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最終章 望む世界。

さあ、行こうか。

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 夜が明けてからギルドに戻ると、小さな依頼者達はすでに来ていた。
 受付の女性がギルドを開ける準備をしているうちから待っていたらしい。

「はい、銀月草」

「まぁ、こんなにたくさん!」

 ほら、と女性が兄妹にかご一杯に入った銀月草を見せて笑った。

「おかあさんのおくすり、できるの?」

「これだけあれば、当分心配入らないわよ」

 その言葉を聞き、小さな妹はにっこりと笑った。

「これ、依頼料です」

 兄が、握りしめていた銅貨を差し出した。

 本当なら、依頼料はギルドを通して受け取るのだが……。

 ちらりと受付の女性を見ると、笑いながら大きく頷いてみせた。
 私はその小さな手から銅貨を受け取った。

「確かに、受け取りました」

「ありがとうございました」

 ぺこりと頭を下げると、兄妹はギルドから銀月草を受け取った。
 小さな身体で、大きなかごを大事そうにかかえて帰っていく。

「あと、買い取りをお願いしたいんどけど」

「あらぁ!」

 ホーンラビットやワイルドボアを見て、彼女は歓喜の声をあげた。

「こんなにいっぺんに買い取りなんて、久しぶりですよ」

「買い取り金額は三分の一でいいから」

 その金額なら、前と同じくらいの値段で卸せるはずだ。

「……本当に、いいんですか?」

 どうせ、猫達のお遊びで狩ってきた獲物だしな。

 受付の女性はにこにこしながら、査定を始めた。

「新鮮なお肉なんていつ以来かしら。みんな、喜ぶわ」

 量が多かったので、結局はそれなりの金額になった。

「しばらく、この町にいますか?」

「いや、行かないといけない所があるから」

 あら、残念。と彼女はため息をついた。
 いつでも戻ってきてくださいね、と言う受付の女性に手を振ってギルドをあとにした。

 肩に乗っていた手のひらサイズのりゅうたろうが、私の顔に頭をすり寄せた。

「行こうか、りゅうたろう」

 りゅうたろうの頭を軽く撫でる。

「キング、〈空間転移〉」

 キングが私の顔を見上げた。

「目的地は城塞都市オニキス。運命神の神殿!」

 さあ、行こうか。

 世界の《ことわり》を書きかえに!




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