一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご

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最終章 望む世界。

問答。

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 黒いフードのせいで表情は見えない。
 ……いや、そもそも顔がないのか? 

 フードの中に見えるのは、黒い影だけだった。

「《ことわり》をはずれたもの、猫神の眷属よ」

 しわがれた声だった。

「神に挑む気か」

 さっきも聞いたわ!

「まぁ、気に入らないのでぶちのめしてさしあげにきた、というところですかね」

 あいにく、こちとら正義の味方でも勇者様でもないので好き勝手やらせてもらいますよ?

「このような事、我の《ことわり》には書いておらぬはず……」

「……?」

 黒い影しか見えないのではっきりとは分からないが、運命神は自分の手に持った本を見つめているようだった。

 んー?

 もしかしなくても、あの本がこの世界の《ことわり》なのか?
 まぁ、「本に見えている」だけなんだろうな。
 普通の本なら燃やしてしまえば済む話だろうが……。
 とりあえず、ダメ元で正面からいってみるか。

「あのー、勝手に私達の《ことわり》を書きかえるの、やめてもらえませんかね」

「神に意見する、というのか」

「……神サマだって間違いは正すべきだと思いますが?」

「間違い……?」

 ゆらりと運命神の身体から、黒い霧が立ちのぼる。

 え、黒い霧は運命神から出てきてたのか?

「神たる我が、間違っているというのか!」

 黒い霧が濃く大きくなっていく。

 まずい! このままでは、オニキスの街が魔物の群れに襲われる!

「福助、〈風魔法〉!」

「にゃ!」

 福助が張り切って鳴いた。

「霧を吹き飛ばして!」

 ごおごおと音を立てて風が激しい渦となり、運命神から出てきた霧を吹き飛ばした。

「よつば、〈解除〉!」

 よつばが前足をちょいちょいと動かすと、黒い霧は跡形もなく消えた。

 運命神は何やらぶつぶつと呟いている。

 ……ダメだ、こいつ。
 話し合いにならないどころか、ちょっと意見されただけでぶちギレるとはな。
 しかも、自分の本殿があった街に魔物を呼び寄せようとするなど正気の沙汰ではない。

「書きかえねば……」

 ん?

「この世界は、元に戻らねば……」

 運命神は手元の本を見つめたまま、独り言のように呟き続けている。

「旧きあの世界に戻らねばならぬのだ!」

「何のために?」

「?」

 私達がいる事を一瞬忘れていたのか、運命神は不思議そうにこちらを向いた。

「どうして、元に戻らないといけないの」

 元に戻らないと、世界が滅びるというわけでもないだろうに。

「人は、神を崇め従うべきものだからだ」

 今の人達だって、みんな神様を尊敬しているようにみえたが……。

「異なる世界からきたもの達が、神と人の有り様を変えた」






















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