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第6章 消えた村。

黒い霧。

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 いつものようにギルドに顔を出したが、今日は急ぎの依頼はないらしい。
 じゃあ、予定を変更して買い出しにでも行くかな。

 商業都市といわれているだけはあり、ターコイズで手に入らない品物はない。

 真珠国やエルフの住む翡翠の森でしか入手が出来ない物でも、何とか買える。
 大手の商会では、転移用の魔方陣や氷魔法を使い、品物を新鮮なまま運んでくる。

 屋台も半端な数ではない。
 食べ物から衣類、手製の護符など何でも売っているのだ。

 ぷうん、とお腹がすく匂いが漂ってくる。
 何か食べようかな。

 ん?

 女神様との連絡用のスマホが鳴った。
 人のいない所に移動して、かけ直す。

「どうしたの?」

 まさか、またどっかの神様の呼び出しじゃないだろうな。

『あ、あの、ラピスラズリが……』

 ラピスラズリ。

 結界を張った中で、ひっそりと暮らしている村だ。
 未来が見える「さきみ」の少女、ラーラが住んでいる。

 猫達を探している途中で、村を守る結界を〈解除〉してしまい、女神様にかけ直してもらった。
 その時、女神様の加護がある猫の置物を渡した。
 その置物を通せば、いつでも女神様に助けを求められる。
 もっとも、村の人達は日々の祈りを捧げるだけだったらしいが。

『連絡が取れないんです!』

「女神様、落ち着いて」

『昨日から祈りも届いていませんし、こちらから呼びかけても答えが返ってこないんです……』

「……」

 返事がないという事は……。

 私はきりっと唇を噛みしめた。

 最近、魔物に襲われる村が増えていた。
 ラピスラズリには結界があるから大丈夫だとは思うが、最悪の場合も考えられる。

「今から、行って見てくる」

『つかささんも猫さん達も、気をつけてくださいね』

「うん」

 キングの〈空間転移〉で、ラピスラズリの近くに移動する。

「……何だ、これ」

 村は真っ黒な霧で覆われていた。
 濃い黒い霧で、向こう側は何も見えない。

「よつば、〈解除〉」

「うぅぅ」

 よつばが短く唸った。
 毛が膨らんで、いつもよりさらに大きくもふもふになっている。

〈解除〉できない……?

 私が古代神語を覚えたから、今まで出来なかったものも〈解除〉出来るようになったはずなのに。
 それに、食べ物がからんだ時以外、よつばがこんな風に唸る事はなかった。

「この霧、何なんだ……?」











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