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第7章 《ことわり》をはずれたもの。

火の神の末裔。

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「話は聞いてるよ」

 サナ達に話をしに行くと、すでに事情は分かっているようだった。

「これ、親父に作ってもらったんだ」

 そう言って、サナは紅く光る穂先を持つ槍をみせてくれた。
 もちろん、ナルシも新しい大剣を持っていた。

「もともと、あたしらは魔物退治が主な仕事だったし、やることは変わらないからさ」

 すでに、ギルドからの依頼で何件かの村の救援に行っていたらしい。
 当然のように火の神の加護を持つ二人は、魔法耐性もあり頼りになる存在だ。

「ナルシ、古代神語を魔導の塔以外で使っている人達を知らない?」

 私の問いに、ナルシは小さく首を振った。

「いや、最近では神官ですら分かるやつはほとんどいないはずだ」

 ふるき神々の神官さえ、古代神語は分からないのか。

 んー?
 これは、早くも詰んだか……。

「ナルシ達のお父さんみたいに、逃げ出した人って多いの?」

 ちらりとサナとナルシは、目を合わせた。

 どうした?

「逃げ出す連中は多いんだけど……」

 サナにしては、珍しく歯切れが悪い。

「逃げおおせるのは、ごくわずかだ」

 ……つまり、途中で捕まってしまったという事か。
 サナ達の様子から、捕まったあとの事は聞かない方がよさそうだ。

 しかし、これで魔導の塔関係は消えたな。
 まぁ、元々異世界から来た連中だから、運命神とは相容れないだろう。

 さて、どうするか。

 考え込んでいると、ギルドの受付にいた若いドワーフが飛び込んできた。

「サナさん、ナルシさん、特急依頼です!」

「!」

 ギルドからの特別緊急依頼だ。

 サナとナルシは立ち上がると、すぐに身支度を始めた。

「どこだい?」

 荷物を背中にくくりつけながら、サナがたずねる。

「炎鉱石の採掘場です!」

「分かった。すぐに向かう」

「私達も手伝うよ」

 私が立ち上がると、手のひらサイズのりゅうたろうがひらりと肩に飛び乗った。

「気持ちはありがたいが……」

「移動、回復、防御、解除。あった方がいいと思うけど?」

 渋るナルシにそう言って、にやりと私は笑ってみせた。

「確かにね」

 あははとサナが笑う。

「あたしら、武器を振り回すのは得意だけど、それ以外はからっきしだしね」

「……分かった。頼む」

「キング、〈空間転移〉!」






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