
「師匠と実験」に憧れているのだ。
そのあまりにしょんぼりした姿に、
「わかった!料理の師匠に俺がなる!」
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