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第8章 運命神の《ことわり》。
恐れていた事。
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銀色の髪をした少女が近付いてきた。
ラーラだ。
しばらく見ない間に大きくなったなぁ。
「…………」
不安材料の一つが、神様達と人間の時間の感じ方の違いだ。
農耕神様は何十年前かのフラーの襲撃を「少し前」と言い、ミーコさんは向こうの世界で私の家にいた十年間を「一休み」と言った。
神様達は、出来るだけ急ぐと言ってくれた。
けれど。
それは、人間にとってどれくらい先の事になるのだろう。
私の顔を見たラーラが困ったように首を傾げた。
いかん、怖がらせたか。
「お菓子、持ってきたよ」
気を取り直し、ラーラに向かってにっこりと笑ってみせた。
とろりとした蜜を閉じ込めた、ふんわりとした食感の焼き菓子で、私の気に入っているものだ。
ルッコの実のジュースもあるが、農耕神様の神殿ではいつでも飲めるみたいだしな。
ラーラはお菓子を受け取ると、反対の手で私の服をつかんだ。
「どうしたの?」
「……あぶない」
「え?」
ぎゅうっと、ラーラの手に力が入った。
「きつねさんの国が、あぶない」
「……!」
まさか、それは。
「黒いものが、きつねさんの国にくる」
「…………」
とうとう、恐れていた事が現実になろうとしている。
今まで黒い霧におおわれていたのは、村や町だった。
それも次第に大きくなってきていたが。
それでも、ギルドや管理している都市などの努力で今まではほとんど犠牲を出さずにすんでいた。
だが、国や大都市がおおわれた場合の事はまだ対応が協議中のはずだ。
真珠国は、いずれ狙われるだろうとは思っていた。
運命神が認めない、《ことわり》をはずれたもの達が造った国なのだから。
お稲荷さんにも忠告はしてはいる。
だが。
「早すぎる……」
このままのペースでは神様達は間に合わない……!
いや、落ち着け。
私は今までと同じように。
今、出来る事をするだけだ。
「ラーラ、農耕神様にその事を伝えてくれる?」
私の言葉にラーラはこくりと頷いた。
私はスマホを取り出し、女神様に連絡した。
「というわけだから、ほかの神様達にも伝えておいて」
『わ、分かりました』
「あと、火の神様にサナ達を応援によこしてほしいって言っておいて」
『はい。エルフさん達にも伝えておきますね』
「うん、お願い」
『…………』
女神様が、一瞬黙り込んだ。
『つかささん、気をつけてくださいね』
……どうした?
『つかささんがいなくなったら、猫さん達はどうなるんですか!?』
「…………」
いや、うん。それでこそ女神様だ。
さて、行きますか。
「キング、〈空間転移〉!」
ラーラだ。
しばらく見ない間に大きくなったなぁ。
「…………」
不安材料の一つが、神様達と人間の時間の感じ方の違いだ。
農耕神様は何十年前かのフラーの襲撃を「少し前」と言い、ミーコさんは向こうの世界で私の家にいた十年間を「一休み」と言った。
神様達は、出来るだけ急ぐと言ってくれた。
けれど。
それは、人間にとってどれくらい先の事になるのだろう。
私の顔を見たラーラが困ったように首を傾げた。
いかん、怖がらせたか。
「お菓子、持ってきたよ」
気を取り直し、ラーラに向かってにっこりと笑ってみせた。
とろりとした蜜を閉じ込めた、ふんわりとした食感の焼き菓子で、私の気に入っているものだ。
ルッコの実のジュースもあるが、農耕神様の神殿ではいつでも飲めるみたいだしな。
ラーラはお菓子を受け取ると、反対の手で私の服をつかんだ。
「どうしたの?」
「……あぶない」
「え?」
ぎゅうっと、ラーラの手に力が入った。
「きつねさんの国が、あぶない」
「……!」
まさか、それは。
「黒いものが、きつねさんの国にくる」
「…………」
とうとう、恐れていた事が現実になろうとしている。
今まで黒い霧におおわれていたのは、村や町だった。
それも次第に大きくなってきていたが。
それでも、ギルドや管理している都市などの努力で今まではほとんど犠牲を出さずにすんでいた。
だが、国や大都市がおおわれた場合の事はまだ対応が協議中のはずだ。
真珠国は、いずれ狙われるだろうとは思っていた。
運命神が認めない、《ことわり》をはずれたもの達が造った国なのだから。
お稲荷さんにも忠告はしてはいる。
だが。
「早すぎる……」
このままのペースでは神様達は間に合わない……!
いや、落ち着け。
私は今までと同じように。
今、出来る事をするだけだ。
「ラーラ、農耕神様にその事を伝えてくれる?」
私の言葉にラーラはこくりと頷いた。
私はスマホを取り出し、女神様に連絡した。
「というわけだから、ほかの神様達にも伝えておいて」
『わ、分かりました』
「あと、火の神様にサナ達を応援によこしてほしいって言っておいて」
『はい。エルフさん達にも伝えておきますね』
「うん、お願い」
『…………』
女神様が、一瞬黙り込んだ。
『つかささん、気をつけてくださいね』
……どうした?
『つかささんがいなくなったら、猫さん達はどうなるんですか!?』
「…………」
いや、うん。それでこそ女神様だ。
さて、行きますか。
「キング、〈空間転移〉!」
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