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第8章 運命神の《ことわり》。

大物。

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 よし、だいぶ数が減ってきた。

「みんな、もう少しだよ!」

「にゃあ!」

 せりが私を振り返って鳴いた。

「!」

 大きな波が船を揺らした。

 ……海神様にもらった加護があるから、海は荒れないはずだが。

 沖を見ると波が大きく盛り上がっている。
 海が割れ、巨大な影が海面へと浮かび上がってくる。

 鯨に似た、緑色をした巨大な魔物だ。
 体の左右それぞれにオールのようなひれが八本ついており、尾は先が二股に分かれている。
 大きな口には、鋭い刃のような牙が無数に生えていた。

 いや、いや、いや。大きすぎるだろ!?
 あれでは、港ごと口の中に入ってしまいそうだ。

「…………」

 あ、れ……? もしかして、本気で港ごと食べようとしてるのか……?
 冗談じゃない!

 鯨モドキの魔物は、信じられないようなスピードでこちらに向かってきている。

「福助、〈風の盾〉!」

「にゃ!」

 福助の作り出した〈風の盾〉が船をおおう。
 がんっと激しい衝撃が襲ってきた。
 福助の〈風の盾〉と、魔導で出来ているおかげか船に損傷はなかった。

 だが。

 押されている!
 こいつ、船ごと真珠国に向かう気か!?

 港にはサナ達やエルフ達がいる。
 いや、この鯨モドキの大きさと勢いでは港だけの被害ですまないのは明らかだ。

 沖に押し戻せるか?

 くぅやチャビの魔力も使えば、この船の馬力もあがるはずだ。

「にあん! にあん!?」

 よつばが興奮ぎみに鳴いた。
 目の色が変わっている。

 え、まさか、これ美味しいの……?

「にあん!」

 いや、それどころじゃないから、今は!

 よつばが、船首から鯨モドキに向かって飛んだ。

「よつば!」

 何、考えているんだ、ばか猫!!

 ひらりと、よつばは鯨モドキの頭の上に飛び乗った。

「に、あーん!!」

 高らかに、よつばが鳴いた。

 それと同時に鯨モドキの動きがぴたりと止まった。

「え……?」

 まさか、これは。

 スキルを確認する。

〈まな板の上〉 食材と認識したものに触れると、動きを封じる事ができる。

 …………食材!?

「にあん!」

 よつばが誇らしげに胸を張った。

 あ、うん。いっぱい食べられそうでよかったね……。



















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