一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご

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第7章 《ことわり》をはずれたもの。

力。

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 ん? 一人だけ、気を失わなかったやつがいるな。
 あー、さっきの犬派のやつか……。

 まぁ、いい。

「世界を滅ぼす方法は?」

「……」

 口をぱくぱくさせているが、言葉を発しようとはしない。
 意思でねじ伏せているようだ。
 しぶといな。

「よつば」

「……にあん」

 よつばが不満そうに鳴いた。

 いや、うん。男の人が嫌いなのは分かっているけどね。

「あとで、おやつあげるから。それに、好きなだけもふってあげるし」

 よつばは抱っこは死ぬほど嫌いだが、何故か撫で回されるのは大好きなのだ。

「にあん!」

 忘れるなよ、と言わんばかりに一声鳴くと、よつばはまだ頑張っている忍者の足に前足をかけた。
 くりん、と首を傾げ、絶妙な角度で男を見上げる。

「にぁぁぁん?」

「……!」

 よし、落ちた。

 よつばの頭を軽く撫で、男に向き直る。

「もう一度聞くけど、世界を滅ぼす方法は?」

「真珠国……、御神体……」

 とぎれとぎれなのは、まだ抵抗しているからだろう。
 よつばのあざとさ全開の〈魅了〉をくらっても完全に落ちないところをみると、筋金入りの犬派なのかもしれない。

「力……、神に成る前……、解放……」

 んー?

 こいつらの最終的な狙いは真珠国の御神体だったわけか。
 ……神に成る前に、その力を解放させるつもりだったのか。

 まさか。

 こいつらが、黒のキャラバンに御神体を盗み出すようにそそのかした……?

 元々真珠国の出身なのだから、御神体の事もその力も知っていただろう。
 神に成るだけの力を解放すれば、確かに世界を滅ぼせるかもしれない。

「……エルフ達の、虹雲の卵は?」

「予備……」

 やっぱり、こいつらか!

 御神体だけでは力が足りなかった時か、うまくいかなかった時のためかは分からないが、虹雲の卵をスペアとして利用するつもりだったのだろう。

 神様達は運命神の仕業だと思っていたようだが、人間の企みだったようだ。

 ドラゴンちゃんが虹雲の卵を奪い、エルフ達が間違えて御神体を奪った事で、計画が狂ったという事か……。

「どうやって、帰るつもりだった?」

 遠い遠い、あの国へ。

「船……、魔導……」

 ふむ、魔導で造った船か。

「動力……、高い、魔力……、猫……」

「猫!?」

 うちの猫達の事か!?

 つまり、船を動かすためには高い魔力が必要で、そのためにうちの猫達を捕らえようとしていた事か……。

「……」

 そんな身勝手な理由で……。

 私はふらふらと歩いて、落ちていた大鎌を拾った。
 手が白くなるほど大鎌の柄を強く握る。

 猫達の事は絶対に私が守る。
 例え、どんな事をしてでも……。

「……………………」

 どんっ、と背中に衝撃を受けて、我に返った。

 いつの間にかキャットハウスから出てきていた、通常サイズのりゅうたろうが肩に飛び乗ろうとしたのだ。
 りゅうたろうはふんふんと鼻を鳴らし、私の顔をのぞき込んだ。

「うん、ごめん。大丈夫……」

 大鎌を無限収納にしまって、りゅうたろうの頭を撫でる。

「ありがとうね、りゅうたろう」








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