不死の魔法使いは鍵をにぎる

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考えうる限りのあらゆる方法を試し、期限とされた10日後。
バウムの元に私と半面は集まった。






「宣言していたものはできましたか?」

「ああ」






方法は編み出せた。
納得のいく結果が得られる方法だ。

ただし私が試して判断したため、魔力量が普通の者が使って満足のいく結果になるのかは不明だ。



私は荷物から魔法陣を描いた布と、結晶の欠片を入れた袋を取り出す。
と、半面の目は魔法陣へとくぎ付けになった。



「何ですかこれは」

「魔法陣だが。袋の中身は結晶の欠片だ」



何だと聞かれても困る。袋に入れていた欠片はともかく、魔法陣は見たままだ。
聞かれた意味が解らず、つい言葉に棘が混ざる。








半面はそれを気にも留めずにぽつりと呟いた。



「これが魔法陣…」






魔法陣を初めて見たのだろうか。


余所者との接触を断ち、酷く閉鎖的に生活している村だ。
技術の伝達が悪いこと自体は納得できる。
しかしこいつは、見たこともない技術を作ってこいと言っていたのか?

半ば呆れながら見つめていると、半面は魔法陣に落としていた顔を上げた。



「では使い物になるかどうか、見せてもらいましょう」

「待て。私は魔力量が多く参考にならない。お前が試してくれ」


そう言って魔法陣の布と結晶の欠片を突き出す。




「我、ですか」


戸惑いつつも、しっかりと受け取る半面。



「結界を張ったことはあるか」

「ないです」

「使える魔法は」

「水と火のごく簡単な魔法なら」












初級も初級。
子供が習うような魔法だな。

その程度の魔法しか習得していないということは、魔力量は多くないだろう。



「なら問題はないはずだ。お前を囲む程度の、小さい結界を張ってみよう」



袋から1掴み程度の欠片を取り出し、半面の手のひらに置く。



「この欠片を、自分を囲うようにして均等に撒く。魔法陣は地面に置き、魔力を流せば結界が張れるはずだ。やってみろ」

「…わかりました」



自分の周りに円を描くように欠片を撒き、魔法陣の布を足元に置いて半面はしゃがむ。









初級魔法しか使えない者が、いきなり結界魔法を使えることは通常有り得ない。
これが成功すれば、隠れた村で結界を張ってる者の魔力量や相性が悪くとも、今以上に質がよく範囲が広い結界が張れるはずだ。


半面が魔力を流し、それに反応して魔法陣が淡く発光する。
次いで円形に撒いた欠片も発光し、半面を包むように半円状の膜が張られ、一瞬きの後に姿が見えなくなる。







成功だな。




半面は結界の解き方がわからないだろうし、この結界では外部の声が届かない。
目の前で陣を試していて位置も把握しているため、遠慮なく半面が張った結界を壊す。


結界を破壊するのは至極単純。
魔力量勝負だ。


半面が流した魔力量を凌駕する魔力をぶつければ、目視できなくなっていた膜が崩れ、現れる半面の姿。







「きちんと使えるものを持ってきただろう。さあ話してもらおうか」
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